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「3つの本能」によって異なるパートナーシップの築き方

エニアグラム・ファシリテーターの高橋あけみです。

恋愛の相手や親しい友人と、価値観のズレ熱量の違いを感じたことはないでしょうか。自分が大事だと思うことを相手が大事にしてくれなかったり、逆に相手に対して「なんでそんなことを気にするの?」と思ったり・・・。

こうしたすれ違いには9つの性格タイプが関わっていることも多いですが、「3つの本能」が影響していることもよくあります。価値観がずれているように感じるのは、もしかしたら自分と相手の「よく使う本能」が異なっているからかもしれません。

そこで今日は、「3つの本能」の観点から見た「パートナーシップの築き方」についてお話ししてみたいと思います。

現在のパートナーとどこか価値観のすれ違いを感じる方や、これからパートナーを見つけたいという方に参考にしていただければ嬉しいです。

※この記事での「パートナーシップ」とは主に恋人や配偶者との関係を指しますが、友人関係に適用することもできます。

※人間関係がうまくいくかどうかには様々な要因が絡み合っており、一つの考え方だけですべてを説明できるわけではありません。人間関係を捉える際の一つの指標として参考にしていただければと思います。

「3つの本能」とは

エニアグラムでは、数字で表す性格タイプとは別に、人間には「3つの本能」が備わっているとしています。

3つの本能とは、「自己保存的本能」「セクシャル(性的)本能」「ソーシャル(社会的)本能」です。それぞれどのような本能なのか、とても簡単にまとめると以下のようになります。

自己保存的本能:安全や快適さを求める本能
セクシャル本能:魅力や冒険を求める本能
ソーシャル本能:社会的つながりを求める本能

これら3つともすべての人に備わっていますが、人によって、よく発達している本能(=優位の本能)あまり発達していない本能(=盲点の本能)があります。どの本能が優位かによって、人生において関心をもつ領域や、ものごとの優先順位が異なります。

3つの本能には並び順があります_

例えばある人はソーシャル本能が優位で、自己保存的本能が真ん中、セクシャル本能が盲点だとします。

この場合、この人はソーシャルの領域(例えば人脈を築いたり組織に所属したりすること)に強い関心を示す傾向があります。逆に、セクシャルの領域(例えば人を惹きつけたり趣味に没頭したりすること)にはあまり関心をもたないか、ためらいや苦手意識を感じます。

自分の「優位の本能」と「盲点の本能」が分かれば、自分が人生において重視しているもの後回しにしがちなものが理解しやすくなります。また、人間関係やパートナーシップに求めるもの(この記事で書きます)も理解しやすくなり、周りの人との摩擦を減らすことに役立ちます。

※ここでは「3つの本能」の具体的な説明は割愛します。ご自身の「優位の本能」が分からない方や、3つの本能の概要をお知りになりたい方は、こちらの記事をご覧ください。

それではいよいよ、それぞれの本能がパートナーシップにどのような影響を与えるのか見ていきたいと思います。

「自己保存的本能」優位の人のパートナーシップ

自己保存的本能が優位の人は、人生全般において安全快適さを求めます。

例えば心身の健康管理、お金や時間の管理、居心地のよい家づくりなどに大きな関心を注ぎます。自分の身の回りをメンテナンスすることで、生活の「基盤」を築こうとします。

この本能が優位の人は、パートナーシップにも居心地のよさ安心感を求める傾向があります。一緒にいてほっとする関係、くつろげる関係を好みます。パートナーとの支え合いも、自分の人生に安全や安心をもたらしてくれる「基盤」の一部だと考えるかもしれません。

結婚する際は、互いの経済力や家事能力を気にかける可能性が高くなります。一緒に暮らす住居や家具・家電について強いこだわりをもつ場合もあります。

もし自己保存的本能が優位の人が自己保存的本能が盲点の人と一緒に暮らした場合、相手の健康管理や金銭管理、家事能力の低さに不満を抱くことがあるかもしれません。

自己保存的本能はおもに生活力に関わる本能なので、特に生活をともにするようになったときに、このような意識のズレが生じやすくなります。

「セクシャル本能」優位の人のパートナーシップ

セクシャル(性的)本能が優位の人は、人生全般において魅力冒険を求めます。

自分の魅力を高めて人を惹きつけたり、魅力的な人やモノに惹きつけられたりすることがよくあります。わくわくするような冒険を求めたり、周りが見えなくなるほど何かにのめり込んだりするのも、この本能から生まれるエネルギーです。

