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革の物撮り -natural light photography-

手縫い革小物職人おじさんの"物撮り"ブツどりは自然光。今の所…

カメラやレンズの機能を引き出せる程の知識や技術は無く、物撮りに関しては、たまにネットでちびっと勉強するぐらいの素人である。

ミラーレス一眼カメラを使っているが、お高いボディのカメラやレンズではない。今よりいいモノを持ったとしても上手に撮れるかはわからない。
カメラ、レンズ沼にハマれるほどのお小遣いは無い…

勉強不足の実力不足、プラス残高不足。不測ならぬ不足の事態…

-Tanneries HAAS-
フランスタンナーHAAS社のフレンチカーフレザー

プロの物撮りなら、基本外部の光は完全にシャットアウトし、撮影ブース、撮影用シート、照明、ストロボ、その他機材やレフ板を使い、光や影をコントロールして撮影するだろう。

"こちらが商品でございます…"というような商品撮影ブツ撮りならそれがベストなのは理解している… 知識と腕が必要なのも。


窓から差し込む自然光

製作中に写真を撮ったりしているが、必ず撮らねばいけない訳ではない…
頼まれてもいない…(笑)

世の革製品は、ほぼミシン縫い製作であり、わたしは総手縫い。
量産品との違い、ミシン縫いと手縫いの違いを伝えておく目的もある。
好きで撮ってんじゃね?と言われたら… 好きな方です。(笑)

窓から差し込む自然光、太陽光のみで撮り、蛍光灯は一切付けない。
革の仕上げフィニッシュに依るが反射でテカるし、色も変になる。自然光でもだけど…

総革、総手縫い製作

晴天、曇天、雨天等の天候、時間帯なら朝と夕方では光の色も異なるので、お天気、時間帯次第で写り方も変わる。

晴天時の強い光は、カーテンや模造紙を通して光を和らげる透過光にしたり、レフ板を使って光を反射させたり、基本的なこともやりつつ…

いつも色温度、色かぶりで被写体のブツの"色がなんか変やん…"とか、
"光の反射による革のテカり"などの戦いになっている。

 

光の向き…

光の当たる向き… 
順光、逆光、サイド光、撮る方向やモノの向きを変えてみたり。

順光だと被写体に光がよく当たり、風景写真などもハッキリ撮れる。
わたしのブツを撮ると "ハイ、撮りました。よう見えますやろ!!" って感じ。
平面パーツや革小物だからか"のっぺり"と立体感がない、普通…って印象。

差し込む光に対して、サイド光、そして逆光気味に撮ることが多いかな。

French calf leather -étain- 錫色 
逆光気味、何だかシボが魚の鱗っぽくないか?

そんな中、新たに仕入れた革 "エタン"という色、どうにもその色が…

エタンという色 -étain-

"étain"エタン、フランス語で"錫"すずを意味する言葉。
錫… 中学の技術の授業での"はんだ付け"で、はんだは"錫と鉛の合金"…
と習って以来、錫には直接のご縁が無い。

錫色…銀色を思わせるグレー、"微妙に青み帯びたグレー"のイメージ。
しかしこの革の色"エタン"は、"少しブラウンがかったグレー"
他のグレージュ系のエトゥープより濃く、落ち着きある上品な印象。

普段使いやビジネスシーンでも活躍できる色合いで"男女問わず人気色"

-French calf leather- HAAS社
左端がエタン、フレンチカーフレザー

これがまた… 光でテカるし、本来の色に写りにくくて。(泣) 
 "THE カメラ素人"と呼ぶに相応しい、わたし。


撮影練習

色は人に依り見え方が異なったり、PCやスマホなど環境に依り少々異なる事もある。もちろん室内、屋外での光の当たり方でも変わる。

出来るだけ、言い訳を並べてみた。

であるが… "全然色が違う〜"、"なんかテカテカ"ってなるのは出来るだけ避けたいところ… 他の在庫色と合わせてどう写るかを試してみた。

そしてお天気は、どんより曇り…

テカるのが嫌で光を遮り過ぎ、
ハッキリ撮れてないわ、なんかアイスグレーが白いわ…
エタンが青み帯びてるわ…
現在の在庫色6色
ルージュブリック、エトゥープ、エタン、ネイビーブルー、ブラック、アイスグレー
ネイビーとエトゥープがもっそ変な色やないかい…
俯瞰だと、革の仕上げによるテカりも…
エタンのみ
よーわからんくなってきた…

どんより曇り… 青かぶり… 
白い紙を用意したり、ホワイトバランスがムズいというか、実力不足。

好きに景色を撮るのはとても楽しいが、これは "全然楽しくはない"…


仕上がり撮影 -New money clip wallet "slim version"-

製作したブツ、マネークリップ財布"薄型"
薄型は他に違うデザインがあるが、フレンチレザーでの"新しい薄型"は、過去紹介したマネークリップ財布とデザインを統一した。

見た目は同じに見えるが少々作りが違う。カードポケットは4つ、左にホルダー1つ。(過去に紹介したタイプは、カードポケット裏にポケットがある)

