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【94回】読書日記(190319)〜授業づくりネットワーク32 学び手中心の授業の始め方

○「授業づくりネットワーク32 学び手中心の授業の始め方」(学事出版)

年3回発行される教育雑誌。
最近発行されたものでも「授業記録」「リフレクション」など、ちょっと特集としては扱われにくいようなテーマで作られている。しかも、何度か同じ文章を読み、考えながら読む必要があるほど内容が濃いため、刺激を受ける読書になる。毎号楽しみにしている。

今号は「学び手中心の授業」について。
「学び手中心」ということは、授業をつくり出すのは教師ではなく、子どもということである。むしろ学校の授業は、子どもが中心に進んでいくものであるはずだ。

創価大学の藤原義博教授の講演を、随分前に拝聴したことがある。
富山大学人間発達科学部附属特別支援学校での実践をもとにした講演だったと思われる。
「授業をビデオ撮影する。再生して授業を確認するときに8倍速にして見るとよい」
たしか、そのようなことをおっしゃった。
何が見えるか。子どもの活動。しかし、子ども以上にたくさん動き回る教師の姿が見えるのだ。
別の授業のビデオでは、同じ学校の授業なのに、子どもが動き回り、教師の動きは少なくなっているものだった。
子どもが中心になり活動する授業では、教師よりも子どもの動きのほうが多いはずなのだ。

例えば、アクティビティを行う「プロジェクト・アドベンチャー」であれば、体をたくさん動かしながら、みんなで関わっていく子どもの姿が映るだろう。
書きながら自分の作品を作り上げていく「ライティング・ワークショップ」であれば、鉛筆をひたすら動かしながら活動していく子どもの姿が映るだろう。
教師以上に、子どもが動いている授業というのは、「学び手中心の授業」のひとつの目安なのではないか、と考える。

本誌で取り上げられるのは、「学び手中心の授業」のための10の方法。授業を促進させる7つのツールである。

表紙を掲載した。

特に興味があるのは、「プロジェクト・アドベンチャー」「対話による鑑賞」「演劇的手法」「『学び合い』」「協同学習」「クラス会議」である。

高等支援学校勤務である。「子どもが自分で取り組む。自分から考える。自分たちで協力していきながら、自分たちの居場所を作っていってほしい」
社会に出たら、さらに多くの人たちを関わることになる。「自分はここで生きていく」「他の人とつながっていいんだ」そのような思いを胸に、生きていくようになるのはどうしたらいいものか。
高等支援学校でできることはなにか。
小学校での実践が生かすことはできないか。

以前、インプロ(即興演劇)をスキマ時間にやったことがある。「なんこれ、おもしろい」と取り組んでくれた。特にふりかえりはしなかったけれども、小さな手応えを感じた。
もしや、人と人のつながりに、飢えているのではないかとも考える。


「先生の授業は楽しい」と子どもは言ってくれる。
そこには

「先生は今日、どんな楽しい授業をやってくれるんだろう?」という授業をしてしまっていたんです。(p2)

というふりかえりが、いつも心の中にある。

子どもが自分から取り組んでくれる。自分の時間にしていってくれる。
そのような場作りの仕掛けをしていきたい。

そのための、基礎となるべき特集だった。
各項目には、さらに詳しく参考文献まで提示されているので、興味があれば、どんどん掘り下げていくことができる。
親切である。