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【翻訳メモ】INSIGHTS FOR THE JOURNEY

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■全体目次 https://note.com/enflow/n/n51b86f9d3e39 ■「ティール組織」の著者であるFrederic Laloux によるINSIGHTS…
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2020年9月の記事一覧

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【4.4.2】マイクロマネジメントを求めるメンバーの対処法(Team members like to be micro-managed)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/442.html ■翻訳メモ 今回は、多くの組織から聞いた、ある問題を扱います。それは、「セルフマネジメント」に移行中の組織で働く多くの人たちは、必ずしも、その移行を望んでいないという問題です。その人たちは責任を負うことを嫌がり、むしろ、マイクロマネジメントの下で働くことを望んでいるといいます。確かに、その手の話はよく耳にします。そして、驚くべきことでもないと思います。パワーもなければ責任を負う必要もないという世界は「快適」そのものというのは成り立つかもしれません。しかし、この「快適」は「見せかけの快適」のように思います。その環境で長く過ごすと、間違いを犯すことに恐怖心を抱くようになります。それが内面化すると、何も自分で決められなくなってきます。一方で逆の視点もあります。そんな環境にどっぷり漬かっていた人がひとたび、「セルフマネジメント」の世界に足を踏み入れると、とんでもない学習曲線を描く場合があるということです。 マイクロマネジメントの世界で起きていることの核心は、そこで働く人たちは現実から遮断されているということです。多くの組織では、彼らを、まるで幼い子供を保護するかようなシステムが出来上がっています。これを本人にそのまま言ったら、彼らは馬鹿にするなと怒ってくるでしょう。ですので、「セルフマネジメント」を進めるには、事前によく話し合って、伝え方も決めておかねばなりません。つまり、何をしようとしているか、明確に伝えることができなければ、たちまち彼らの信用を失ってしまうというのは注意点です。 このシリーズをしっかり視てくれている人なら、彼らが話し合える場所を作って、権限移譲したらいいと思うかもしれません。しかし、このやり方も、パワーが必要ないと言っている相手には通用しないかもしれません。話し合うだけでは、きっと、彼らは保護策の中からは出てこないでしょう。彼らをそこから出すには、まずその保護柵の存在に気付いてもらわないといけません。実はそんなものは不要で、人は本来パワフルなんだと気付くことができた人から、本来の意味でパワフルになっていきます。しかし、彼らは、自分たちにパワーが回ってこないのは、他の誰かがパワーを占有しているからだとよく知っています。それがマネージャーなのか、さらに、その上のマネージャーなのかといったことですが、パワーはいらないという人に限って、そのパワーがどこにあるか、パワーのありかを察知する能力に長けているものです。そのため、保護柵が外されたことが分かったら、実はなすすべをよく知っている彼らは、突然力を発揮するようになるのです。 要は保護柵を取り外すことです。ただ、組織によってやり方が少し違ってくることはあります。絆創膏をはがすように一気に取り払ったほうがよい組織もあります。もう保護柵はないぞ。何か問題が発生しても、もう頼るマネージャーはいないぞ、といった感じです。詳細は、少し前に話した、いくつかの「自動修正システム」の動画を見てください。 つまり、保護柵を外す時には、次のことに気を付けてもらいたいと思っています。今後、メンバー全員の仕事が直接的な評価にさらされること。良い仕事であっても、悪い仕事であっても、それが原因となって、痛みになったり誇りになったりと、常に直にあらゆる状況にさらされることです。例外は存在しません。 柵を取り払えば、メンバーは1人、そして、2人、3人と少しずつ、一歩踏み出して来るでしょう。「俺たちはもうボールを失うことはない。これは一種のラリーだ。これできっと何かができるぞ」と言って、さらに2人、3人と進んできます。これが絆創膏をはがすメソッドです。 しかし、もちろん、もっとソフトな方法でチームを支援することもできます。例えば、チームを招集してミーティングを開き、そこで新しい領域について話し合うといったやり方です。「もう、保護柵はなくなりました。私たちは、あなた方ならできると思っています。