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欧州統一特許裁判所(UPC)の最新統計(2024年5月)

欧州統一特許裁判所(Unified Patent Court; 以下UPC)の運用開始から1年が経過しました。本稿では、2024年5月30日に発表された統計データをご紹介します。

https://www.unified-patent-court.org/en/news/case-load-court-start-operation-june-2023-update-end-may-2024

1年間でUPCの第一審が受理した件数は、373件でした。内訳は、侵害訴訟が134件、侵害訴訟において無効の抗弁が提出された無効訴訟が165件、仮処分の申立てが32件、無効訴訟が39件となっています。

侵害訴訟を最も多く受理した裁判所は、ミュンヘン地方部(54件)で、その割合は実に全体の案件数の約40%となっています。他のドイツの地方部にも多くの侵害訴訟が提起されており、ドイツ全体で考えると全体の侵害訴訟の約77%が集中していることになります。ドイツ国外に目を向ければ、最も多くの侵害訴訟を受理したのがフランスで、パリ地方部(10件)、パリ中央部(1件)となっています。

各裁判所の受理件数

使用される手続言語は英語が最も多く(50%)、次いでドイツ語(44%)となっています。2023年末時点の統計では、ドイツ語(49%)、英語(40%)となっていたので、英語が手続言語に採用される割合が高まっているようです。

手続言語の内訳

最近出された控訴裁判所の判断に照らしても、特許された言語がそのままUPCでの手続言語になる傾向がより一層高まることが予想されます。英語が手続言語となれば負担が軽減されるので、日本のステークホルダーにとっては歓迎される流れといえるでしょう。


より詳細な情報を知りたい方はお気軽にご連絡ください。

tahara@regimbeau.eu

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