【707回】けれども俺は、とにかくまだ溶けちまわずにいるんだって(ガッサーン・カナファーニー「ハイファに戻って/太陽の男たち」その3)
自分たちが住んでいた場所から強制的に排除された。
土地を、家を、仕事を取り上げられた。
新たな土地。それは難民キャンプ。彼らにとっては仮の住まい。戻りたい土地がある。以前住んでいた土地に。
土地が奪われた人たちは、自身の存在を問う。
そして難民キャンプは、意識されないと忘れられる。
この世に、隠されていくように。溶かされていくように。
自分はいる。難民になって時間は過ぎても、怒りは消えず、ここに存在する!
独白に震える。