朝刊の記事から。「東芝 上場廃止へ 出資20社と再生探る」

東芝が12月20日上場廃止となる。

以前「東芝事件総決算」という書籍を読んだが、報道でもなされているように、
1)ウエスチングハウス買収>破綻
2)不正会計
という主な二点が、経営の混乱の要因である。

木曜日の朝刊にもあるが、東芝の事業は実に多岐に渡っている。発電・原発・鉄道・交通・水処理・半導体等である。このどれもが高い専門性と技術力を必要とすることは言うまでもない。現場で高い矜持を持ち日々働いている技術者の無念は想像すら出来ない。

想像しても詮無きことだが、もし、北米の原子力に進出していなければ、あるいは東日本大震災後に然るべき方針転換をしていれば、あるいはもし不正会計に手を染めると言ったことをしなければ、今でも東芝は現在のような迷走劇は無かったのではないかとすら思える。

また一通りのコーポレートガバナンスが出来るはずの大企業においてすら
経営の迷走が止まらないと言う点に日本型経営の限界を見る思いである。筆者が東芝の帰趨に関心を寄せるのは、日本型経営の宿痾を象徴してるように思えるからだ。

この罠に陥った企業は容易に抜け出せないと思う。2023年現在、巷間問題になっているいわゆる就職氷河期と呼ばれる、本来社会の中枢を担うはずであった人々が就労できていないという構造的な問題も事態をより絶望的にしていると考える。

なぜなら東芝の手がけている事業が必要とする人材は、熟練した技術や高度な専門性を必要とするものであり一朝一夕に習得できるものではない。ガバナンスの問題だけであれば経営者をまずは変えることからスタート出来るかもしれないが、人材不足への処方箋は無いので、試練は続く。

また、一旦分社化した企業を再統合することに象徴されるように、組織改編を繰り返すことも日本企業の悪い癖である。これについては以前、以下の記事で言及した。

東芝は今でも入社するのが狭き門の名門企業の一つであるという印象は変わらない。企業経営においては順風の時ばかりではなく逆境もまた世の常であろう。良き方向に行くことを願いたい。

以上。

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