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5分でわかる!会社の決算開示書類の特徴とおすすめの使い方【入門編】

今回は、普段あまり決算書を読まない方向けの入門編です。
会社の数字を調べる際にはもちろん、ビジネスパーソンの常識として(?)知っておいた方が良い内容です。

■この記事でわかること
・上場会社の決算書類の種類とその特徴
・おすすめの使い方

決算に関する開示書類は大きくわけて3つ

決算に関する主要な開示書類は大きく3つあります。以下では、①を有報(ゆーほー)、②を短信、③を説明資料と呼びます。

① 有価証券報告書(4Q)・四半期報告書(1-3Q)
② 決算短信(4Q)・
四半期決算短信(1-3Q)
③ 決算補足説明資料・説明会資料

※上記の他に、株主総会招集通知(会社法計算書類)、コーポレート・ガバナンスに関する報告書、アニュアルレポート等々様々な書類がありますが、今回は基本的にどの上場企業でも会社のHPから入手できる「数字に関連した」開示書類3つを紹介します。

ポイントは開示”義務”があるか

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開示義務があるということは、書かなくてはいけないことが決まっているので、どうしても形式的になります。そのため、”開示義務のある”有報や短信はあまり慣れていない人が見るととっつきにくい印象があると思います。

一方、開示義務がない、つまり会社が任意に開示しているということは、会社としても開示する主体的な目的があります。”開示義務のない”説明資料の場合、それは投資家に会社をアピールすることです。いわば”会社の”営業資料です。
もちろん、間違ったことは書けないですが、悪いことや出したくない情報をあえて出す必要はありません。言葉は悪いですが、ある程度恣意的に情報をコントロールできます。そのため、資料を一読した際の印象と、会社の実態や将来性が乖離する場合がある点に注意が必要です。
(悪いことを悪いと言うことで投資家からの信頼が得られる場合もありますし、良いことだけ書きすぎるとかえって良くない印象を与える場合もあります)。

有報と短信の大きな違いは監査対象かどうか

また、有報と短信の大きな違いは、監査対象かどうかです。
もちろん、ベースとなるBS、PLなどは同じですが、有報は、監査法人がチェックした後に開示される書類である一方、短信は、数字にしても文言にしても監査法人がチェックする義務はありません(サービスとして見るとクライアントから喜ばれますがあくまで、監査対象外です)。その分、短信は早く出してねというのが東証の意図です。なので、基本は合っているはずですが、有報と比較すると小さい間違いはちょこちょこ起こります。

(参考:「決算短信・四半期決算短信 作成要領等 - JPX」より抜粋)

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■補足(飛ばしてOK):
・説明資料は原則として開示義務はありませんが、東証マザーズの上場会社は、年2回以上、当該会社に対する投資に関する説明会を開催する必要があり、その資料の開示も求められております
・東証は、短信には速報的な役割が求められると言っていますが、実際は、四半期報告書と四半期決算短信を同時に出す会社も多いです

以上、紹介した3つの開示書類のイメージをそれぞれ一言で表現するのであればこんな感じでしょうか。

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3つの開示書類のおすすめの使い方

最後に、これら3つの開示書類の特徴を踏まえ、ざっくりとした使い分けの紹介です。

1.まず、説明資料で会社のビジネスモデル、概況をつかむ
2.気になる数字を短信(又は有報)から引っ張ってきて分析(期間比較等)
3.深堀したい点があった場合は有報(やその他開示情報)を調べる

2. について、短信(や有報)でとても役に立つのが「セグメント情報」(通称セグ)です。
セグメント情報には、その会社の事業ごとの売上高、利益(ユーザベースの場合はEBITDA)等が開示されています(会社によっては、単一セグメント(=事業は1つ)として省略しています)。

㈱ユーザベースの例(「2020年12月期 第1四半期決算短信」より抜粋)

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有報、短信のどこを見たらいいかわからないという方は、「セグメント情報」だけでも良いので検索して見てみてください。過去からの数字を並べるだけで、会社のどこが伸びていて、どこが儲かっていて、どこに投資をしているのかがわかります

具体的にどのように分析するかの例は、企業分析のNoteで適宜紹介していきますので、是非フォローをお願いします!

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