タイプ4とタイプ6に贈る「リアリティ・チェック」のすすめ

エニアグラム・ファシリテーターの高橋あけみです。

今日は、タイプ4タイプ6の方々に(今日からでも)実践していただきたい「リアリティ・チェック(現実確認)」というワークについてお話ししてみたいと思います。

人は現実と思いこみを混同する

早速ですが、皆さんはこんなことを思った経験はないでしょうか。

(A)「上司からミスを指摘された。すごく不機嫌そうだ。あの上司は、私がこの職場を辞めたほうがいいと思っているんだ」

(B)「好きな人からのLINEが2日経っても返ってこない。きっと私は、彼(彼女)の気分を害することを言ってしまったんだ・・・」

(C)「SNSで、相互フォローの人が誰かを批判している投稿を見かけた。誰についての発言かは書いていないけれど、内容からするに、たぶん私について言っているんだろう。他にも、私のことを嫌っている人がいるに違いない・・・」

どうでしょうか。ちなみに私はなかなか心当たりがあります(汗)。一度こんなふうに思い始めると、ひどく落ち込みますし、長い間引きずってしまったりもします。

しかし、この(A)~(C)の文章を読んでいただくと、「事実」と「自分の推測」が混同しているのに気がつくと思います。

タイプ4とタイプ6に限らないのですが、私たちは普段、「現実」を「現実」として正確に認識していることは稀です。なぜなら、見たもの・聞いたものを「解釈」するときに、少なからず、自分の思いこみや先入観の影響を受けるためです。

(少し前に『FACTFULNESS』という本が流行りましたが、この本は私たちの現実認識がいかに思いこみに左右されるかを明らかにしていました)

どのタイプの方であっても、自分自身や他者に抱くイメージ、また他のさまざまな物事に対する捉え方には、そのタイプ特有の歪みというか偏りがあります。

タイプ4やタイプ6の場合は、特に、他の人の言動を過剰に(しかも悪いほうに)解釈してしまう傾向があります。

もう一度、冒頭の3つの例を挙げてみたいと思います。

(A)「上司からミスを指摘された。すごく不機嫌そうだ。あの上司は、私がこの職場を辞めたほうがいいと思っているんだ」

(B)「好きな人からのLINEが2日経っても返ってこない。きっと私は、彼(彼女)の気分を害することを言ってしまったんだ・・・」

(C)「SNSで、相互フォローの人が誰かを批判している投稿を見かけた。誰についての発言かは書いていないけれど、内容からするに、たぶん私について言っているんだろう。他にも、私のことを嫌っている人がいるに違いない・・・」

(A)の例では、「上司からミスを指摘された」のは実際に起こったこと(事実)ですが、「すごく不機嫌そう」「あの上司は、私がこの職場を辞めたほうがいいと思っている」というのは、あくまでも自分の推測です。不機嫌なのは別の理由があるからかもしれないですし、上司は一つのミスについて注意しただけで、全体的には自分を評価してくれているかもしれません。

(B)の例でも、「相手から返信が来ない」からといって「彼(彼女)の気分を害することを言ってしまった」とは限りません。ただ向こうが忙しかったり、LINEを返すのが苦手だったりするだけかもしれないですよね。その他にも、思いもかけない理由で返信が遅れていることもあります。

(C)の例では、何重にも推測が重なっています。まず、その人が自分についてコメントしたのかどうか定かではありません。また、仮にそうだったとしても、その人が自分という人間そのものを嫌っているとは限りません。さらに、「他にも私のことを嫌っている人がいる」かどうかも、不確定なことです。

こうして客観的に見てみると、思いこみが非合理的であることに気づけるのですが、当事者になってみるとなかなか難しいことです。タイプ4もタイプ6も反応型のタイプなので、トラブルが起きたときに、理屈で処理するよりも先に感情が反応します。そして感情に駆られて、的はずれな方向へ思考が展開してしまうことがあります。

ゆえに、感情を落ち着けるためにも、客観的な事実を整理することが必要になります。

「リアリティ・チェック」を実践する

「リアリティ・チェック」とは、直訳すれば「現実確認」です。つまり「現実で、実際に」起きていることは何なのかを確認するという作業です。

具体的には、何よりもまず、「実際に起きていること(事実)」と「自分の推測」を区別する必要があります。頭の中で「あの人、きっと○○って思ってるな」と推測し始めていることに気づいたら、立ち止まる癖をつけてください。それ以上推測が発展しそうになるのをぐっとこらえて、次のことを試していただきたいと思います。

