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大学への物理(力学1) | 運動の法則


前回は、ニュートン力学の舞台であり、直観的な空間の見方そのものである、ユークリッド空間と空間へのデカルト座標の導入について扱いました。

古典力学の創始者 | アイザック・ニュートン

高校で学ぶ古典力学の主役はなんといっても「リンゴが樹から落ちるのを観て、万有引力を思いついた」というエピソードで有名なアイザック・ニュートン(1643-1727)
高校で学ぶ古典力学、そしてその理論の中で使用される微分積分は彼によって形作られました。(古典力学が「ニュートン力学」とも呼ばれる所以です)

ニュートンが力学理論の前提(基礎)としたのは以下に述べる
運動の3法則万有引力のような遠隔的に作用する力です。

万有引力については後にまわすとして、しばらくは運動の3法則について見ていくことにしましょう。

3つの「運動の法則」

まずは運動の3法則を列挙してみます。

第1法則(慣性の法則) : 物体は力の作用を受けない限り、静止の状態、あるいは一直線上の一様な運動をそのまま続ける。
第2法則(運動方程式) : 速度が時間によって変化する割合(加速度)は質量に反比例し、その物体に働く力に比例し、その力の向きに生じる。
第3法則(作用・反作用の法則) : 二つの質点間にが働く時、それぞれの大きさは等しく向きは逆向きである。

ひとつひとつ見ていきましょう。

第1法則(慣性の法則)

この法則の言わんとするところは、
摩擦も向かい風、追い風もなくて完全な水平面上では、加速することも減速することもなくずっと同じ速度で進み続けるんやで。摩擦力とか力加えんとスピード変わらんのやで』
って感じ。

これ意外とイメージが難しいと思います。というのも現実にこんな状況存在しないんですよね。摩擦がないでいえば氷なんか近いかもしれませんが、風がないとか現実世界にあるのかどうか。
現実では水平面を物体が転がっていれば、ずっと同じスピードで動き続けるなんてことはなくいずれ停止することをみんな知っています。
これは他でもない向かい風による抵抗力や地面との摩擦力が働いているからです。
そんな中でこの第1法則(慣性の法則)仮になんも力が働いていなかったらスピード変わらんのやでということが言いたいんですね。

ほな力が加わった場合はどう考えるん?っていうとそれを第2法則(運動方程式)が説明してくれます。

第2法則(運動方程式)

これがいわゆる運動方程式$${\mathbf{F}=m\mathbf{a}}$$を与える法則です。なんかテンション上がりますね。
方程式の感覚を日常化してみるとこんな感じですかね。
『なんか邪魔な岩あるわ。押してみるか…あれ思ったより軽いわ簡単に動くやん。』
『また岩あるわ。う…全く動かんわこれ重くて無理やわ』

(こんな場面あるか!って感じですね。何か他にいい例あれば教えて欲しいです。)

要するに軽い物体は動きやすく、重い物体になればなるほど動きにくいってことを表現したいんですよね。ここで式に戻ってみましょう。

$${\mathbf{F}=m\mathbf{a}}$$
$${\mathbf{F}}$$は力$${(N)}$$, $${m}$$は質量$${(kg)}$$, $${\mathbf{a}}$$は加速度$${(m/s^2)}$$

加速度とは速度がどの程度変化するかを表します。
(位置・速度・加速度の詳細は次回(力学2)に預けます。)

この式の見方は力(F)を加えると、加速度(a)が生じると見ます。
ところで物体は重ければ重いほど動きにくいのでした。これを重ければ重いほど動く速度が変わりにくいと捉えます。
すなわち、質量(m)が大きければ大きいほど速度の変化(a)は小さいのです。
よってmとaは反比例の関係があると考えます。
これを式に直すと運動方程式の形が出来上がります。両辺をmで割れば、aがmに反比例することを示しているのは一目瞭然です。

第3法則(作用・反作用の法則)

これは運動量保存則を見ていく際にもう一度扱うことになりますが、イメージとしては

『サッカーボールや。サッカーしたことないけど思いっきり蹴ったるわ!』
『っ痛て!!ボールは飛んでったけど、なんでワイまで痛いんや!』

って感じです。これ経験ありませんかね。他にも思春期でもない限り、壁を思いっきりパンチする人もいないと思います。絶対痛いですもんね。

この痛みを説明するのが第3法則です。
要は、「何かに力を加えるとそれと全く同じだけの力が自分に返ってくるよ〜」ってことが言いたいんですよね。

うーん。ただこれ、自分が初めて見た時には全く同じというところがピンときませんでした。明らかにボールの方が痛そうですもん。
これについても運動量保存則と衝突を見ていく際に解決していきますのでご安心ください。

まとめ

正直いまいちピンとこない法則も多いのではないかと思いますが、一旦はそれで構いません。これから多くの問題を見たり、例を見ていく中でそれぞれの意味がわかってきます。物理の学習で大事なのは、定義や原理だけ見て理解しようとしないことです。さまざまな例を見ながら、自分の頭で理解する習慣をつけていきましょう。
次回は第2法則の有効性の理解のために位置・速度・加速度について見ていきます。

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