そのブツを、白や他の色の背景で試しに撮ってみたが、イマイチだった…
何か足りない感じだったので黒のデスク上で撮影。

落ち着いたグレーカラーが魅力的なエタン、表の革はnoirブラック

-New money clip wallet- "slim version"
スリムバージョン、スペイン語名を付けるなら"delgado / デルガド"
少し逆光気味
上から
オモテはブラック
おまけのワックスリネン糸

光が革に反射し過ぎないように気を付けながら撮り、室内で見えていた色に近づいたので良しとした。

そうしなければ、前に進めない… お願い、進ませて。

カラーオーダー製作風景 -process of making-

お次はまた違うモノの製作中に撮った"製作風景"写真。
先に紹介した同じ色の組み合わせ、ブラック&エタン、糸も同じ色でのカラーオーダー注文をいただき製作させてもらった。有難いことです。

わたくしエンフォケの製作しているフレンチレザー製品は、受注として在庫色でのカラーオーダー注文は対応している。

午前中、光の反射でテカる…
まぁ、革のフィニッシュの影響
サイドからの光だとちょっとマシ
イタリア製 挽物プリムホック
凸になんか写り込んでるけど、そんぐらいはね…
緊張感…お馴染みの本裁ちチョップ
さて、何層あるでしょう
斜め包丁

ここからまた違うモノ、2種類オーダーを頂いていた。

DIY…材料原価100円以下、1時間で作れる治具を使い
コバ仕上げ剤、乾燥中
集中して…本裁ちチョップ!! 2回目
さて、こちらは何層あるでしょう
縫い終わり、またワックスリネン糸

カラーオーダー製作、コイン&カードケース、カードケースでした。
同じ日に撮影した訳ではなく3日ぐらい別々の日、どの日も日中曇りのお天気が続いていた。
夕方で暗いからと露出を上げ色味が変になったり… しゃーない。

仕上がり撮影 パート2

オーダーはお時間をいただき製作、出来るだけ早く仕上げて発送を心掛けているが、製作中と発送前に仕上がり写真は必ず撮らせてもらう。
後に製作例や、このnote、SNSに使用する写真が必要になるのでね。

仕上がり後、急いで撮影。雨や曇りのお天気は仕方なし… 暗め。

コイン&カードケース
閉じたカタチ
中に仕切り
仕切りウラにカードや折ったお札を入れて、ミニマルなお財布に
背面にカードポケット
-Monedas de Euro de España-
ユーロ硬貨、あまり綺麗ではないけど…

ちょっと余談…
写真の硬貨はスペインEspañaから持ち帰った硬貨… 全てスペイン硬貨…
当たり前だろ? … いや、そうとは限らないのである。

EU加盟国の内、現在20カ国の通貨が"€"ユーロ
ユーロ紙幣デザインはユーロ通貨導入国で統一されている。
一方、ユーロ硬貨は各国政府の造幣局が発行、片面はユーロ圏共通のデザイン、もう片面は各国が独自にデザインできる。好きにしてええんやで…

それぞれがユーロ圏での仕事や旅行で使うことで、各国の市場では他国のユーロ硬貨が混ざることになり、稀にわたしの手元にも回って来たりした。

であるが、当時 "同居人"がスペイン以外のユーロ硬貨を集めていたことで、定期的に"手持ちユーロ硬貨検査"が実施されていた…

全て出せ、この女王の前に… (笑)

わたしが持つ他国ユーロ硬貨は、全てスペイン硬貨に交換されていた。
なので、わたしはスペインのユーロ硬貨しか持っていない。余談でした…

続いてカードケース。

お久しぶり
ピントは上気味(笑)
パカッ… 総裏貼り作りでっせ

ハイブランドなどの商品画像では、背景は白一択もよくあるね。
広告用に画像編集ソフトで商品を切り取るためもあるだろうけど、視認性、商品を見てもらいやすくなる、それが定石だとも思うことも。

主に撮った…エタン錫色
太陽光の下などの明るい場所、室内の蛍光灯の下、暗めの場所、周囲の光により見え方が変わるのも"魅力"と言えるかと。

最後に

道具の写真などもちょいちょい撮っている。
最近撮影したモノ… 製作に使う大切な道具と販売中のマネークリップ財布。

-革包丁-
オモテではなくウラ面
-手縫い針-
撮るのむずっ
-ヨーロッパ目打ち&菱錐-
少し鈍い光り方、妖艶な感じ
-リフレクション-
ヨーロッパ目打ちに革が反射した
-Le point sellier-
両面斜めのステッチ
-New money clip wallet "slim version"-
黒桟革&フレンチレザー ブラック&ブラック、絶賛販売中です。
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ブツ撮り… 好きで撮る風景写真とはかなり異なる。

気になるのは、"実物の革の色との違い"、"反射による革のテカり"など…
モノ作りでも、他のことでも、何故そうなるのか? 原因を把握し解決すること…それが出来ればベスト。

製作風景はその時々、ある意味瞬間、状態なので自然光でいい。
仕上がり… 製品写真の場合は、天候や時間帯に左右されず、いつでも撮れるブースと撮影用LEDライトで撮るべきか… 

まぁ、この辺で。

ではまた、¡Hasta luego!

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