朝刊の記事から考える。「持続可能な投資 物言う株主監視」。

持続可能な投資 物言う株主監視という記事が掲載されている。Financial Timesの4月5日の記事の様である。

ESGと言う言葉はもう使わない、と宣言したブラックロックのラリー・フィンク氏がやり玉に挙げられているという。今回は便宜上ESGと言う言葉を一時的に復活させて冒頭の記事について考えてみたい。

記事はESG投資でその名を知られたブラックロックがブルーベル・キャピタル・パートナーズによって会長との兼任をやめ、さらに同社は持続可能な監督強化を求めているという。

ブルーベルは「ブラックロックの取締役会が独立して経営を監視できる体制になっていないのは明らかにガバナンス(企業統治)状の欠陥だ」、ESG投資が偽善」と主張している。また、記事にはブラックロックはESGに関する事業戦略が多方面から批判されているという。同様に「ESG投資が偽善」だとも2022年に批判している。

ESG投資をしている会社のガバナンスの欠陥が指摘されるというのが一瞬ピンと来ない。

恐らく議論を単純化するとこの記事のプレイヤーは以下ではないだろうか。
メモがてら少し整理してみた。

1)ブラックロック
機関投資家。元祖ESG推進派、持続可能な投資・気候変動ガチ勢。ラリーフィンクCEOの下ESG投資を推進していた。批判の矛先は主に2)の石油会社。

2)石油会社(例.エクソンモービル)
言わずと知れた化石燃料ガチ勢。株主総会などで1)のブラックロックなどに
化石燃料資源開発からの撤退などを求められていた。石油会社といっても国営石油会社、オイルメジャー、独立系など相違はあり、気候変動対策にも温度差があるが今回は略。

3)ブルーベル・キャピタル・パートナーズ
最近ハイライトされている第三極のニューカマー的アクティビスト。冒頭の記事でブラックロックのESGを偽善だとして批判している。物言う株主に物言う立場なのか。他にも化学会社などに株主提案を展開している模様。今後の台風の目になりそう。

今後は3)のようなアクティビストが安穏とした環境経営に殴り込みをかけていくような気がする。資金はもちろん潤沢にあるであろうが、資金の流れ、あるいは、どのような動機に基づいているのか、記事からは判然としないものの、「持続可能」というリベラル的・左派的な流れに対するアンチなのだろうか。はたまた、環境を巡るコーポレートガバンス界隈に異変ありだろうか。

反ESGの流れは最近目立っており、昨年の以下の記事に依ると米国内の保守強硬派は「ウォーク・キャピタリズム(社会正義に目覚めた資本主義)」とみて批判を強めているという。


余談だが、記事の中に出てくるJPモルガンの投資家のニックネームが「ロンドンの鯨」。大江健三郎の小説にでも出てきそうな名前だ。

以上。

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