もちろん、あなたにはそれができるスキルがあります。しかし、柵が外れる前に何か聞いておきたいことはないですか?」という会話をします。きっと、その新たな領域がどのように機能するのか、次のような項目で質問が出てくるでしょう。意思決定、紛争解決、仕事の良し悪しの判断、トレーニング方法、などです。これがしっかりできていると、「セルフマネジメント」への道が開けてきます。 「セルフマネジメント」に抵抗感を示し、マイクロマネジメントを懐かしがって、新しい世界に足を踏み入れることを躊躇している人に出会ったら、その人たちは、まだ、保護柵の中にいたいのだと思ってください。したがって、私たちができることは、まずは、その保護柵を取り払ってあげることです。彼らに、押し付けが目的の弱々しいパワーではなく、本来のとても力強いパワーに気付いてもらえるようにします。こういう組織の経営陣は、メンバーにパワーを移譲すること、つまり、保護柵を外すという、もうひとつの大きなパワーを保持したままということが分かると思います。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【4.4.1】セルフマネジメントは難しい!?(When things are hard)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/441.html ■翻訳メモ 私がかかわった組織で、「セルフマネジメントは本当に難しい」と言うトップがたまにいました。「セルフマネジメントへの移行は本当に大変なんだ」と。何がそんなに大変なのか聞き返しても、それにはうまく答えられずに、ただ、「難しい」「難しい」と繰り返すのみなのです。これはある典型パターンの兆候だと思いました。いまから紹介する2つのことの内、必ずどちらか一方に当てはまっているはずです。 1つ目は構造の問題です。形ができていない可能性があります。古いやり方を解体しただけで、新しい構造が確立できていないのがこのパターンです。構造が明確になっていないとメンバーは混乱の中に取り残されたままになります。だれが決定権を持っているのか、それはすでにメンバーに振り分けられているのか、そのあたりが不明確なままのはずです。それぞれの役割にかんしても明確ではないはずです。意見が一致しない時はどうすればいいのか、だれも分からないといった状態です。前にも言ったことですが、これは特別なケースではありません。これは、「セルフマネジメントにはいかなる構造もルールも存在しない」という典型的な誤解パターンに陥っているのです。「構造もルールもない」というのは、まったく真実に反しています。それを知るには以前の動画、【4.1.6.No more structures, processes, rules】を見てください。必要以上に物事を難しくしている原因について触れています。 もう1つは、組織が、いわゆる「セルフマネジメントごっこ」をやっているだけといったパターンです。自分たちはやっているつもりだけど、実際は、半分以上は元のままといった状態を指します。そのような組織は、「マネージャー」という呼び方は早々に廃止している場合が多いですが、その代わりとして、「コーディネーター」や「リーダー」やら、機能が不明瞭な新しい役職を多く作り出していることが多いように思います。そして、彼らは、あたかもそれが、「セルフマネジメント」であるかのように信じて疑わないのです。「セルフマネジメント」で運営していると言い張っていても、責任の所在がチームではなく、相変わらず個人に紐付いたままであったりします。責任はチームに分担されたと言っているのは元マネージャーだけで、残りのメンバーは、依然として、元マネージャーが責任を負えばいいと思っている、といった状態です。その状態では、元マネージャーは依然としてマネージャーとしての行動を求められ続けているはずです。つまり、「セルフマネジメント」に移行していないということです。半分は古いシステムのままで、もう半分が新しいシステムに乗っかっている状態です。状態に長く留まるのはもっとも好ましくないのは言うまでもありません。本当に「セルフマネジメント」に移りたいのか、それともまだ旧来のマネジメントのままだいいのか、決断しなければなりません。「セルフマネジメント」に移りたいのなら、シンプルに、「セルフマネジメント」の仕組みをもっと理解する必要があります。そうすれば、構造やルールを明確にすることができます。それを理解したら、「コーディネーター」とか「リーダー」とかいう呼び方に固執するのではなく、具体的な役割に目が向いてきます。意思決定の方法についても話し合う必要が出てきます。それらを理解して、そうやく、準備が整ったと言えるのです。 中途半端な状態にいるということは、無意識のレベルで、古い経営スタイルに思い入れがあるからかもしれません。