【4.4.2】マイクロマネジメントを求めるメンバーの対処法(Team members like to be micro-managed)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/442.html

■翻訳メモ
今回は、多くの組織から聞いた、ある問題を扱います。それは、「セルフマネジメント」に移行中の組織で働く多くの人たちは、必ずしも、その移行を望んでいないという問題です。その人たちは責任を負うことを嫌がり、むしろ、マイクロマネジメントの下で働くことを望んでいるといいます。確かに、その手の話はよく耳にします。そして、驚くべきことでもないと思います。パワーもなければ責任を負う必要もないという世界は「快適」そのものというのは成り立つかもしれません。しかし、この「快適」は「見せかけの快適」のように思います。その環境で長く過ごすと、間違いを犯すことに恐怖心を抱くようになります。それが内面化すると、何も自分で決められなくなってきます。一方で逆の視点もあります。そんな環境にどっぷり漬かっていた人ひとたび、「セルフマネジメント」の世界に足を踏み入れると、とんでもない学習曲線を描く場合があるということです。

マイクロマネジメントの世界で起きていることの核心は、そこで働く人たちは現実から遮断されているということです。多くの組織では、彼らを、まるで幼い子供を保護するかようなシステムが出来上がっています。これを本人にそのまま言ったら、彼らは馬鹿にするなと怒ってくるでしょう。ですので、「セルフマネジメント」を進めるには、事前によく話し合って、伝え方も決めておかねばなりません。つまり、何をしようとしているか、明確に伝えることができなければ、たちまち彼らの信用を失ってしまうというのは注意点です。

このシリーズをしっかり視てくれている人なら、彼らが話し合える場所を作って、権限移譲したらいいと思うかもしれません。しかし、このやり方も、パワーが必要ないと言っている相手には通用しないかもしれません。話し合うだけでは、きっと、彼らは保護策の中からは出てこないでしょう。彼らをそこから出すには、まずその保護柵の存在に気付いてもらわないといけません。実はそんなものは不要で、人は本来パワフルなんだと気付くことができた人から、本来の意味でパワフルになっていきます。しかし、彼らは、自分たちにパワーが回ってこないのは、他の誰かがパワーを占有しているからだとよく知っています。それがマネージャーなのか、さらに、その上のマネージャーなのかといったことですが、パワーはいらないという人に限って、そのパワーがどこにあるか、パワーのありかを察知する能力に長けているものです。そのため、保護柵が外されたことが分かったら、実はなすすべをよく知っている彼らは、突然力を発揮するようになるのです。

要は保護柵を取り外すことです。ただ、組織によってやり方が少し違ってくることはあります。絆創膏をはがすように一気に取り払ったほうがよい組織もあります。もう保護柵はないぞ。何か問題が発生しても、もう頼るマネージャーはいないぞ、といった感じです。詳細は、少し前に話した、いくつかの「自動修正システム」の動画を見てください。

つまり、保護柵を外す時には、次のことに気を付けてもらいたいと思っています。今後、メンバー全員の仕事が直接的な評価にさらされること。良い仕事であっても、悪い仕事であっても、それが原因となって、痛みになったり誇りになったりと、常に直にあらゆる状況にさらされることです。例外は存在しません。

柵を取り払えば、メンバーは1人、そして、2人、3人と少しずつ、一歩踏み出して来るでしょう。「俺たちはもうボールを失うことはない。これは一種のラリーだ。これできっと何かができるぞ」と言って、さらに2人、3人と進んできます。これが絆創膏をはがすメソッドです。

しかし、もちろん、もっとソフトな方法でチームを支援することもできます。例えば、チームを招集してミーティングを開き、そこで新しい領域について話し合うといったやり方です。「もう、保護柵はなくなりました。私たちは、あなた方ならできると思っています。もちろん、あなたにはそれができるスキルがあります。しかし、柵が外れる前に何か聞いておきたいことはないですか?」という会話をします。きっと、その新たな領域がどのように機能するのか、次のような項目で質問が出てくるでしょう。意思決定、紛争解決、仕事の良し悪しの判断、トレーニング方法、などです。これがしっかりできていると、「セルフマネジメント」への道が開けてきます。

「セルフマネジメント」に抵抗感を示し、マイクロマネジメントを懐かしがって、新しい世界に足を踏み入れることを躊躇している人に出会ったら、その人たちは、まだ、保護柵の中にいたいのだと思ってください。したがって、私たちができることは、まずは、その保護柵を取り払ってあげることです。彼らに、押し付けが目的の弱々しいパワーではなく、本来のとても力強いパワーに気付いてもらえるようにします。こういう組織の経営陣は、メンバーにパワーを移譲すること、つまり、保護柵を外すという、もうひとつの大きなパワーを保持したままということが分かると思います。


■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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