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ラマダンをするタジキスタン人の ルームメイトと1年間過ごした時の話


【ラマダンをするタジキスタン人の
ルームメイトと1年間過ごした時の話】

このブログを読むにあたって、まず下の引用を見てほしいです。
昨日、外務省の海外安全ホームページから届いたメールです。

【広域情報】ラマダン月に伴う注意喚起
●4月24日(金)頃から5月26日(火)頃は,イスラム教のラマダン月及びラマダン明けの祭り(イード)に当たります。
●近年,ラマダン月及びその前後に世界中で多くのテロ事件が発生しています。
●ISILは機関誌において,新型コロナウイルスの感染拡大の中で欧米諸国が麻痺と恐怖に襲われていることにつけ込み,欧米諸国に対して攻撃を仕掛けるよう呼びかけています。
●外務省海外安全ホームページに掲載されているテロ・誘拐情勢のほか,危険情報,感染症危険情報,入国・行動制限措置に関する情報や各国国内の行動制限等の最新情報の入手に努めつつ,安全確保に十分注意を払ってください。

これを読んだ後、イスラム教を信仰してる人について、どう言う印象を思い浮かべますか。

怖くないですか?
私だったら怖いと思う。

外務省から送られてきている内容は
事実なんだと思うんです。
事実なのはわかっているんです。

ラマダン月に世界中で多くのテロ事件が発生しています

これが事実なのは確かなのだと思います。

私は世界情勢に疎いのでわかりませんが、実際に事件も起きていて、危険なのも確かなのでしょう。

でも、ただ純粋に真剣にイスラム教を信仰し、ラマダンをしてる人が
これを読んだ時、どう言う気持ちになるだろう。と考えてしまいます。

まるで、イスラム教自体が悪いような書かれ方で、
別にラマダンをしている人が、テロを起こすわけではないのに。

テロを起こす人が信仰している宗教なんて、イスラム教だけじゃないはずなのに。

私は、留学をして良かったと思う事の一つに、宗教に対しての考え方が変わった。と言う点があります。

その最もたる宗教がイスラム教と、キリスト教です。

この、外務省からのメールを読んで、
本当は寝る前だったんですけど、

どうしてもこれだけは伝えておきたいと思ってこのブログを書いています。

前置きが長くなりましたが、

私はアメリカに留学していた時、
タジキスタン人の女の子とルームシェアをしていました。

その子はイスラム教を信仰していて、
ラマダンの時期に
私に、ラマダンをするからと報告してきてくれたのですが、

その時頼まれたのが、
ラマダン中はできればキッチンでご飯を作らないで、日が暮れてから作って欲しいと言う事と
ご飯を食べるのはいつでも構わないけど、自分の部屋で食べて欲しいと言う事でした。

理由は、私にキッチンで料理されると我慢するのが辛いから。

最初は、え?なんで面倒…
と思いましたし、

日が暮れるまでと言いますが、
その時のラマダンは
2015年
6月17日〜7月16日で

私の住んでいたカンザスでは
この時期の日暮は20時半〜21時でした。

つまり家で、ご飯をほぼ作れない…。

そもそも、その時の私は
ラマダンが何かもすら知らず、ラマダン=断食と言うことも知らなかったので、

いや。ラマダンって何やねん。
そんな事言われても…
って感じでした。

ただ、5月中旬から一緒に住み始め、
まだルームメイトとしての日も浅く、
いきなり関係が微妙になるのも嫌だったので軽い気持ちで、

いいよー。と
オッケーしました。

ラマダンがどう言うものかを理解したのはそれから数日後、

そのルームメイトが風邪で体調を崩していた時でした。

本当に辛そうだったので、
「薬あるからあげようか?」と聞くと、

「ラマダン中なのに薬なんか飲めるわけない!」
と怒られました。

その時の衝撃と言ったらなかったです。
だって、明らかに体調悪そうなのに
ご飯も食べず、薬も飲まず

この子は一体何がしたいのだろう?
と思いました。

いくらラマダンと言うやつでも、風邪の時すら信念を曲げないのか…
と心底驚いたのを覚えています。

当時の私のように、ラマダンがどう言うものかを知らない人に簡単に説明すると(私も詳しくはないので、間違っていたらご指摘下さい。)

日の出から日の入りまでの間は断食する言うものでした。

けれど私のルームメイトは

母国の日の出時間(朝5時前)から
アメリカの日の入り時間(20時半頃)

でラマダンをやっていた為、とても長い時間断食する事になってしまっていました。

後から知ったのですが、本当に信仰深い人はラマダンの間、自分の唾すらも飲み込まないそうです。

アメリカに来ているイスラム教徒の中には、ここはアメリカだからと
ラマダンをやらない人もいるのですが、

私のルームメイトは風邪を引いてしんどくても、
ただ一粒の錠剤すら飲まず、
1カ月我慢し続けていました。

自分の信仰している宗教に対して、こんなに真剣に取り組んでいる人が、世界中に沢山いる中で

一部のISILのような組織がいるせいで
その宗教の全てが悪いような見られ方をする。
その国全てがテロリストのような思われ方をするのは

とても寂しい事だと思います。

世界中に情報が溢れかえり、
ネットで簡単に調べられる世の中では、
例えそれが正しい情報だったとしても、その表面だけを受け取るのではなく
本質まで見極める目が必要な時代なんだと痛感します。

私が留学中に出会ったイスラム教徒の人たちは、拙い英語の私にもとても優しくて、フレンドリーで、色々教えてくれる人達ばかりでした。

もし、イスラム教徒=テロリストが多い

などと思っている人がいたら
一度考えを改めて、
ぜひイスラム教徒の人達と会って話してみて欲しいです。


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