弁理士 田原正宏 - Masahiro TAHARA

欧州特許弁理士が発信するヨーロッパの知財情報です。 主にヨーロッパ特許庁(EPO)での…

弁理士 田原正宏 - Masahiro TAHARA

欧州特許弁理士が発信するヨーロッパの知財情報です。 主にヨーロッパ特許庁(EPO)での手続きや実務に関する情報を発信します。 投稿の内容は個人的な見解に基づくもので、所属事務所の見解とは異なる場合があります。

最近の記事

[UPC] 手続言語の変更に関する判決紹介

2024.4.17 ORD_1894/2024 @UPC控訴裁判所 関連条文 UPCA 49条(5) 2024年4月17日に欧州統一特許裁判所(Unified Patent Court; 以下「UPC」)の控訴裁判所(ルクセンブルク)は、Curio Bioscience Inc.(被告・控訴人、以下「控訴人」)と10X Genomics, Inc. (原告・被控訴人、以下「被控訴人」)との間の侵害訴訟に関連し、控訴人が求めた手続言語変更の申立てについて判決を下しました。

    • 欧州統一特許裁判所(UPC)の最新統計(2024年5月)

      欧州統一特許裁判所(Unified Patent Court; 以下UPC)の運用開始から1年が経過しました。本稿では、2024年5月30日に発表された統計データをご紹介します。 https://www.unified-patent-court.org/en/news/case-load-court-start-operation-june-2023-update-end-may-2024 1年間でUPCの第一審が受理した件数は、373件でした。内訳は、侵害訴訟が134件

      • EPO料金減額制度を利用する際の注意点

        以前の投稿で、零細企業、自然人、非営利組織、大学または公的研究機関を対象としたEPO料金の減額制度について紹介しました。 本稿では、この減額制度を利用する際の注意点について説明します。 誤って減額された料金を支払ってしまうと出願取下げに?料金の支払いを伴う手続きの多くは、期限内に所定の料金を支払わなかった場合、出願が取り下げられたものとみなされます。通常料金を支払うべきであるにもかかわらず、減額を受けられると誤認して減額後の料金(30%オフ)を支払った場合、後になってから

        • 【EP出願】審査料金の返還

          法的根拠:料金規則11(a) & 11(b);OJ EPO 2016, A48 &A49;審査基準 A-VI, 2.5 EP特許を取得するには、所定の審査料金を支払って審査請求をしなくてはいけません(EPC 94(1))。審査請求の期限は、欧州調査報告の公開から6月と定められており(EPC規則70(1))、期限内に審査請求がされなかった出願は取り下げたものとみなされます(EPC 94(2))。 このように調査段階で支払う必要がある審査料金ですが、その後権利化が不要になった

        [UPC] 手続言語の変更に関する判決紹介

          【EP出願】EPO料金の減額制度

          EPO料金の減額制度が導入されます(2024年4月1日~) 法的根拠:EPC 規則7a&7b, OJ EPO 2024, A8 誰が料金減額を受けられる? 出願人が零細企業(*1)、自然人、非営利組織、大学または公的研究機関に該当する場合に減額が適用されます。住所や国籍等の要件はありません。2以上の出願人がいる場合は、各出願人が要件を満たす必要があります(EPC 規則7a(5))。 減額の対象になる料金とは? 2024年4月1日以降に支払われる(1)出願料(135

          【EP出願】EPO料金の減額制度