マネージャーにしてみれば、他の組織ではうまくいっているという話を聞いても、自分の部下たちには土台無理だと決めてかかっているのかもしれません。つまり、彼らは、どこかで自分の部下のことを信じていないのでしょう。指示を与えないと動けないと思い込んでいるのかもしれません。心の内に大きなブレーキがあると本来のスタートラインには立てません。 次も同種の典型的なパターンです。「セルフマネジメント」に移行できるほど、メンバーは自発的ではないといった思い込みが組織の根っこにある場合です。繰り返しになりますが、その前提を持ったままでは、「セルフマネジメント」にたどり着くのは難しく、組織全体の7割がたにこの考えがあると、組織は一切動かなくなるでしょう。 今回話したことに1つでも思いたるものがあれば、自身の深い思い込みを明らかにすることを強くお勧めします。それが「セルフマネジメント」への移行の準備ができているかどうかのチェックになるからです。そして、もしそういう部分を感じたのなら、本当に「セルフマネジメント」を貫徹したいのか、それとも元のヒエラルキーの世界に止まったほうが良いのか、他の人たちともよく話し合ってほしいと思います。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【4.3.9】セルフマネジメントの振り返り(Team check-in sessions)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/439.html ■翻訳メモ 今回は特にお勧めしたい実践方法を紹介したいと思います。というのも、「セルフマネジメント」の初期段階におけるそれらの実践は、とても重要だと思うからです。 それは、「セルフマネジメント」がきちんと機能しているか、全員で定期的に話し合う時間を持つことです。そこでは、何がうまくいっているか、何がうまくいっていないのか、それらを変える必要はあるのかについて話し合います。立ち止まって話すという、この種のチェックは、忘れがちということもあり、なおさら重要だと言えます。日々働いているといろんな不満も溜まってきます。それ用の、疑問を解消するためのミーティングは普段からあるはずです。それより重要なのは、「セルフマネジメント」がきちんと機能しているか、変更を加える必要がないか、しっかりした話し合いできる場所と時間を用意することなのです。そして、必要な場合は、外部コーチを招聘します。最初のうちだけ、外部コーチの力を借りるという方法もあります。慣れてくれば、チームだけでもできるようになってきます。 特に初期段階にかんしては、私は、一定の頻度で振り返りのミーティングを実施することを推奨しています。もちろん、そこから独自の方法に移って行くことは自由ですが、基本は定期的な開催にあると思っています。最初は、月に1回くらいがいいと思います。それが習慣化し、その頻度で実施する必要がなくなったら、その次は四半期といった具合に、実施の間隔を延ばして行きます。その際、様々な事柄がどのように機能しているか、多面的に確認できるよう、あらかじめ、チェックリストを用意しておくことをお勧めします。 こちらで何度か、ビュートゾルフ社での「セルフマネジメント」の実践のことが書かれた、アストリッド・フェルメールとベン・ウェンティングの『自主経営組織のはじめ方―現場で決めるチームをつくる』という本の紹介をしました。その本の中で、いくつかのチェック項目がありました。例えば、チーム編成にかんしてのチェック事項がありました。他にも、組織に価値観や個性の違いを受け入れる文化はあるか。アドバイス・プロセスを始めとした意思決定プロセスにおいての決定が実行できているか。タスクや役割分担はうまくいっているか。お互いの才能が活かしきれているか、といったチェック項目があるました。今、画面に映っているリストが見えるでしょうか?自分のチームのリストを作る際の参考にしてください。チームにとって、物事がうまくいっているのか、それともいっていないのか、あらゆる可能性をこの表を使ってチェックします。そして、チームが自ら学習できるようになってくると、自己修正の機能が始まります。そうなれば、何かうまくいっていないことがあってもすぐに対処できるようになります。問題を引きずることも減ってくるはずです。 「セルフマネジメント」の機能をチェックする時間を持つことの重要性はここで説明した通りですが、もう一つのチェック機能を紹介します。それは、会議の最初にチェックインを行うことです。あなたの組織ではすでにやっていることかもしれません。実際、多くの企業がこれを取り入れています。会議を始めるタイミングでのとても価値がある方法です。まず1分間の黙とうなどの後、自らの現在の状態をチェックします。そしてそれをシェアしていきます。今の進捗状況はどうか?そこで、うまくいっているものは何か。逆にうまくいっていないものは何か、感じたままのことを言葉にします。