【798回】バスティアン・ハイン、若林美佐知「ナチ親衛隊(SS)」
ナチスの親衛隊の誕生、拡大、実験や虐殺、戦後の裁判、ドイツ社会への復帰まで。
偏った考え方を持つカリスマを称える群衆が、日本でナチ親衛隊のようにならないように。
ところで、ナチ親衛隊は、国民の密告を受けてユダヤ人を見つけ捕らえていた。特に日本のように閉塞性が高い社会———右に倣えといえば、右に倣うような社会―———カリスマの有無は問わないか。空気が醸成してしてしまう。差別せよ、見つけろ、訴えろって———
例えば、コロナ時に、他県ナンバーの車に、文書で警告を貼って逃げた人と同じ。匿名での密告。匿名での差別や暴力。それらは市井の人々が起こしている。ナチ親衛隊のような差別犯罪集団があれば、親和性が高い。
市井の人々の不安・不満・偏見と、差別犯罪集団がウィン・ウィンになるような社会になってほしくない。
社会の空気が、自分の身の回り(世間)にガスのように広がって、差別せよ、見つけろ、訴えろという圧力に囚われたくない!
だから、ナチ親衛隊の過去を本書で追ってみたのだ。
この歴史を、再度繰り返してはならぬ。
自分が、気づいたら、排除側に、密告側にならないように。