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通訳者に学ぶ英語『英語で話すヒント』

小松達也『英語で話すヒント 通訳者が教える上達法』(岩波新書)を読んでみました。

著者は一流の通訳者で、過去にはダライ・ラマ、キッシンジャー、ドラッカーなど錚々たる顔ぶれの同時通訳をこなしています。

堅実な内容で読者をモチベートする力もある良書だと思う。

・英語で話すときはまず日本語で考えをまとめてそれを英語でアウトプットする。英語で考えると考え自体が稚拙なものになってしまう。

僕も最近これに気づいたことなんですが、本書で同じことが主張されていて自信がつきました。

・事前に用意された原稿を読むだけの話者を通訳するのは難しい。むしろ自由にしゃべる話者の同時通訳のほうが簡単。話し手の思考を追いやすいから。

これは意外すぎる。事前にその人の著作を読んで思考のパターンを把握しておくと、同時通訳は格段にやりやすくなるそうです。

・英語を聞いて理解するには一つ一つの単語にこだわっては駄目で、意味の流れを捉えることが大事。たとえばisとis'tは音声だけでは区別できない場合が多い。前後の文脈から判断するしかない。

・パラグラフ単位で要点を伝えていくのが同時通訳のコツ。

・重要なところと重要でないところを区別して聞き分ける。普段の対話からこれを意識しておくと実力が伸びる。

・英語を話せないひとは必ず聞く能力にも問題をかかえている。

・ネイティブはhaveやgetなど簡単な単語であらゆることを表現する。日本人がこれを真似するのは難しい。むしろ高度な単語を使ったほうが楽。

・日本語はSOV構造の言語。実は世界ではこれがもっとも多い。

・和英辞典で英単語を調べたら、そこで出てきた英単語を類義語辞典でも調べる。そして類義語辞典に出てきた英単語から、もっともしっくりくる単語を使う。

・英会話で使える単語力を伸ばすには、リハーサルを伴いつつ多読をするのが一番。

語学の達人はたいていそうなのですが、この人も多読推しのようです。

しかし最近の研究によると読書自体がかなり高度な知的活動なので、多読を推すと学習の敷居が高くなってしまう懸念は出てきますよね。

これだけ多読推しが多いと、読書好きでないとある程度以上の外国語力は身につけられないという可能性もありそう。

日常英会話を流暢にこなすぐらいなら、たぶん読むことにこだわる必要はないと思うんですけどね。


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