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微積物理 | 本質理解のために重要なこと

物理好き方からするとタイトルが気に食わないかと思いますが、
高校物理での微積分の使用
について思うところを述べてみたいと思います。


微積分を使用して受験物理を学習すべきか

先に結論から言うと、
「現時点で使用できるなら(数IIIまでの学習が終わっているのなら)した方がむしろ定理の理解が楽になる」
「必須ではないし、使わずとも物理の本質理解に近づけば微積でやっていることも理解できるようになる」
といった感じになります。

微積を使えば計算が楽になる、一瞬でどの問題も解けるようになるような魔法の道具ではありません。むしろ、よく分からずパターン暗記に頼ってしまっている部分の見通しを良くするために必要なのです。

そもそも高校物理はなぜ見通しが悪いのか

日本の高校物理の見通しが悪く、暗記主体とされる一因は、微分積分を用いずに公式化してしまうことにあります。そもそも運動の法則や電磁気学の基本原理は、微分方程式で表現され、それを解くことで物理的な挙動を予測するモデルです。これらの数理的背景を理解せずに、単に公式を暗記するだけでは、物理現象の本質的な理解が難しくなるのも当然のこと。

と言いつつも、まだ微積物理について知らないとピンと来にくい内容ですので、「レシピと料理の理解」を例に挙げて説明してみます。

料理(物理)を学ぶとき、レシピ(公式)だけを暗記するのではなく、食材の特性や調理方法の基本を理解する方が、どんな料理でも上手に作れるようになることは間違いないと言えます。例えば、卵を茹でる時間をただ覚えるのではなく、卵がどのように熱で固まるかを理解することで、半熟卵や固茹で卵を自在に作れるようになります。

同様に、物理の公式をただ暗記するのではなく、その背後にある微分積分の概念を理解することで、さまざまな状況に応じた問題を解けるようになります。微分積分は、物理の「料理の基本」を理解するためのツールと言えるでしょう。

おすすめする人

あくまで微積物理とは安定してどの大学の入試問題でも9割以上を取れるようにするためのツールと捉えてもらって差し支えないでしょう。

一方で、ほとんどの大学の合格最低得点割合は6割程度であることを考えると、別に物理で9割以上取る必要はありません。もちろん物理で9割取れれば合格はより確実なものになるでしょうが、他の科目を伸ばす時間と微積物理を学ぶ時間を天秤にかけてどちらの方がタイムパフォーマンスが良いかを考えておく必要もあります。

以上を踏まえて、微積物理をおすすめするのは以下のような方です。

時間があり、かつ後がない浪人生
物理がとにかく好きで本質理解を推し進めたい受験生

難関医学部を除けば微積を用いずとも満遍なく学習を進めることで合格は勝ち取れます。必ずやらなければならないというものではありません。

微積を用いた解説のある参考書

ここでは私が物理を学ぶ際に使用してわかりやすかった参考書をいくつか挙げてみます。

1. 新・物理入門

王道ですが、まとまりの良さを考えるとこれが第一に挙げられるでしょう。
ただ、気をつけていただきたいのは初学でこれを読んでもほとんど身にならないことです。最低でも学校の傍用問題集や基礎的な問題集を解いた後に読んでみることです。

2. はじめて学ぶ物理学

こちらは新・物理入門に比べやや敷居は低くなっていますが、これも初学で触っていいものとは言い難いです。
この参考書では具体例(よく見る設定)の現象を考察する形式で書かれており、実践的理解を深めていく事ができ、個人的には非常にためになった参考書です。
ほとんどの方は、こちらをベースに学習を進め、少し詰まったり、他の角度での説明が欲しくなったら「新・物理入門」を読むという流れで学習を進めるのがベストな気はします。

3. 新・物理入門問題演習

こちらは「新・物理入門」の演習書です。さぞかし難しいのであろうと身構える方も多いかとは思いますが、初見では難しくとも解説を読んで理解できないといったことはほぼありません。ここまでで学んだことを実践的にどのように当てはめていくのかを学習するのにうってつけの書籍です。
賛否両論あるようですが、個人的には独学で学ぶなら必須の書だとすら思います。


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