アウェアネスを維持できれば、余計な感情を会議の場に持ち込まなくても済かもしれません。会議を実りあるものにするには、うまくいっていることを、その後の会議で取り上げてもいいかもしれません。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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【4.3.8】「痛み」を話し合う場について(Spaces to talk about the pain of self-management)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/438.html ■翻訳メモ 「セルフマネジメント」は、時に、私たちの核心に向かって挑戦状をたたきつけてくることがあります。私たちにとって、かつて習得したものを捨て、学び直さなければならないものが数多くあるということです。新たに学ぶことといっても、慣れてしまえばとてもシンプルで、常識的なものばかりです。なにもロケット工学を学び直そうというものでもありません。しかし、そうであっても、「セルフマネジメント」は、私たちが慣れ親しんできた多くのものに対して、さらには私たちの深いアイデンティティーに対してさえも挑んでくるのです。 元マネージャーにとっては、まず、出世レースや力の中枢に居座ること、そして、力の保有者として部下にどう見られたいのかも含め、自分自身にかかわる多くのことを手放さなければなりません。組織図の、長い間慣れ親しんだ位置もからも離れざるを得なくなります。これらは相当につらいことです。しかし、同様のことが、ピラミッド下の方にいた人たちにも当てはまってきます。彼らは、「責任」からは遠い存在でした。ところが急にパワフルになったため、「責任」の領域に足を踏み入れざるを得なくなったのです。マネージャー同様に大きな戸惑いが生じてきます。 交流分析という手法では、親子や成人の関係を扱います。それによると、伝統的なピラミッド型組織は、「親子関係」にあると言われます。マネージャーが「親」であり、部下は「子」にあたります。そして、そこに「成人」の関係を持ち込むことは、相当な量の再学習が必要であることが分っています。例えば、その「親子関係」の解消のために、経験について話すスペースを作る方法がありますが、それは非常に大変なプロセスを巡ることになります。なぜなら、それは、職場における人間性を取り戻す行為になるからです。それとは別に、経験についてオープンに話せる「ホールネス(全体性)の場」を作る必要もあります。経験上、そのような場は、心から安心できる場であることが求められます。そこは、苦しんでいるのは自分だけではないことを知る場になります。自分自身に原因があると信じ込み、その苦しみ自体をないものにしようとしていた人にとっても、その場所での共有体験は大いなる救いとなります。苦しみの真っただ中にある人の話を聞いて、自分の方が旅のもっと先にいることが分かり、そのことから多くのインスピレーションを得る人もいます。苦しみの中にいる人も、少し元気になった人に出会うことで、「セルフマネジメント」に変化のための新しい可能性を見いだせるようになっていきます。そこでの会話が勇気になって、それがエネルギーにも希望にも変化して行きます。ゆえに、そのような話し合いの場が必要です。そこから、「セルフマネジメント」への移行に向けた大きな可能性が広がり始めるからです。 反対に、疑問や不安について話し合うスペースを作らないとどうなるか。移行はすべて順調に行っていて、完璧にコントロールができているという印象を苦しんでいる当事者に与えることになってしまうかもしれません。それはとても危険なことです。それだと、移行がうまくいっていないと感じた人は、自分の内面にある問題や痛みをすべて組織のせいにしてしまうことでしょう。そうなると移行に困難が生じます。「痛み」ついて共有できる場を作ることを真剣に検討してみてください。 また、それを行うにも、さまざまな方法が存在します。大規模な組織の場合は、ランダムに、さまざまなチームからメンバーを招集することが可能だと思います。一緒に働くメンバー同士が自然に集まれるのなら、それに越したことはありません。そこで働いているメンバーが皆、自分の悩みを開示していくと、オープンになることが苦手なメンバーであっても、自分のことを開示しやすくなります。そうやって、自然にチームに深みと信頼が生まれていきます。 元マネージャーだけが集まって、その時の気持ちを吐露し合うことは事例も多く、手法もたくさんあります。グループをいかに設計するかという観点は重要ですが、それよりも重要なのは、その場を作るファシリテーターの存在です。ファシリテーターには、不安に駆られた人たちが仮面を脱ぐことのできる、そして、弱さを見せ合える安全で神聖な空間を作ることが求められます。