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報告 新・啄木舎
舞子でのライブをした翌日、音心が向かうのは京都でした。今回は京都で移設したてのサロン「新・啄木舎」さんでの音心コンサートの様子をご報告します。
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お天気と移動
この日もお天気には恵まれており、天気が良いということは思い切り演奏活動を楽しんできなさいと自然が言ってくれているような気分になります。そしてその自然現象と意思を仲介してくれるのが土でできて人の息で奏でるオカリナという楽器。何だかそんな妄想を膨らませながらの移動でした。
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遠くに見える山々が、赤く色づいていました。引き締まった空気と言い、晩秋なんだなあということを改めて気づかせてくれる気がしました。
会場にて
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到着したらすぐに支度を始めてしまい、あまり写真を撮っていませんでした。こちらはすでに支度が完了し、お茶を頂いているシーンです。
新・啄木舎は「プリマヴェーラ大原野」という法人のひとつとなり、新たな場所での歩みを始めておられます。以前の土地より少々東という感じでしょうか?
会場雰囲気
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広々とした会場には、グランドピアノとオーナー谷口氏お手製のチェンバロが佇んでいます。
今回も音心はその両方を使わせていただきました。会場の両側にそれらの楽器が配置されています。実は部屋の構造も別れており、それぞれに特徴的な響きを持っているので1度に2度おいしい会場とも言えます。
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マイクと生音
前日がマイクを通じた演奏で、今回は生音での演奏。この2つのシチュエーションでは演奏で伝えるべき目的も含めて違いを感じています。
そういった目的の違いなどを意識できるようになったのは、本当にあらゆる場所で演奏させてもらえているからこそなのだと思います。経験が感を下支えして力になる。そんな感じがしてます。
少なくとも今回生音だからどうしようではなく、生音ならこうしてみようかなと思えることは、成長なのだと思います。
というわけで、リハーサルの間にステージ内で最も響きの良い場所を探す旅をしていました。均等でそういう場所がないこともありますが、今回は「おっこれは面白い」と思える場所を見つけることができました。
演奏の様子
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まずはピアノと共に数曲お届け。タイトルも含めて、今回はオリジナルで決め込んでの演奏としました。
既成曲とオリジナル曲
知っている曲がある方が皆さん楽しいのではないかと思ってしまうのは、オリジナルを待つ演奏者の誰もが悩む一瞬なのではないでしょうか?
今回はそんな迷いを「これらは本当にオカリナを愛し、その楽器のためにと思って作ったものなのだから、オカリナが生きる曲を届けるという大切な目的のためにしているんだ」と自分の中での意識を高めるようにしました。
他のアーティストさんたちがどうなのかなんて判りませんけど、10年以上もオリジナル曲を披露しておきながら、やっぱり今でもそんなところで悩むものなのですよ。
でもこの気持ちもどこかで大切なことではないのかと考えている自分がいます。だから多分「これでいいのだ」なのです。
チェンバロの姿
途中でくるっと客席の向きを変えていただき、チェンバロとオカリナの音色をお届けしました。
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思いつきと遠慮
ちょっと前まではあまりこういう思いつきが発生しなかったり、発生しても恥ずかしいから言わずにいたりしていたえんじろうなのですが、今回は思いついた瞬間に許可をいただき実行しました。
実はこのランプも木工作品で、それの下に可愛い椅子を置いてチェンバロ演奏の際の持ち替えオカリナのテーブルとして使わせてもらったのです。
自分的にはなんか良い感じでした。以前までは「遠慮」という形で思いついたことを結構犠牲にしてきたんだということに気が付きました。その中にはお客様に素敵な気分になってもらえるものもあったのかも知れないと思うと、思いついたことは試しておくべきなのかも知れないと感じるようになってきています。
音色と響き
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チェンバロのある側のお部屋は、後ろの本棚によってなのか余分な音が吸収され、チェンバロ本体の音色が鮮明に聞こえてきます。同時にチェンバロの共鳴箱自体がこんなにおとを響かせ増幅させられるんだということも教えてくれます。
オカリナは部屋の響きを共鳴箱として間借りする楽器なので、この場所では響きが落ちます。でも相手のチェンバロは元々音が小さめなので、非常に優しくバランスも良い感じになりました。
生音での演奏は、音もまた生き物なのだみたいな感覚を覚えます。自然楽器のオカリナ同様に、使い手の一方的な思い通りになるなんて思ってんじゃないぞという声を感じるのです。
そこを楽しみたいですよね。
新パンフレット
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今回から投入の音心の新パンフレットも、皆さんの手にお届けできて嬉しいです。
音楽と思いと
