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シューマンに影響されました~40回定期の聴きどころ~

アンサンブルSAKURAの第40回定期演奏会を、11/19に開催します


演奏会まであと2ヶ月少々に迫りました。
今回のnoteからは演奏会の聞き所や、取り上げる作品の背景や、知っておくとより演奏会を楽しめるような、ちょっとした知識をお伝えできればと思います。

第 1回目の今回は「ペール・ギュント」の作曲者であるグリーグがどんな人なのか、書いてみました。

開演時間がいつもより1時間早いです。ご注意ください


作曲家グリーグの有名な作品と言えば、こちらです!

ピアノ協奏曲

ホルベルク組曲

ペールギュント 朝

ペールギュント 山上の魔王の宮殿にて

どの曲も掴みがいい!!

クラシック音楽というと、ベートーヴェンの第九のように、有名どころが曲の終わりの方になって初めて出てくるような作品も多いのですが、グリーグはさにあらず。どの作品も、曲のド頭から有名な旋律があふれ出てきます。

北欧はノルウェーの作曲家で、生前は作曲家としてだけではなく、ピアニストとしても、ヨーロッパ中を股にかけて活躍しました。実は案外最近の人で、生まれは1843年。日本でいうと天保14年、明治時代に活躍した外交官の陸奥宗光の1歳年上です。生前の自作作品の演奏が録音されており、今でも聞くことができます。

シューマンのピアノ協奏曲の冒頭と、グリーグのピアノ協奏曲の冒頭はとてもよく似ています

まずは冒頭を聴き比べてみてください。

シューマン

グリーグ


オーケストラ全員で強烈な一音を弾いたあと、ピアノが上から下へと駆け落ちて行くかのような音を奏でます。シューマンとグリーグのピアノ協奏曲の冒頭は大変よく似ているのです。シューマンが妻のクララに対して「恋に落ちる」心の動きを描いたとするなら、グリーグは北欧の静かなフィヨルドへ清らかな滝が落ちる様子、といったところでしょうか。

当時熱狂的な人気を博したピアニストにして作曲家のフランツ・リストは、この曲を初見で弾くやいなや「これこそ北欧だ!!」と叫び、グリーグを讃えたと言われています。

確かにノルウェーの気候はドイツやオーストリアよりも冷涼ですから、それが使われる音にも影響しているように思います。

ライプツィヒで音楽を学びました


グリーグはノルウェーのベルゲンという街に1843年に生まれました。幼い頃から、ピアノの素養があった母親にピアノの手解きをうけます。当時ノルウェーで高名なヴァイオリニストであった「オーレ・ブル」に才能を見いだされ、ドイツの「ライプツィヒ音楽院」に留学します。

ライプツィヒ音楽院とは、結婚行進曲、ヴァイオリン協奏曲などの名作で名高い、ドイツの作曲家メンデルスゾーンが設立した音楽学校です。メンデルスゾーンやシューマンらが教壇に立ち、当時の最先端の音楽教育が行われていました。

グリーグが留学した当時はメンデルスゾーンやシューマンはすでに亡くなっていましたが、シューマンの妻でピアニストのクララはまだ健在。留学中にクララが演奏するシューマンのピアノ協奏曲を聴いたそうです。

グリーグの音楽の美しさは、北欧の自然、風土がベースになっているのはもちろんですが、ドイツロマン派の美しく素敵な音楽も、彼の作風に大きな影響与えたものと思われます。

シューマン夫妻

どちらも愛妻家

グリーグもシューマンも、生前は大変な愛妻家だったそうで、それが作品にも現れています。以下の二つはそれぞれの妻(シューマンはクララへ、グリーグはニーナ)へ宛てた作品で、どちらも大変美しい作品です。

シューマン:三つのロマンス

グリーグ:君を愛す


グリーグの「君を愛す」を何も知らない状態で聴いたとして、これはシューマンの作品です、なんて言われても、特に違和感を感じること無く納得してしまいそうです。Ich liebe dich(英語でいうところのI love you)と、何度も何度も、こちらが恥ずかしくなるくらい繰り返します。SNSなんかを見ていると、夫あるいは妻への愚痴、不満、果ては「損する結婚、得する離婚」なんて言葉ばかりが目につく昨今ですが、なんだか心洗われるような思いがいたします。

グリーグ夫妻

対する、シューマンの「三つのロマンス」。これはあくまでも個人的な印象ですが、妻であるクララへの想いというのは、純粋な愛情だけではないように思います。シューマン夫婦は生前、妻のクララの方が天才ピアニストとして世間から広く認知されており、夫のシューマンはクララの付き人、という扱いを受けることが多かったとか。当時は夫は妻を養って当然という圧力が、今とは比べ物にならないほど強かったはずで、シューマンへの周囲からの風当たりは相当なものだったでしょう。

1楽章の暗い響きは、妻への引け目、負い目、夫シューマンの心のうちをそのまま描いているように思います。2楽章の中間部での葛藤を経て、3楽章で心の中の折り合いをつけていく、そんな風な作品に思えます。

ロマン派音楽と北欧の大自然のいいとこ取り!

グリーグの作品は、シューマンに代表されるロマン派音楽に、北欧の豊かで深い自然の風景がプラスされた素敵なものばかりです。室内楽の小規模な作品、特にピアノと歌の組み合わせの作品は妻への愛に溢れた美しい響きのものが沢山あります。

便利な時代で、YouTubeなどの動画サイトでグリーグの作品を沢山聴くことができます。お時間のあるときにグリーグの作品をいくつか聴いて頂き、ノルウェーの豊かな自然、グリーグの人となりに想いを馳せて頂けると幸いです。

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ぜひ、SAKURAの演奏会にお越しください!

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アンサンブルSAKURA第40回定期演奏会
日時:2023/11/19(日)12:30開場13:00開演
⚠️開演時間が1時間前倒しとなってます⚠️
会場:浅草公会堂
指揮:高石治
入場料:1,000円(当日券あります)

曲目:
グリーグ/ペールギュント 抜粋
シベリウス/フィンランディア
シベリウス/交響曲第1番

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