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朝のまま時の止まった家に着きセーターを抱く猫の代わりに 指だけの動画がひどく妬ましい花か…
アルバイトを叱る怒声に丼をただ見つめおり縁のぐるぐる 鏡には「祝開店」の文字があり贈った…
胡蝶蘭美しき葉書が届きたり会いたい人には会いにゆくこと あまりにもひどい失恋 脳内の鉄矢…
<2019年12月の歌> 舞茸を花占いのごと裂きぬ明るい部屋で待つだけの日に 砂糖菓子みたいな…
年上の同級生が体育を休んで見ているプールのうねり 飛び方を知らぬかのよにゆっくりと鳩は歩…
わたしたちの隙間に降った夕立はそろそろ海に変わりましたか ジムで漕ぐバイクを外で漕いだな…
待つほどにやさしく撫でる三越のライオン像のひかる前足 罪のない青空である 記念日の写真いちまい撮れない僕ら とりあえず叱らずにおく 竹輪から覗く世界は明るいですか まだ細い無邪気な小指 約束の破り方など知らないでいい 引き菓子のカステラを切る あの人の名前のところはわたしが食べる ガラス越し無声の喜劇映画めくゲリラ豪雨におどる往来 殺す気はなかったという言い訳を羽虫は聞けず白シャツに染む 夫という人の襟袖洗いつつダリとガラにはなれぬと思う うたの日への出詠がい
会いたさが届くだろうか「会いたい」を「逢いたい」にして送信をする 漬ける手の皺を見ていた…