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再び席を回転してもらい、ピアノとオカリナでの演奏に戻ります。
途中でお茶コーナーも入り、浜松土産のお菓子とともに朗らかな気分になっていただきました。
後半は思いの強めの曲も盛り込み、やっぱり最近のテーマである「今を大切に」の曲が集まっていました。オリジナルの「星への旅路」と「風に揺れるブラウス」も、だいぶ説得力が増してきていると感じます。爽やかに「時は続く」も演奏しました。
演奏後のひととき
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新・啄木舎の床は、今暫くの間はこの素朴な木そのものを生かした状態だそうです。これを見た若い方はきれいに整備されたものよりもこういうのが落ち着くというご意見もあるのだとか。
会場のお話、オカリナのお話、お客様の感想など、色々な話題が飛び交う演奏後の雰囲気が好きです。特に自分が参加するというわけでもないときも、演奏語の良い雰囲気というのは心地よいです。
魂の御柱
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さて、最初の演奏写真にも写っていたと思うのですが、この会場にはまるで奏者が隠れることができるような位置にこの柱が立っています。
なんでも家の支柱になるので除去不能だったのだそうです。この柱こそが今回の第3の楽器でした。
魂の御柱という名前は、えんじろうが勝手に命名しちゃいましたが、そう呼びたくなるほどこの柱の存在が大きかったのです。
ちょうどこの柱の眼の前に立ち、それに向かってオカリナを聴かせるという意識で奏でると、部屋全体に対する響きが一段と大きくなるのです。リハでこれを発見したのですが、本当にそうなのかと何度も自分の感性に疑いをかけて確かめました。
そうしているうちにほぼ確信に変わってきたので、よしこれはぜひ本番での話題にしようと思いました。
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作家さんのご意見
実際に本番で音量を上げたいところでこの前に立つというプレイを繰り返し、この日この場所だからこそのパフォーマンスに繋がりました。
そして後半にこのお話をすると、お客様型も興味津々でした。更にプリマヴェーラ大原野の作家さんのひとりが「それはバイオリンの魂柱」みたいな働きをしているのかも知れないというお話をしてくださいました。
えんじろうは「なるほど」と思いたいところですが、魂柱ってなんですか?という状態でした。バイオリンの上の板と下の板の間に立ち、上の振動を下に伝達するというお役目のものだそうです。
魂の柱ですから、もうその名前からして位置づけがすごいですよね。
調べてみると、こんな解説がありました。
駒と魂柱は部品の中で最も楽器の音に影響を与えるものであるといえます。駒は楽器の中心に、魂柱は楽器の中に立てられています。
駒の役目は、弦の振動を表板に伝える「音の入り口」といえます。魂柱の役目は、表板の振動を裏板に伝えることです。駒の左右の足がぴったり表板に接地し、また魂柱が表板、裏板にぴったり接地することにより、その楽器の本来持っている性能が引き出せることになります。
また、駒の削り方(厚さ、ふくらみ、高さ、穴の形など)、魂柱の位置、長さにより大きく音が変わりますので慎重な調整が必要になります。いわゆる楽器の「調整」をするときは駒と魂柱の位置などを見ます。糸巻きで弦を巻くことによって駒が指板側に引っ張られて、おじぎをしてしまうことがよくあります。放っておくと駒が折れてしまい表板に大きなキズがつくことがあります。駒が前に倒れていないか、こまめにチェックしましょう。
また、魂柱は表板、裏板に接着してあるのではなく、はさまっているだけです。弦を一度に全部ゆるめるときは倒れてしまうことがあるので注意しましょう。なお、魂柱を立てるときはf字孔から専用の道具を使って立てます。
ヴァイオリン製作者にとって駒と魂柱のセッティングは腕の見せ所です。
尊きものへ
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この会場がバイオリンなら、我々もお客様もその中にいることになりますね。この柱はまさに天と地を結ぶ御柱だったというわけですね。どうりでアクセスすると音が増強するわけだ。
一見すればただの邪魔な柱ですが、見方ひとつで尊いものへと変わる。こういう瞬間は大好きです。
その後
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お客様もお見送りした後は、関係者でちょっとゆっくりお食事をさせていただきました。演奏ができたことへももちろん感謝ですが、それがきっかけで何か発見できたりと、本当に有意義なものだと思いました。感謝でございます。
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風情を感じる玄関にて、また必ずお邪魔しますと言って、啄木舎を後にしました。空には明るいお月様が出ていました。
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活躍のオカリナ
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ホテルのベットで思い切りくつろいでいるように見える楽器たち。今回の旅での活躍はここまでなので、リラックスしているのでしょう。今回の旅で新たな仲間も増え、ますますえんじろうの居場所が圧迫されているような。
そんな日々に感謝です。
啄木舎の谷口さん、そしてプリマヴェーラ大原野の関係者の皆様、この日足を運んでくださったお客様に感謝でございます。
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