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企画の立ち上げについて① - IT×お化け屋敷「怨の家」制作裏側

岐阜県大垣市の古民家をリノベーションしたイベントスペース「ennoie ミドリバシ」を貸し切って開催したお化け屋敷「怨の家」(主催:合同会社4D Pocket×カラメル、協力:HOPTER TECH SCHOOL)。
その制作の裏側をお見せします。

IT×お化け屋敷「怨の家」プロデューサーの石郷 祐介です。
ITを使った無人のお化け屋敷の企画がどのように立ち上がったのか、その経緯と意図について記録していきたいと思います。

1. 企画の経緯

「怨の家」主催であり、私が代表を務める「合同会社4D Pocket」は、他業種の企業と連携して研究開発のサポートを行う企業です。他社の新事業や新サービスの立ち上げに対して、コンセプト段階から参画し、アイデアの提案からプロトタイプの開発まで行います。
基本的に開発請負のような上下関係を持たず、クライアントと同じ立場で共同開発するというのが特徴です。

ただし、このような開発は、弊社のシーズとは関係なく、クライアントの話を聞きながらプロトタイプのゴールを決めていくので、開発にあたって使用する技術どころか制作物のジャンルまでフタを開けてみないと決まらないことが多いです。

IoTのためのセンサデバイス、ロボット、モバイルアプリ(iOS/Android)、Webアプリ、Webサイト、フライヤー、3Dモデリング、データベース構築、既存システムの改修等々

4D Pocketの制作物

基本的にはクライアントのニーズに合わせて開発できる体制を持っているので、悩みやコンセプトを語ってもらえれば良いのですが、クライアントが依頼するにあたって

そもそもITでどのようなことができるのかを知らないと相談しづらい

という意見も聞かれるようになりました。
そこで、当初は弊社が持っているセンサやアプリ、ネットワーク構築の技術を見てもらうための展示を考えました。しかし、事例を公開してしまうと、最初からその方向性で企画が立ち上がってしまい、柔軟な発想が出なくなってしまう懸念があります。
そこで、ソリューションといった具体的な事例を見てもらうのではなく、違った技術の使い方から、自社での活用方法を考えてもらうという形になりました。

2. IT×お化け屋敷

どのような形で弊社の技術を見せていくのか。
入力(センシング)もあれば、出力(デザインも含めた表現)もあるので、ひとつのコンテンツの中に複合的な技術が内包できる分野である必要がありました。
さらにITに詳しくない方でも理解いただけるには、わかりやすいコンテンツであることが求められます。
そこで考えたのが「お化け屋敷」でした。

企画書時のメインビジュアル

技術には、それぞれに得意・不得意な条件が存在します。
そのため、一般的な案件の場合、課題に合わせて技術を選定していくことになるのですが、お化け屋敷では自分たちで各技術に最適な環境を作ることができます。最適な環境を作ることで、その技術の良さを最大限に見せることができると考えました。
また、開発の方向性が明確になるということも利点のひとつです。今回のプロジェクトは規模が大きいので、私が代表を務めている「一般社団法人HOPTER TECH SCHOOL」(https://hopterschool.or.jp/)の学生や以前勤めていた専門学校の教え子と協力して制作することにしました。
また、ちょうど教え子の2人が個人事業主として活動をはじめ、制作集団カラメルという団体を立ち上げたところでしたので、このプロジェクトをPRに使ってもらいたいという想いもありました。2人は、後にプロジェクトの中心(総合ディレクター、テクニカルディレクター)となって活躍してくれました。

途中で諸々の事情から一部のメンバーの入れ替わりが発生しましたが、最大で20名程度にもなるメンバーをまとめながら、長期間の開発で一定のクオリティを維持するためには、アイデアや開発の両面において、明確な指針が必要になります。
お化け屋敷は、どのような方法であれ来場者を驚かせれば良いというシンプルな目的のため、メンバー全員が方向性を共有しやすいです。

最後に企画書に書いた企画概要を載せておきます。

ITを用いた様々なアイデアと技術で企業の研究開発を支援している合同会社4D Pocketと制作集団カラメルが手を組み、IT×恐怖体験をテーマにした新感覚お化け屋敷を開催します。
体験者は1組(最大3名)となり、入り口で渡されるiPadの指示に従いながら、舞台となる「怨の家」で起こった過去の出来事の真相に迫り、恐怖が巣食う家からの脱出を目指します。
演出には、最先端なITを用いたアプリ、センサ、ロボット、ネットワーク、映像が用いられており、プログラマやデザイナー、カメラマン等の専門技術を持ったスタッフが、それぞれの分野の技術を「恐怖体験」という形で集約し表現します。

企画書の概要文

こうして、IT×お化け屋敷の企画が立ち上がりました。



この家にあの子は奪われた――
ITを用いた驚かせ役がいない前代未聞の無人お化け屋敷「怨の家」
日時:8月27日(土)・28日(日)
参加:完全予約制(32組限定)
場所:ennoie ミドリバシ(岐阜県大垣市西外側町2丁目46)
https://ennoie.4dpocket.co.jp/

「怨の家」スタッフ
【プロデューサー】石郷 祐介(合同会社4D Pocket)
【総合ディレクター/演出】青木 聖(カラメル)
【アートディレクター】中村 魁斗(HOPTER TECH SCHOOL)
【テクニカルディレクター】佐藤 宏樹(カラメル)
【演出補佐/撮影/広報】清水 亮太
【演出補佐/デザイン/Web】出口 瑞渉(HOPTER TECH SCHOOL)
【デザイン】小寺 真里亜(HOPTER TECH SCHOOL)
【開発】間宮 祥太(サン企画)、石原 武流(HOPTER TECH SCHOOL)、木村 俊行(HOPTER TECH SCHOOL)、地海 斉樹(HOPTER TECH SCHOOL)、若林 亮吾(HOPTER TECH SCHOOL)、江﨑 亜美(HOPTER TECH SCHOOL)、奥村 元春(HOPTER TECH SCHOOL)、後藤 翔哉(HOPTER TECH SCHOOL)、中島 暢慎(HOPTER TECH SCHOOL)、深尾 真矢(HOPTER TECH SCHOOL)、山田 さくら(HOPTER TECH SCHOOL)


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