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【美術展】重要文化財「源氏物語」と見立絵/東京国立博物館・本館

『源氏物語』を描いた扇面や写本が、2024年7月2日(火) ~ 2024年8月18日(日)に展示されているのでカルティエ展と共に見てきた。

「源氏物語冊子」は重要文化財。これが素でスラスラ読めたなら、それはそれは楽しだろうな。素で読める方が羨ましい。


★空蝉

重要文化財「源氏物語(空蝉)」伝飛鳥井政俊あすかいまさとし 室町時代・15~16世紀
「源氏物語図扇面(空蝉)」室町時代・16世紀

空蝉(源氏物語第3帖)
伊予介の妻・空蝉との逢瀬を忘れられない17歳の光源氏。空蝉と空蝉の義理の娘・軒端荻のきばのおぎが囲碁を打つのを垣間見る。

東京国立博物館


★夕顔

重要文化財「源氏物語(夕顔)」室町時代・15~16世紀

夕顔(源氏物語第4帖)
乳母の病気見舞いに来た源氏。隣家の夕顔という女性を見初め、足繁く通うようになる。だがある夜、二人の枕元に女が立ち、夕顔は息絶えてしまった。

東京国立博物館
「源氏物語図扇面(夕顔)」室町時代・16世紀

この図ではつぶれているところが多く何が描かれているか分かりにくい。以下の絵と構図は似ているだろう。

「源氏物語絵巻」毛利博物館蔵


★蓬生

重要文化財「源氏物語(蓬生)」室町時代・15~16世紀
「源氏物語図扇面(蓬生)」室町時代・16世紀

蓬生(源氏物語第15帖)
かつて源氏が通っていた末摘花の邸宅。そこには、源氏が須磨に引きこもった後、庇護を失って零落しつつも、源氏を待ち続けた末摘花の姿があった。

東京国立博物館

源氏物語の登場人物で誰が好きか?の話題になると、トップ1、2に上がることが多い「末摘花」。紫式部のイジワルな側面でキャラ設定されたんじゃないかと思われる・醜女な末摘花だが、その不器用で一途な生き方が共感を呼ぶ。私も好きな人物の一人。


★薄雲

重要文化財「源氏物語(薄雲)」伝慈鎮じちん筆 鎌倉時代・13世紀

薄雲(源氏物語第19帖)
明石の君は、源氏との間にもうけた姫君を紫の上に預ける。紫の上ものもとへ立ち寄った源氏の指貫さしぬきの裾に、姫君がまとわりつく。
指貫:男性の袴のひとつ。裾が長く、裾の口の周りに紐を指し貫いているところからの名称。足の長さに合わせてその紐を絞って調節し、余った生地がたわんで裾の部分がふくらんだ形になる。

「源氏物語図扇面(薄雲)」室町時代・16世紀

こちらも画でもやはり姫君が源氏の指貫をにぎっている。可愛い~。

「源氏物語画帖」出光美術館蔵


梅枝うめがえ

重要文化財「源氏物語(梅枝)」鎌倉時代・13世紀

左のページに「紅梅」、「兵部卿宮ひょぶのきょうのみや」の文字が読める!

「源氏物語図扇面(梅枝)」室町時代・16世紀

梅枝(源氏物語第32帖)
梅の花の咲き誇る頃、成長した明石の姫君が入内じゅだいすることになった。源氏は薫香合を催し、蛍兵部卿宮(源氏の異母弟)がその判者となった。画面は直衣と薫物二壺を贈られた宮が帰途につくところ。

東京国立博物館


御法みのり

重要文化財「源氏物語(御法)」鎌倉時代・13世紀

「むらさきのうゑ」、「御病」の文字が読める。

「源氏物語図扇面(御法)」室町時代・16世紀

御法(源氏物語第40帖)
源氏最愛の妻・紫の上が病にかかり、紫の上の発願で法華経千部の供養が盛大に行なわれた。その夜、満開の桜の元、「蘭陵王らんりょうおう」が舞われた。明石の中宮なども訪れるが、紫の上はこれが最後と別れを惜しむ。

東京国立博物館

皇居三の丸尚蔵館に所蔵されている蘭陵王の置物。

「蘭陵王置物」海野勝珉うんのしょうみん 1890(明治23)年 皇居三の丸尚蔵館蔵



本館 10室にあった掛け軸。時代を超えて様々に「源氏物語」を楽しんできたのが分かる。

★湯上り美人と猫図

「湯上り美人と猫図」勝川春英 江戸時代・18世紀

『源氏物語』「若菜上」の猫が御簾を開けて始まる柏木と女三宮おんなさんのみやの恋のエピソードを想起させる。浮世絵でも見立絵として多く描かれたが、ここでは猫が御簾ではなく湯上り美人の浴衣の裾を開いている。ちらりと肌を見せるきわどい描写は「あぶな絵」とよばれた。

東京国立博物館

見立絵みたてえ:歴史上の出来事や故事・古典を、同時代の人々が理解しやすい題材に託して描いた絵のこと。特に、江戸時代には、浮世絵等で趣向を凝らしたものが多く見られ、さまざまな階層の人々に親しまれた。

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