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鉄道の必要性とは?(2022年5月13日に開かれた国の検討会から)

今回の記事では「鉄道の必要性」に関する私なりの考えを書き表します。

はじめに

2022年5月14日 NHKのニュース

を観ました。

このニュースの中で広島県の湯崎知事は「廃線を前提にしたイメージを強く抱いてしまう」等と警戒なさっているとのことでした。また、このニュースでは「鉄道の必要性を明確化すべき」とありました。

そこで、私なりに考えている「鉄道の必要性」と「これからの鉄道の維持活用方法」について申し上げたいと思い意見いたします。

【鉄道の必要性】

鉄道の必要性1・人災天災からの間接的防衛

鉄道駅周辺には「まち」(人口集中地区・DID)がつくられる傾向にあります。この性質を利用し全国津々浦々に「まち」を配置していくことで某国からのミサイル攻撃を間接的に抑止するのです。実際にミサイルが着弾し人的被害が出ると本当に戦争になりかねず、そのことは某国にとっても大きなリスクになるからです。
このほか、「鉄道と安全保障や防衛」については、
CO2削減政策における真の狙いとして想定すべきこととして、本質的にエネルギー使用効率の良い鉄軌道の交通分担率を高め、交通分野でのエネルギー使用効率も高めていくのです。このことで資源外交面での交渉力強化による、外交面での安全保障確保・最悪の武力戦争回避 を図ります。
※単に鉄道の列車を走らせるだけでなく、一定人数の乗車があるよう鉄道利用を促す各種政策や取り組みを行なうことが肝要になってきます。

また、
鉄道網を含めた交通網の複層化をしておくことは天災・人災時に迂回・予備機能(リダンダンシー機能)を大きく発揮することになり、災害時に様々な対応がしやすくなります。

鉄道の必要性2・全国的交通権

鉄道及び軌道は線路や駅が地図に載ります。
鉄道は視覚・感覚的にも利用しやすく、人々が自らの居住地以外の遠方地へ行くにも利用しやすい交通機関です。そのため鉄道が無くなるとその地域への広域的な移動や訪問は困難になります。

鉄道の必要性3・地図に載る性質からその地域の認識性を高める

市町村合併で自治体面積が広がり地名も曖昧になってしまいましたが、鉄道路線・駅名は従来からの地名を残しています。鉄道を維持活用できるとその地域は遠方からも認識されやすくなり、全国的な移動だけに留まらず経済・観光的交流を促す交通社会基盤(交通インフラ)となります。

※鉄道には、今申し上げた優れた性質があります。だから鉄道が廃止された地域はより衰退してしまう傾向にあります。

鉄道の必要性4・幹線と支線(ローカル線等)は相互補完関係

「幹線」の乗客(需要)は各支線・各地域から集まってできたものです。一方、「支線」(いわゆる「ローカル線」等)は「幹線」からの直通や乗り換え利用も担い、「幹線」を「支」える路「線」です。
そのため、鉄道路線網のあり方を考える際は単一路線だけでみるのではなく、鉄道路線はお互いに補い合う関係性があることを理解する必要があります。
在来線特急や新幹線などの利用促進や企画乗車券等を企画販売する際は、接続する路線にまで乗客や売上が及ぶような営業戦略を鉄道会社や沿線自治体、そして国レベルで積極的に行えるようにすると良いと考えます。

次に

【これからの鉄道の維持活用方法】

について申し上げます。

鉄道の存在価値や存廃を乗車人数等だけで判断するのではなく

1・全国的に、駅周辺に各種施設を集めることを地道に取り組み、自家用車類を保有・利用出来なくても生活出来る地方・地域を増やしていくべきです

なぜなら、地方都市の人口や都市機能の維持を図り、地方格差是正と同時に全土的な間接的防衛を図っていくためです。

2・他の交通機関と組み合わせ相乗効果を引き出す

それぞれの交通機関は適不適があるため単独や交通機関同士の競合関係だけで捉えるままでは交通機関全体が共倒れします。そのため交通機関同士を組み合わせて活用すべきです。特に地方鉄道は遠方間移動や遠方認識性向上を図る性質や機能も担っています。
そのため、鉄道分野への予算投資充実も併せ、新規の新幹線「整備計画」を早急に立ち上げるべきです。新幹線整備は「新たに線路を敷く」ことになります。その性質を応用し、新幹線を沿線の在来線と地方空港に結びつけるルート選定で整備するのです。新幹線・在来線・地方航空いずれも遠い地方同士のつながりを創り出し得る交通機関ですが、いずれも単独ではその機能を充分に発揮できないので新幹線整備の際に在来線と沿線空港を結びつけるわけです。
そして交通機関全体の機能向上と地方間同士の経済的交流を創り上げられるような交通体系を創り出すことが鉄道が存在すべき必要性でもあり、全国的な「地方創生」や地方格差是正に必要な事であると考えます。
鉄道は認識しやすい交通機関であるので交通機関同士の結節・接続・連携を図るうえで有効な媒体になります。

なお、新幹線整備は残念ながら時間がかかる恐れもあります。
緊急には、鉄道の運賃値上げを認め、経営状況を好転しやすい環境を創るべきです。運賃値上げを元手に、低下した鉄道サービス品質を向上させ積極策を採りやすくするのです。
併せて、鉄道など公共性の高い交通機関に対して採算性を求めすぎるような価値観や制度、鉄道の維持管理を民間の鉄道事業者に丸投げするようなあり方を改め、「広域的な交通権」を保障するような法的根拠等を創り、公費投入もしやすい環境を整えていけることが望ましいと考えます。
なお、
交通機関への税金投入のあり方としては、交通事業者に直接補助金を出す形態だけにこだわるのではなく
「公共交通クーポン」(「鉄道は地球を救う」126ページ 1990年)
「交通バウチャー」(「満員電車がなくなる日 改訂版」153ページ 2016年)
など、国民に交通機関の運賃補助をしたり、
「国鉄無賃論」(「鉄道は地球を救う」 99ページ 1990年)
のような大胆な考え方に基づくあり方もあったりしても良いと思います。

3・鉄道の維持活用においては、「観光」も「地元の足」も両方とも大事です

国の検討会の中で
「観光ではなく、“地元の足”としての需要に応えることが大事だ」
という意見もあったとのことです。
鉄道は「地域の足」、つまりその地域内における日常生活利用に加え、遠方からの来訪者を受け入れたり遠方へ訪問する際にも重宝する交通機関です。
「地域の足」だけ、「(周遊的利用を含む)観光利用」だけに考えや施策を偏らせるのではなく、地元利用・観光利用両方の需要を取り込むような考え方や政策・施策を採ることが大事です。「地域の足」・「観光利用」は鉄道利用にとって両輪のような関係にあると考えます。
広島県を中心に走る芸備線を想定して申し上げますが、この路線を維持活用する場合、まずは周遊的利用(俗に言う「乗り鉄」利用です。これは広い意味での「観光」とも見なせます)などを促すための増便を図る。そしてその増便をより生活に密着した利用促進にも繋げていくという手段を取ると良いでしょう。

おわりに

鉄道の積極的な維持活用や、必要に応じた鉄道路線の新規建設、そして地方鉄道路線の積極的な維持・活用につながることを願いこの記事を投稿いたしました。

なお、
この記事の内容は昨年(2021年)に投稿した以下の記事の内容の一部を基に、新たに書き直し、一部内容的に書き加えたものとなりました。
以下の記事も併せてご覧頂けると嬉しいです。


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