かすみ草、七夕を迎えにゆく
この夏、
やり残したことがある。
ーーー
7月7日、日曜日。
in 長野駅。with サンタ(友 兼 コンビの相方)。
わたしたちお決まりの"旅のシメ"。
いつものように、
烏龍茶とタピオカを求めて歩いていたら、
「 」
ふと、
花屋さんの小さくてまるい花と目が合った。
ポポポ ポン
「ねね、かすみ草って七夕の花なんだって」
「へぇ〜」
小さな黒板に書かれた文字を読む。
知らなかった。
なんでだろう、星みたいだから?
かすみ草といえば、の白色。
そのほかに、はじめて見たかも、な、
水色、紫色、黄色、ピンク色。
5色ほどのかすみ草が店先を飾っていた。
よりどり2色で1000円の小さなブーケ。
かわいい。かわいい。
(ほしいな)
白と、水色。でも、黄色もいいな。
「かわいい〜」
「買えば?」
「でもさあ…」
でもさ、でもさあ。
最高気温36度超えの炎天下。
帰宅までは、推定6時間。
「買わなぁい」
「いいの?」
「だって、干からびちゃうもん」
「いけるんじゃない?」というサンタの提案には乗らず、
「ありさん、ありさん、」と目的地へ歩を進めた。
ポポポ ポン
「来年の七夕は、かすみ草がほしいな〜」
なんて、
ほんの少しの"心残り"を置いて。
いとしの阿里山ウーロンティーとともに帰路へと着いた。
(われわれは、ゴンチャだいすきズ である)
ーーー
んだ、け、ど。
あの日からずーーーっと、
"七夕のかすみ草"が心から出ていかない。
くる日もくる日もまたきても。
(かすみ草、ほしいなあ…)
と思う日が続いた。
7月17日、水曜日。
織姫と彦星だって「日常」に戻っていそうなものなのに。
わたしの心はまだ、七夕にいる。
…
また来年?
それってあと、365 - 10 = 355 日?
………
な!が!す!ぎ!る!
だめだだめだだめだ。
なによりも、
この夏を"やり残したことのある夏"にしちゃダメ、
「だっ!」
"かすみ草を買いにいく"
そう決めて、
気圧の波にノックアウトされかけていた体を持ちあげて。
雨や風が、降ったり、やんだり、踊ったり。
気まぐれな"いつもの街"へと繰り出した。
ーーー
「いらっしゃいま」
「すみません、」
「かすみ草、ありますかっ」
ここは、長野駅。
ーではなく、わが・となりの県。
"行きつけの花屋さん"、
なんてあいにく持ち合わせていないわたしは、
はじめましての一歩、のち、すぐそう言った。
きっと、
借り物競走ばりの慌てかただったと思う。
(やったことはないけれど)
「すみません、もうないんです」
「そうですか…」
なんとなく。
なんとなく、だけど、その予想はしていた。
かすみ草が"七夕の花"だというのなら、
10日後の今はあんまりないんじゃないかなって。
「他のお花と一緒にブーケにしちゃって」
とお店のかたが教えてくださったとおり、
黄色と白の夏らしいブーケにかすみ草が添えられていた。
かわいい。
これでも十分すぎるぐらい、かわいい。
なんだか"7月まるごとミックス"みたいな花束で、
かすみ草だけよりもいいのかもしれない。
でも、
「かすみ草お探しだったんですか?」
「 」
煙が出そうなほどプスプスと悩むわたしに、
お店のかたがやさしく声をかけてくださった。
「そうなんです」
七夕で、乗り遅れて、それでもほしくて、
と言いかけたときに、
「もしよろしければ」
と、お店の奥からかすみ草を束ねて見せてくれた。
「もう出せなくなっちゃったものなんですけど、」
「まだ、この辺とかきれいに咲くので」
白くてまるい花がついた、数本のかすみ草。
ポポポ ポン
「 」
かわいい。かわいい。
「これ、ください!」
それに、
この花束はわたしの"2024年の七夕"そのもの。
だっ!
ーーー
「七夕の思い出は?」
なんて聞かれても、
ぼんやりと短冊を書いたことしか思い出せない。
今まで書いた願いごとすら、
天の川と一緒にさらさら流れて忘れてしまった。
それほどまでに
七夕とは縁遠い人生を送ってきたわたしだけれど。
今年の七夕(とそれに付随する10日間)のことは、
ずっと忘れないでいたいや。
2024年の夏をenjoy!できますように。
一度きりのこの夏。
星たちのようなかすみ草に願った。
いただいたサポートは、すべてたいせつにenjoy!の活動費に充てさせていただきます。(なにに使わせていただいたかはnoteにてご報告します👛✍️)