EPO料金減額制度を利用する際の注意点
以前の投稿で、零細企業、自然人、非営利組織、大学または公的研究機関を対象としたEPO料金の減額制度について紹介しました。
本稿では、この減額制度を利用する際の注意点について説明します。
誤って減額された料金を支払ってしまうと出願取下げに?
料金の支払いを伴う手続きの多くは、期限内に所定の料金を支払わなかった場合、出願が取り下げられたものとみなされます。通常料金を支払うべきであるにもかかわらず、減額を受けられると誤認して減額後の料金(30%オフ)を支払った場合、後になってから料金の不足が発覚して、結果的に出願取下げの効果が生じることが想定されます。
例えば、出願時には零細企業に該当していた出願人が、自身が料金減額の対象であることを宣言して手続きを進めたと仮定します。その後事業規模が拡大し、5年目の維持年金支払い時にはすでに零細企業に該当しなくなっていたにもかかわらず、減額後の維持年金を支払ったとすると、結果的に必要な料金の一部しか支払わなかったことになり、当該出願は取下げられたとみなされます。取下擬制になっても権利の復活が可能な場合もありますが、それに伴って追加の費用が発生しますので、料金減額のメリットが消失するリスクがあります。
零細企業に該当するか否かはEPOやEP代理人にとって容易には知りえない情報ですので、特に注意を要します。出願人は当該要件を理解し、必要に応じてEP代理人と情報を共有する必要があるでしょう。
また、過去5年間で5件以上のEP出願(PCT出願のEP移行含む)がされているにもかかわらず、減額後(30%オフ)の料金を支払ってしまった場合、不足分の料金支払いを求める通知を受けます。この通知に対する応答期間(2月)内に料金を支払えば、適法に料金を支払ったとみなされます。この場合、出願取下げといった致命的な結果にはつながりませんが、現地代理人費用が発生する可能性がありますので、注意が必要です。
もし減額の対象でないことがわかったら?
減額対象から外れることが明らかになった場合は、速やかにEPOに対してその旨を宣言する必要があります。「通常料金」を支払うだけでは不十分ですので、できるだけ早めにEP代理人に指示をするのが望ましいです。
より詳細な情報を知りたい方は、下記メールアドレスまでご連絡ください。
tahara@regimbeau.eu
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