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シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵』の読書ノート
高校には大きな図書室があって、私の一番好きな場所だった。岩波文庫や講談社の学術文庫がほとんど全部揃っていて、帰宅部だった私は、窓際に並んだ机で毎日のように本を読んでいた。
自分の背丈を超えて並ぶベージュ色の背表紙の中から、『重力と恩寵』という断想集を手にとったのは2年生の時だった。タイトルから難解な哲学書を想像していた。想像に反して、それは人の魂や、神学、ギリシャ悲劇、不幸、労働などのテーマにつ
あんまり人の誕生日に暗い本ばっかり送りつけるべきではない
これは友人の誕生日におくった3冊の本の短いブックガイドです。3冊とも、本屋で平積みされる本でもなく、著者も知らない人、タイトルもなにか難しそう、なんだこの変な本、と思われて終わるのも悲しいので、説明書きを付そうと思って作ったのがこのnoteです。
1. 永井玲衣『水中の哲学者たち』
わたしは、どんよりとした苛立ちに心を浸しながら「どうか世界がこれ以上速くなりませんように」と祈った。(『水中の哲