見出し画像

【792回】最首悟「能力で人を分けなくなる日」


最首悟と3人の中高生の対談。
人は能力によって、価値が決まるのか。生き死にを決められるのか。

人は…自分という一人ではない。相手とともに作られていく。

私が「あなた」と呼びかける時、私はあなたを尊重して、立てている。そしてあなたも私を「あなた」と呼んで、私を立てているだろう。そうすると「あなたのあなた」としての私は、あなたを立てると同時に、あなたに立てられている。そういう相互的な関係にある。そして私はあなたを頼り、あなたに頼られている。

p140

この「あなた」は私にとってどんな能力や価値があろうとも関係ない。
恋人や家族のような濃厚な関係とも限らない。

僕が、同僚A先生を頼り、A先生が僕に仕事を依頼する。
僕がB先生に悩みを語り、B先生が僕に愚痴を吐く。

同僚性を出せば、それぞれの職員の得意不得意がある。A先生には仕事の依頼を、B先生には相談を…と関わりを選択は生じるだろう。
でも、相手を尊敬している気持ちには変わらない。
この場を共に生きる人たちなのだ。

大切なのは、どんな人にも存在があり、その人々が自分を形作ってくれているということだ。
そして、まわりの人の存在に、自分も影響しているということだ。

価値で相手を見切る人は、分断によって、自身の存在を守ろうとする。得体のしれないものに関わりたくないように。
苦しいから、不明点が不明なままだから、分断しようとする。人生が楽になって、不明点がわかってしまえば、分断にエネルギーを使わない。

「能力で人を分けなくなる日」にいたるには、学校から地域から社会から、様々な場所で起きてる分断に気づかないといけない。考えていかなければいけない。本当に、このままでいいのかと。

ここに命がある。
価値や能力によって命が決められるというのは、存在の否定なのではないか。

ここにいても、いなくても、関係ない。などと言うならば、いていいじゃないか。


この記事が参加している募集

読書感想文