そのことを知っている専門家はたくさんいます。そして、方法論も多数存在します。しかし、結局のところ、その部屋の中から、あらゆる判断を取り去ること以上に重要なことはありません。そこは深い傾聴の場でなくてはならないのです。よく起こりがちな、人の意見をただすとか、助言を与えるとかがあっては何にもなりません。 パーカー・パルマーの書いた、一冊の素晴らしい本を紹介します。この本のタイトルは『隠された全体性(a hidden wholeness)』と言って、このような空間を作る方法について書かれたものです。この本を読むことも一つの方法ですが、場を作るのに長けた専門のファシリテーターを呼んでくるのも良い方法です。 彼らのファシリテーションのことを少しお話しすると、もっとも、そこに一番気を付ける必要があるということですが、私たちはあまりにも外の世界のことについて話すのに慣れてしまっていて、自分の核となるもの、内側の世界を見るのにまったく慣れていないことが分かると思います。彼らは、内外をバランスよく見るのに長けています。 例えば、「新しい役割」への適合というのは外側のことです。そして、その「役割」をどのように演じたらよいか、特に、アドバイスプロセスにおいて、どのように振舞ったらよいかなど、それらはすべて外側の問題です。そして、そのような自分自身の存在の不確かさに対してどう対処していくかというのが内面の問題となります。優れたファシリテーターはそのバランスに注目します。多くの人は、対話の場で、どうやって振舞えばよいのか、そのヒントを知ることに躍起になります。しかし、そうではありません。私たちの信念や思考といった現象は、すべて、私たちの内面のあり方と深く関係していることを理解しなければなりません。外側の結果に振り回されるのではなく、自らの根本となる内面を見つめなければなりません。後々、それが大きな救いとなってきます。各自の不安への投影を減らしていけば、移行自体もスムーズに進むようになっていくでしょう。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

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【4.3.7】セルフマネジメントにおけるトレーニング(Training team-members in self-management)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/437.html ■翻訳メモ 従来のやり方に馴染んだ組織が「セルフマネジメント」に移行しようとすると、とてもたいへんな思いをします。伝統的な階層ピラミッドの中に何十年もいたらやむを得ないことです。ゆえに、今回紹介するトレーニングは、その後の移行がスムーズに進むか、それに向けて、大きな役割を果たします。 優れた「セルフマネジメント」または、「ティール」のトレーニングはどんなものがあるかと、よく聞かれます。私は、それは、随分、短絡的な質問だと思います。つまり、組織に居座り続けているテンションは何なのか、そこで解決しようとしていることは何なのかがはっきりしていないとトレーニングも何もないからです。というのも、もしメンバーが仲良しグループを形成していて、だれも責任を取りたがらないのであれば、別のトレーニングが必要になってきます。あるいは、影のボスがいるという場合もあるかもしれません。または、そもそも「セルフマネジメント」がどのように機能するのか、だれも分かっていない状況があるのかもしれません。マネージャーに対する恐怖心がまだ残っている組織の場合だと、メンバーは、表向きイエスと言っても、だれも本気で仕事に関わろうとしないことがよくあります。これらすべては、まったく異なるトレーニングアプローチが必要になります。ですので、必要としていることは何なのか、最初にチームの中で答えを持つことが肝心です。 もう1つ言えることは、すべてのトレーニングは、実際の仕事と関係させることがとても重要になってきます。一般的には、理論など、抽象的なことを学ぶトレーニングが多いと思います。しかし、それだとあまり意味がありません。実践的でないものは学ぶ意味がないと思います。ですので、ここで紹介するトレーニングは、すべて現場での実践をベースに考えられたものであると思ってください。そして、この「セルフマネジメント」のトレーニングは、専門のトレーナーがいて、そのトレーナーの経験を通して学べるようになっています。 ある組織は、メンバーが互いに仲が良すぎて、だれも責任を背負おうとしないという事実について話してくれました。そこでは、責任を持つことについて、またフィードバックのやり方についてなどをトレーニングしました。しかし、説明責任を果たすための会話は、トレーニングよりも、実際の方がはるかに面白いと思います。トレーニングはすべて、理論を理解し、それを実行に移していけるように設計されます。 