★その人がどういう意図で言っていたのか、直接聞いてみる。

一番確実な方法です。実際に腹を割って話してみると、相手は全然違うことを考えていた、ということは少なくありません。今よりもっと相手と打ち解け、信頼し合える仲になることもあります。

ただ、相手に直接聞けるような場面ばかりではないと思います。そのようなときは、次のことを頭の中で行うか、実際に紙に書いてみることをお勧めします。

★その人の一つの発言から解釈するのではなく、他の言動はどうだったか、具体的に挙げてみる。

特に、自分の考えとは逆のことを証明する根拠がないか、探してみてください。例えば、「あの人に嫌われているんじゃないか」という考えが頭から離れないときは、その人が自分を褒めたり好意を示してくれたことが本当になかったか、思い返してみます。

注意点としては、表情やしぐさから読み取った心理(「きっとこう思っているんだろう」)ではなく、その人が「実際にした発言や行動」をリストアップすることがポイントです。

もう一度言います。表情やしぐさではなく、その人が「実際にした発言や行動」を挙げるようにしてください。

それでも、例えばSNSでの付き合いしかない相手などは、リストアップできる情報量が少ないかもしれません。あるいは、人から批判された内容が的を射ていた場合、的を射ているからこそ深く胸に刺さってしまうということもあると思います。

しかしながら、その人が指摘しているのは、あくまでもあなたの一側面にすぎません。あなたがこれまでにやってきたことも、あなたの抱えている思いも、その人はほとんど知らないままに発言しています。

残念なことに(?)人というのは他人にそこまで関心をもっているわけではありませんし、他人の行動すべてを逐一チェックしているわけでもありません。彼らもまた、あなたの言動の一部を切り取って、勝手に解釈しているだけかもしれないのです。

おわりに

タイプ4もタイプ6も、感受性が強く、自分の感情にも他者の感情にもよく関心を払う人たちです。人の心に対する洞察が豊かで、価値のある気づきを得ることもあります。

ただ、しばしば「客観的な事実」と「主観的・感情的な思いこみ」をごっちゃにしてしまうことがあります。自分の直観的な洞察を、目に見える事実によって裏付ける姿勢をもつことが大切です。

また「他人の心の中は、外からは案外分からないものだ」と思っていたほうが、賢明で謙虚でいられます。

なお、ここは強調しておきたいのですが、事実と思いこみを混同してしまうのは決してタイプ4とタイプ6だけではありません。他のタイプも、それぞれ特有の思いこみがあります(例えば、楽観型のタイプは、状況を実際以上に良い方向に捉える傾向があります)。この記事では一つのパターンとして、この2つのタイプの傾向を取り上げました。

最後に、リソ&ハドソンの著作の一節を引用して終わりたいと思います。

(訳注:タイプ4についての項目)
あらゆる発言が自分に向けられていると考えて、すべてをあまり個人的に受け止めないようにしてください。ときにはそういうことがあったとしても、それを頭の中で反芻しないようにしましょう。結局のところ、批判的な意見や敵意のある意見は、あなたについての真実の全てを反映するものではありません。普段、人々は自分自身の心配をするのに忙しすぎて、あなたの考えや行動をそれほど詳細に精査できるわけではないのです。もし疑わしいのなら、リアリティ・チェックをしてください――彼らが何を意味していたのか、聞いてみるといいでしょう。
(訳注:タイプ6についての項目)
周りの人たちはおそらく、あなたが思っているよりもあなたのことを評価しているでしょうし、あなたを本当にやっつけようとしている人はほとんどいないでしょう。実際のところあなたの恐れは、あなたに対する他の人の態度よりも、他の人に対するあなたの態度について多くのことを語っています(※)。

※訳注:タイプ6が対人関係で恐れを抱くのは、他者がタイプ6に敵対しているからというより、タイプ6自身が他者を恐れたり疑ったりしていることの表れだということ。

引用元:『Understanding the Enneagram』Don Richard Riso & Russ Hudson(日本語訳は筆者による)

今回ご紹介した「リアリティ・チェック」を実践することで、皆さんの不安や動揺が、少しでも和らぐことを願っています。

お読みいただきありがとうございました。

*********

▼タイプ4の概要については、こちらをご覧ください。
▼タイプ6の概要については、こちらをご覧ください。

▼Twitter(@akemi_ennea)でも、エニアグラムに関する情報や、noteの更新情報をお知らせしています。よろしければフォローお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?