ていねいに、落ち込み、ニネに、悲しむ
悲しいことがなにもないのに、悲しいようなときは、
泥のように眠ればいいのです。
朝起きて、朝がやっぱり来たことに
心からがっかりしても、またどうせ、夜は来るしね
重たい体でジトッと、淡々と
1日を始める
秋冬の朝の台所なんてのは、ただでさえだいたい暗いのに
蛍光灯のついていないこの部屋は、ますます暗い
ヨーロッパやアメリカに住んでいたとき
どこもかしこも、どうしてこんなに暗いのか全然理解できなくて
陽当たりを求めてウロついた
今はむしろ、暗い部屋のほうが心地よかったりして
さんさんと太陽の差し込む台所、カーテンを締めきって涼むことも
さて、
悲しい朝、次第に陽は昇り、部屋は明るくなって
夜は存在していなかったはずの、ホコリなんかが見えて
昨日アメリカから届いたハートの形をした石が
テーブルの上で
違う色を放つのを見つめていた
丁寧に何かを見つめるということは、
今までみえなかった世界が見えてくるということ
食卓のまんなかに置かれた、ハートの形の葉っぱ一枚一枚に
ホコリがついていることに気づいて、
優しく触れてみると
それはホコリじゃなくて、ちいさな産毛のやわらかさだったりね
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