「定義」、「導入」、「実践」といった一連の流れは、トレーニングを通して学んでいきます。「決定」はどのようにくだされるのか、「対立」はいかにして起こるのか、「責任」はチームの中でどのようにシェアされていくのかなど、「新しい実践」として1つずつ学習していきます。そうやって、トレーニングと、実際の業務におけるメンバーとのやり取りを経て、実践がチームに根付いていきます。 中には、依然、影響力を持ったまま、かつてのマネージャーが居座っている場合もあります。事実上、以前のまま、権力を行使し続けている状態が続いています。そういう時は、「役割」について、また、「意思決定のメカニズム」について、その元マネージャーと会話を持たなければなりません。それは一つの良いトレーニングにもなります。以前よりも明確になったチーム内の役割分担について、リアルに会話を進めていきます。意思決定については、その場でアドバイス・プロセスを実践してみることも良いトレーニングになります。そうすることで、すべてが明確になっていきます。 3つ目はトレーナーにかんすることです。従来とは異なる存在、異なる態度からトレーニングを行うことを厭わないトレーナーを探し出す必要があります。伝統的なトレーニングは、ヒエラルキーモデルと同じで、トレーニング効果など、結果は分かっていることが前提になっています。そして、それは、一方から押し付けられるものでもあります。「セルフマネジメント」において、本当に育てていきたいのは、「共創」のできる人材です。それには、チームが取り組むべき課題をしっかり把握し、経験に基づき、理論と実践との両方を指導できる人物が必要になってきます。つまり、トレーニングそのものが、「セルフマネジメント」の本質を体現化したものでなければなりません。 4つ目の考えは、これは明白なことですが、すべてのトレーニングは、ホールネスの実践となるような素晴らしい瞬間でなくてはならないということです。そのためには、安全や安心が担保されることが重要になってきます。「セルフマネジメント」に移行するのがどれほど難しいか、メンバーが経験しているアイデンティティの変化や葛藤など、内なる心の声を安心して話せる場づくりが必要になってきます。不安や葛藤といっても、そこには、困難だけでなく、希望や憧れ、願望も混ざっているはずです。驚くべきことではありませんが、トレーニングの段階で、感情が表れて、涙を流すメンバーも出てきます。それは移行に向けて、とても良い兆候だといえます。そういった場面を経て、共感性が育まれるのです。私は、常に、トレーニングとは、「ホールネス」を確立するため、また、メンバーが仮面を脱ぐための、いわば「神聖な機会」であると捉えています。 次は、トレーニングの作り方についてです。人事部や移行チームが作る型どおりのトレーニングは、どのチームも受ける必要はないと思っています。私は、メニューのようなものを作って、チームが必要に応じて受けられるよう、常に開示しておくことをお勧めしています。できることなら、トレーニングを作るにも、ひと手間つけ加えるべきです。トレーニングは、想定内に収めるのが目的ではなく、実際に直面している問題に対応できるものでなければ意味がありません。 次が最後になります。自分のありたい姿を追いかけたり、行きたい場所を明確にしたりすることも大事ですが、その一方で、望んでいないことを言葉にすることも、また価値があることです。そして、それをチームで共有することはとても役に立ちます。アストリッド・フェルメールやベン・ウェンティングといった、ビュートゾルフ社でトレーニングにかかわっていた人たちは、誰も演じて欲しくない「役割」に名前を付けるという素晴らしい方法に取り組みました。例えば、チームに内にさまざまな意見があることを快く思っておらず、とにかくコンセンサスを取りたがる人のことを「反体制の抑圧者」と呼ぶようにしました。他には、「それではうまくいかないドラゴン」というのもありました。なんでもかんでもルール化しなければ気が済まない「ルールの創造者」というのもありました。そうすることで、ああ、私たちはこの罠に嵌りそうになっていたんだ、などと、チームが気付けるようになってきます。自分たちが望んでいないことを言語化しておくことは、半分楽しみながらできるトレーニングです。 トレーニングについては、実はもっと多くのことを言いたかったのですが、今回は、これらの4つ5つの考えの紹介で止めとおこうと思います。トレーニングは大きな助けになるものですが、従来の人事部が提供していたような、理論的で、前もって結果が分かる、一方通行のものは止めておきましょう。「セルフマネジメント」に移行することで何を目指しているのか、トレーニングにそれを反映させ、そして、是非、「学びの過程」という旅を作り上げてください。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1