セクシャル本能が優位の人は、パートナーシップにおいても、相手と激しく惹かれあうこと一体になることを求めます。二人の世界の中で、自分のエネルギーと相手のエネルギーが融合する感覚を欲します。互いの趣味や体験、内的世界を共有することで、一つになりたいと感じます。

もしセクシャル本能の強い人がセクシャル本能の弱い人と友人や恋人になった場合、物足りなさや寂しさを感じる可能性があります。もっと親密になりたいのに、なかなか距離が縮まらないことへ不満を抱くかもしれません。

逆にセクシャル本能の弱い人は強い人に対して、そのエネルギーに圧倒されるように感じたり、(物理的または精神的に)もう少し距離をとりたいと思うことがあります。ただし、そうした反応は「本能的」に居心地のよい距離感が違うというだけで、必ずしも愛情の有無を表しているわけではないということに注意が必要です。

「ソーシャル本能」優位の人のパートナーシップ

ソーシャル(社会的)本能が優位の人は、人生全般において社会的なつながりを求めます。

情報や体験を共有する人脈を築くことや、同じ目標をもつ人たちのグループに所属すること、社会に貢献することなどに強い関心を示します。

この本能が優位の人は、パートナーのことを「社会で生き抜く上での伴侶」として捉える傾向があります。ともに社会で戦う仲間や同志として、目標を共有し、互いにサポートし合う関係性を求めます。パートナーの社会的立場や、どのような人たちと付き合いがあるかを気にかけるかもしれません。

またソーシャル本能優位の人は、恋愛関係に関わらず、特定の人と親密に関わることが難しい傾向にあります。社会的交流に重きを置くため、広く人と付き合うことを優先させがちです。

もしソーシャル本能の強い人がソーシャル本能の弱い人と付き合った場合、相手の社会的立場や社会への貢献意識、社交性の低さに不満を感じることがあるかもしれません。

優位の本能が異なる場合はどうすればいいか

自分と相手の「3つの本能」の並び順が近いと、人生における優先順位が似ているので、うまくいきやすいと言われています。

一方、並び順が大きく異なると、前述のようにお互いの関心や優先順位がかみ合わず、摩擦を生んでしまうことがあります。

しかしそのような場合でも、付き合い方を工夫することで、関係を改善することは可能だといえます。

ここでは、指針を2つご紹介したいと思います。ぜひ、普段の生活の中で意識してみてください。

①お互いの本能の傾向を理解し合う

性格タイプについてもそうですが、3つの本能についてもお互いの傾向を理解し合うことが重要です。自分にとって自然にできることが、相手にとって自然にできなくても、それは相手が劣っているとか怠慢であることを意味するわけではありません(なんといっても「本能」ですので、理屈や好き嫌い以前の問題です)。

良いとか悪いとかの価値判断を抜きにして、「この人はこういう本能の特性をもっているんだな」とありのまま受け止めることができれば、疑問や不満が和らぎます。

②お互いの苦手なことを補い合う

自分の得意なこと(=優位の本能)を使って、相手の苦手なこと(=盲点の本能)を補うようにすれば、お互いにとってプラスになります。逆に、自分がスムーズにできないことを相手がスムーズにできるのであれば、助けを求めてみることも大切です。

例えば次のようなことを試してみてはいかがでしょうか。あくまでも一例ですので、お互いにとって良いと思うやり方を見つけてみてください。

▼自己保存優位の方から自己保存盲点の方へのサポート:
・パートナーの健康に気を配る(一緒に運動の習慣を作ったり、栄養バランスに配慮したりするなど)。
・家計やスケジュールの管理を担う。
・リラックスできる家具や便利な家電を取り入れることで、互いにとって居心地のよい家をつくる。

▼セクシャル優位の方からセクシャル盲点の方へのサポート:
・一緒に面白そうなイベントや活動に参加してみる。
・パートナーが自分の魅力を表現することを手伝い、自信をもてるように励ます。
・パートナーが仕事だけでなく趣味にも打ち込むことができるような環境づくりをする。

▼ソーシャル優位の方からソーシャル盲点の方へのサポート:
・パートナーが交友関係を広げることを手伝う(自分の友人や仕事仲間を紹介するなど)。
・パートナーにとって良いグループに所属できるよう助ける。
・時事問題や近所で起きていることなど、社会的なトピックについて情報を共有する。

おわりに

今回は、「3つの本能」がパートナーシップにどのような影響を与えるかを見ていきました。

私自身もそうですし、他の方の話をお聞きしていても思うのですが、恋人や配偶者への不満が「本能」の並び順の違いから生まれていることは珍しくありません。

ぜひこの「本能」という観点を、お互いの関係性の改善に役立てていただければ嬉しく思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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