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【705回】幸せな家庭をおいてきてしまった(ガッサーン・カナファーニー「ハイファに戻って/太陽の男たち」その2)

ぼく達は、堅固に構築された幸せな家庭を、ぼく達の背後に、土地と家と、死んでいった者たちのもとにおいてきてしまったのだ。

ガッサーン・カナファーニー「ハイファに戻って/太陽の男たち」 悲しいオレンジの実る土地 p112

土地を追い出されるとき、全てを、ありのままを抱えはしない。変化がある。
自分の意志と反して、場所を追い出されるとしたら、置いていかなければいけないものがある。

それは、景色、自然、文化、人とのつながり。慣れ親しんだ生活。
そして幸福。

追い出された上に、新たな住民が入ってきた事実を知る。そうなれば、この理不尽にもだえ苦しむだろうな。
幸福は置いてきて、新たに生まれるものは、苦しみと怒りと無力感。

「ちきしょう」という叫び声さえあげる力が無くなりそうだ。


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