見出し画像

【EP出願】EPO料金の減額制度

EPO料金の減額制度が導入されます(2024年4月1日~)


法的根拠:EPC 規則7a&7b, OJ EPO 2024, A8


誰が料金減額を受けられる?

出願人が零細企業(*1)、自然人、非営利組織、大学または公的研究機関に該当する場合に減額が適用されます。住所や国籍等の要件はありません。2以上の出願人がいる場合は、各出願人が要件を満たす必要があります(EPC 規則7a(5))。

減額の対象になる料金とは?

2024年4月1日以降に支払われる(1)出願料(135 ユーロ~)、(2)調査料(1520 ユーロ)、(3)審査料(1915 ユーロ)、(4)指定料(685 ユーロ)、(5)登録料(1080 ユーロ)、(6)更新料(3年目690 ユーロ、4年目845 ユーロ…)が対象になり、各料金(*2)が30%減額されます。

どのような手続きが必要?

料金の減額を受けようとする出願人は、自身が減額対象である旨を宣言する必要があります(EPC 規則7b(1))。この際に証拠を添付する必要はありませんが、合理的な疑義が生じた場合、EPOは証拠の提出を求めることができます(EPC 規則7b(3))。この宣言は、所定のEPOフォームを利用して、EP出願もしくはEP移行時、出願後のいつでも可能ですが、減額対象となる料金を支払う時までに行う必要があります。

どの出願に適用される?

基準日(*3)から遡って5年間の期間内に当該出願人によって出願されたEP出願(PCT出願のEP移行を含む)が5件未満である場合、減額の対象になり得ます(EPC規則7a(4))。上記期間内に出願されたEP出願が5件以上ある場合は、それら出願が減額対象になっていたか否か、なり得たか否かにかかわらず、減額の対象とはなりません。また、それら出願がEPOに係属しているか否かも関係ありません。

権利の移転があった場合はどうなる?

減額対象の出願人から対象外の出願人に名義変更される場合、名義変更後に支払われる料金については減額が認められなくなります。ただし、名義変更の時点で支払い済みであった料金には影響を与えません。名義変更後の新しい出願人として減額対象を受けたい場合は、改めてその旨を宣言することで、引き続き減額措置を受けることができます。


これまでは、特定のEPC加盟国に拠点を有する出願人のみに料金の減額措置が設けられていました(EPC 14条(4)、EPC 規則6条(3))が、今回の規則改正によって減額対象となる出願人が大幅に拡充されることになります。


より詳細な情報を知りたい方は、下記メールアドレスまでご連絡ください。

tahara@regimbeau.eu


  1. 零細企業とは、EUの定義に則り、(1)従業員が10名未満であって、(2)年間売上および/または年間の貸借対照表(バランスシート)の記載額が200万ユーロを超えない法人を指します。

  2. ここでは例として2024年4月1日から適用される料金を記載しています。

  3. EP出願の場合は「出願日」、PCT出願のEP移行の場合は「EP移行日」、分割出願の場合はEPOが分割出願を受領した「受領日」が基準日となります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?