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ユーザーの追跡をしない検索エンジン「Brave Saerch」から想像してみたこと

プライバシーや独自の広告配信モデルを採用したブラウザを開発しているBraveが、検索エンジン「Tailcat」を買収したと発表してすぐに、独自の検索エンジン「Brave search」のβ版を公開しています。
https://search.brave.com/

個人的にはBraveブラウザをメインに使っているので、BATとの連携などがあったら面白いな、などとつい反応してしまいます。

ブレイブサーチはベータフェーズのこの初期段階では広告を表示していませんが、広告なしの有料検索と広告でサポートされている無料検索の両方のオプションを後で提供します。準備ができたら、Braveユーザー広告の場合と同様に、BAT収益分配のあるプライベート広告を検索に使用する方法を検討します。
引用:https://brave.com/brave-search-beta/(google翻訳)

検索サイトを使う側としては、単純に検索するという目的であれば、Googleを使うでもyahooを使うでもどこでもいいのですが、特徴としては、「ユーザーのIPアドレス」や「個人を特定できる情報」などの追跡やトラッキングを行わないことが最大の特徴とされています。

個人データを追跡することを良しとしない背景

それがなんなのかと思う人もいるとおもうのですが、自分たちはネット上でさまざまな個人データを、Googleを中心とした様々なプラットフォーマーに提供しています。それらデータをもとに解析、分析、仮説、検証など行い、ユーザーのために広告やコンテンツ表示の最適化のために活用しているわけです。

普段から人間の処理能力が追いつかないほどの情報に触れているわけですから、最適化してくれるのは見方によっては良いことのように感じますが、過度な情報収集や追跡、節操のないアプローチで広告疲れしてしまうことが多くなってきているのも事実です。自分も広告ぽいものは比較的避けている部分はあるかもしれません。

また、これは広告とかそういう話だけでなく、ときに最適化の名のもとに個人の考えを無意識に誘導したり、行動パターンにあわせて人をコントロールしたり、個人の安全や生活を脅かすことすらあるわけです。

重要な事とは理解しているものの

そもそもサービス提供側も扱うものの重要度は理解しているけども、どこに何が書いてあるのかわからないくらい小さく表記したり、読むことを前提としていないデザイン、または意図的に関心を向けさせないようなサイト・サービス設計にも問題はあります。まだまだこのようなサイトが多いのだと思いますが、ここ数年でUI的なアプローチで意識が向くような改善も多くなってきています。

Googleはプライバシーに関するページでは、動画での説明なども加えて、自分のデータの利用を自分で選択できるように、かなり丁寧にページを作り込んでいます。

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EUでは一時的に個人データをブラウザに保存する仕組みのcookieに対する規制「EU 一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)」などがあり、サイトに入る前にCookieの使用を同意を、わかりやすく明示しています。日本の企業でもEU圏のユーザーが訪れる可能性のあるサイトについては、同様の対策を取っているサイトも増えており、GDPR対策のクラウドツールや、ワードプレスなどのプラグインなどもあるので、比較的簡単に導入しやすい環境にもなってきています。

ウィンドウ

アップルなどではアプリのダウンロードページに、このアプリがどのような個人データを必要としているかを、統一した表現でわかりやすく表示しています。食品の栄養成分や原材料を見て食品を選ぶように、どのような個人データが利用されるのかを見て、アプリを選ぶ判断基準にできるようなUIになっています。

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良質なコンテンツが望まれる

プラットフォーマーたちの変化、ユーザーの意識の高まりとともに、従来の広告を収入源としたパブリッシャーも変化してきています。

記事の一部を有料化するペイウォールであったり、サービスやコンテンツを定額制にするサブスクリプションなど、質の高いコンテンツやサービスを有料で提供することが多くなってきました。(一昔前は情報はタダみたいは風潮があった)少し極端ではありますが熱量を共有するようなサロンのようなものもその類のものかと思います。

それらの良質なコンテンツに集まってくる、コンテンツ関心度の高いユーザーに対して、閲覧しているページの内容に関連の深い広告を表示するコンテキスト・ターゲティングというものが注目されているのも理解できます。

例えば自分はアディダスが好きで、スポーツブランドに関連する詳しい記事を見ていると、そのページ内に新しく発売されたスニーカーの広告が表示されるみたいなイメージでしょうか。それは表示する側のページの内容を解析して表示する広告なので、個人のデータは必要ないものです。

Braveは多くのクリエイター(パブリッシャー)とつながり、サイトに報酬を得られるような仕組みで、質の高いコンテンツを生み出す配信先とのつながりを構築しているようにも見えます。Braveがまだ開発中といっているパブリッシャー広告というのはコンテキスト・ターゲティングに近いもののように感じます。

自分たちの立ち回りも考える

個人データを追跡しない検索エンジンときいて、カスタマージャーニーが通用しにくくなる世界(?)を想像してみたとき、安心・安全というワードも選ばれる理由の比重を占めてくるようになるのではと想像してみました。

そして選択・行動までを短期決戦に持ち込むためのクリエイティブです。
関心度の高いユーザーであれば、グッとくる何かがあれば買う予定がなくてもポチっとしたくなるようなクリエイティブのイメージです。
UI/UXは語らずともあたりまえのこととして、唐突に心を動かす情緒に訴えるようなデザイン(コピー、写真、動画、音楽の表現力、理屈ではない何か)も、求められる局面が多くなったら楽しそうだなあと、都合のよい妄想を膨らませております。

Brave searchのような検索エンジンが出てきたからといって、急になにかが変わるというわけではないと思いますが、出てくるサービスなどにより自分たち提案・制作・開発などの立ち回りが変化することがあります。
結局のところ質の高いコンテンツが望まれるというところは変わりないのですが、こうしたちょっとした変化にも敏感でいたいところです。


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