見出し画像

タイトルに惹かれた美術展(1)「サムライのおしゃれ」

最近、タイトルが楽しい展覧会が増えている気がします。それほど興味がないジャンルでも、タイトルがおもしろいと「行ってみようかな〜」と食指がムクムクと動きます。そんな展覧会のなかで、実際に行っておもしろかったのが、「サムライのおしゃれ」。


◆タイトルのチカラ

本展の主役は、副題にある印籠・刀装具・風俗画。もし、これがタイトルになっていたら、たぶん行きませんでした(ごめんなさい)。印籠は、ドラマ・水戸黄門のイメージしかないし、刀剣も装具も積極的に見たいジャンルではありません(重ねてごめんなさい)。

でも、「サムライのおしゃれ」といわれたら、がぜん興味が湧きます。しかも、サムライがカタカナなのも何だかうれしい。美術館が、初心者に手を差し伸べてくれているような感じがします。きっと、楽しいに違いない、解説もわかりやすいかもしれない、そう思わせてくれるタイトルです。

◆さらば黄門さま

展覧会チラシより

実際、「サムライ知識ほぼゼロ」の私でも、この展覧会は楽しめました。

特に、印籠のイメージが激変。もう、印籠=黄門さまではなくなりました。

解説によると、江戸時代のおしゃれなサムライにとって、印籠はマストアイテム。本来の用途は常備薬入れでしたが、次第に蒔絵・螺鈿・彫金などを用いた精緻なデザインが施されるようになり、上流階級の武士が持つおしゃれアイテムになったそうです。

あの小さな印籠に、四季や花鳥風月などが細かく美しく盛り込まれ、日本の美が凝縮されているため、海外のコレクターたちも欲しがるらしく、浮世絵と並ぶほど人気があることを今回はじめて知りました。

江戸後期になると、大名や将軍も印籠に夢中になり、将軍家お抱えの印籠蒔絵師も登場。どんどん凝ったデザインが注文され、絶頂期の文化文政時代には金銀を使った絢爛豪華なものも生み出されました。ひとつひとつ作品を見ていくと、あまりの細かさと美しさに悶絶します。

◆英語解説は…

各セクションの解説に英語訳がありました! 外国の方も好きな展覧会だと思うので、英語があると親切ですよね。

章解説から、印籠について書かれた部分を引用します。

“inro” are airtight cases made of several layers of wood, worn on the waist sash, or obi of kimono. Their original purpose was to hold medicine, but gradually design and technique came to be emphasized over utility.

本記事では印籠だけにフォーカスしましたが、刀関係の装具も風俗画も楽しめましたし、国宝の曜変天目もありました。

ちなみに、トップ画像に使ったのはチラシと小冊子です。赤と黒のデザインがカッコいいですね。図録ではなく小冊子でしたが、このくらいのほうが軽くて安くていいな~と思いました。

図録といえば、ちいさな美術館の学芸員さんが、大変興味深い記事を載せられていますので、あわせてご紹介。(図録が将来的に電子書籍になるのかどうか、せめて紙の小冊子はつくってほしいなというのが美術ファンの願いです……)

静嘉堂さん、移転して駅直結となり、気軽に行けるようになりました。また次回の展覧会も行ってみたいです。

#美術展
#英語がすき


この記事が参加している募集

英語がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?