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月々の短歌

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その月に発表した(された)短歌抜粋です
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#現代短歌

2020年3月の歌

朝のまま時の止まった家に着きセーターを抱く猫の代わりに 指だけの動画がひどく妬ましい花か…

2020年2月の歌

アルバイトを叱る怒声に丼をただ見つめおり縁のぐるぐる 鏡には「祝開店」の文字があり贈った…

2020年1月の歌

胡蝶蘭美しき葉書が届きたり会いたい人には会いにゆくこと あまりにもひどい失恋 脳内の鉄矢…

2019年12月の歌&2019年自選歌

<2019年12月の歌> 舞茸を花占いのごと裂きぬ明るい部屋で待つだけの日に 砂糖菓子みたいな…

2019年11月の歌

年上の同級生が体育を休んで見ているプールのうねり 飛び方を知らぬかのよにゆっくりと鳩は歩…

2019年9月 自選短歌

わたしたちの隙間に降った夕立はそろそろ海に変わりましたか ジムで漕ぐバイクを外で漕いだな…

2019年8月 自選短歌

待つほどにやさしく撫でる三越のライオン像のひかる前足 罪のない青空である 記念日の写真いちまい撮れない僕ら とりあえず叱らずにおく 竹輪から覗く世界は明るいですか まだ細い無邪気な小指 約束の破り方など知らないでいい 引き菓子のカステラを切る あの人の名前のところはわたしが食べる ガラス越し無声の喜劇映画めくゲリラ豪雨におどる往来 殺す気はなかったという言い訳を羽虫は聞けず白シャツに染む 夫という人の襟袖洗いつつダリとガラにはなれぬと思う うたの日への出詠がい

2019年7月 自選短歌

会いたさが届くだろうか「会いたい」を「逢いたい」にして送信をする 漬ける手の皺を見ていた…