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「させていただきます」とは言わなくていい

社内で電話をしていると、社長からダメ出しされることがあります。

よくあるのが「させていただきます」。そう言っているのを聞かれたら「させていただかなくていいから!」って電話口の向こうに聞こえるんじゃないかという声でつっこみが入るのです(他にも「お名前様」や「よろしかったですか」など色々とあります)。

初めてそんなシーンに居合わせた時はドキドキしたのですが、その一方でああもう「させていただく」って言わなくていいんだってほっともしました。

なので社内では使わないし、お客様や取引先に対しても全く使わないわけではないけれど、違う言葉で気持ちを伝える方法がないか考えています。

定着してからだいぶ経つ言葉なのに未だになじめないのは、きっとこう言っとかないと失礼になるって雰囲気がツライのだと思います。社長のそばでの電話はスリリングですが、違和感を感じながら話さずに済むのは気が楽です。今日の社長はそのあたりについて、もう少し考えて話そうよって話をします。

■経営理念も社是もないけれど 

あけましておめでとうございます。 

「一年の計は元旦にあり」というけれど、今年はいつも以上に先を見通すのは難しい。先のことより大事なのは、よい毎日を積み重ねていくこと。目標をたてることが重要とされているのは、その毎日の積み重ねが難しいからだと思う。

会社がそこそこ大きくなり社員数も増えると、会社の理念や社是を制定すべきだといろんなところに書かれている。 

そんなことも必要かなと考えつつ10年以上が過ぎ、最近では「カフーツには経営理念も社是もない」と静かに肯定するようになった。 

人間一人一人に確固たる人生に対する理念を求めることが難しいのに、会社となったら、その旗をもとに集結しようというのが、どうもしっくりこない。 

会社の目標なんて、自分でもよくわからない。一個人としてはなかなか達成できないことを、仕事を通して社会にもっと関わっていくための会社は器だと思う。 

あえて言うならば、自分たちだけでなく後に続く世代も含め、少しでもよい世界を迎えられるように貢献しているということが実感できれば、それはとてもいい会社でいい仕事だと思えるはずだ。

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このように大それた理念はないにしても、カフーツにおける言葉や書き方・話し方については自分なりのこだわりがある。 

会社の唯一の標語のようなものは、文章に関する「簡潔・丁寧・へりくだらず」である。 

日本語がほぼ完璧になった台湾系カナダ人の友人から、「日本語は本当に敬語が面倒くさくて、仕事の場面でうまく日本語を使えないよ」とこぼされた約15年前、僕は「敬語なんか気にしなくていいよ、対面だったらその表情やしぐさで全然カバーできるよ」「そもそも、させていただくみたいな単語が連発されるようになったのは、最近のことだよ」と説明した。 

年配者や上席を敬うカルチャーが希薄になりつつあり、日本語を習得する外国人も増えているのに、言葉はどうして逆の方向に進んでいるの?とその友人はとても意外だと驚いていた。 

その時に、ほかの言葉や文化ではどうなんだろうという話になって、少なくとも欧米の言語では簡素化されることはあっても、その逆はないなあということになった。

■もっと普通に話そうよ

ヒーローインタビューを観ていると「試合に出させていただて」というコメントをよく聞く。そのうちゴールを決めた選手が「ゴールを決めさせていただいて、とてもうれしく思います」なんて言い出すかもしれない。 

言葉は必要になるところからしか生まれないというけど、どんな社会の変化がこうした言葉を生んできたのだろうと問い続けている。

こうした言葉は比較的若い人たちを中心に生まれ、その後若く見られたい人に浸透し、組織が一般的なものにしていく。 

以前にも書いた過剰なまでの同調圧力と、言葉によってまで若く見られたいという世代の存在が、こうして日本の固有の現象をつくっているというのが僕の分析だ。

全体の風潮としては、なぜかわからないけどとにかく丁寧に話さなければいけない、短い言葉で断定することは避ける、ということのようだ。 

こうした言葉を頻繁に使うことの弊害は、思考の停止を招くことだ。本当に丁寧に、尊敬をもって話さなければいけない時にはどうやって話すの? 

もっと普通に話そうよというのが僕からみんなへのメッセージだ。今年は、うるさいと思われようと、気づいたら社内でもひとつひとつ指摘していくつもりだし、noteでもそのことについて書いていこうと思う。

<<今日のひとこと>>「おります」なんで?「います」じゃだめ? 

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