【4.4.1】セルフマネジメントは難しい!?(When things are hard)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/441.html

■翻訳メモ
私がかかわった組織で、「セルフマネジメントは本当に難しい」と言うトップがたまにいました。「セルフマネジメントへの移行は本当に大変なんだ」と。何がそんなに大変なのか聞き返しても、それにはうまく答えられずに、ただ、「難しい」「難しい」と繰り返すのみなのです。これはある典型パターンの兆候だと思いました。いまから紹介する2つのことの内、必ずどちらか一方に当てはまっているはずです。

1つ目は構造の問題です。形ができていない可能性があります。古いやり方を解体しただけで、新しい構造が確立できていないのがこのパターンです。構造が明確になっていないとメンバーは混乱の中に取り残されたままになります。だれが決定権を持っているのか、それはすでにメンバーに振り分けられているのか、そのあたりが不明確なままのはずです。それぞれの役割にかんしても明確ではないはずです。意見が一致しない時はどうすればいいのか、だれも分からないといった状態です。前にも言ったことですが、これは特別なケースではありません。これは、「セルフマネジメントにはいかなる構造もルールも存在しない」という典型的な誤解パターンに陥っているのです。「構造もルールもない」というのは、まったく真実に反しています。それを知るには以前の動画、【4.1.6.No more structures, processes, rules】を見てください。必要以上に物事を難しくしている原因について触れています。

もう1つは、組織が、いわゆる「セルフマネジメントごっこ」をやっているだけといったパターンです。自分たちはやっているつもりだけど、実際は、半分以上は元のままといった状態を指します。そのような組織は、「マネージャー」という呼び方は早々に廃止している場合が多いですが、その代わりとして、「コーディネーター」や「リーダー」やら、機能が不明瞭な新しい役職を多く作り出していることが多いように思います。そして、彼らは、あたかもそれが、「セルフマネジメント」であるかのように信じて疑わないのです。「セルフマネジメント」で運営していると言い張っていても、責任の所在がチームではなく、相変わらず個人に紐付いたままであったりします。責任はチームに分担されたと言っているのは元マネージャーだけで、残りのメンバーは、依然として、元マネージャーが責任を負えばいいと思っている、といった状態です。その状態では、元マネージャーは依然としてマネージャーとしての行動を求められ続けているはずです。つまり、「セルフマネジメント」に移行していないということです。半分は古いシステムのままで、もう半分が新しいシステムに乗っかっている状態です。状態に長く留まるのはもっとも好ましくないのは言うまでもありません。本当に「セルフマネジメント」に移りたいのか、それともまだ旧来のマネジメントのままだいいのか、決断しなければなりません。「セルフマネジメント」に移りたいのなら、シンプルに、「セルフマネジメント」の仕組みをもっと理解する必要があります。そうすれば、構造やルールを明確にすることができます。それを理解したら、「コーディネーター」とか「リーダー」とかいう呼び方に固執するのではなく、具体的な役割に目が向いてきます。意思決定の方法についても話し合う必要が出てきます。それらを理解して、そうやく、準備が整ったと言えるのです。

中途半端な状態にいるということは、無意識のレベルで、古い経営スタイルに思い入れがあるからかもしれません。マネージャーにしてみれば、他の組織ではうまくいっているという話を聞いても、自分の部下たちには土台無理だと決めてかかっているのかもしれません。つまり、彼らは、どこかで自分の部下のことを信じていないのでしょう。指示を与えないと動けないと思い込んでいるのかもしれません。心の内に大きなブレーキがあると本来のスタートラインには立てません。

次も同種の典型的なパターンです。「セルフマネジメント」に移行できるほど、メンバーは自発的ではないといった思い込みが組織の根っこにある場合です。繰り返しになりますが、その前提を持ったままでは、「セルフマネジメント」にたどり着くのは難しく、組織全体の7割がたにこの考えがあると、組織は一切動かなくなるでしょう。

今回話したことに1つでも思いたるものがあれば、自身の深い思い込みを明らかにすることを強くお勧めします。それが「セルフマネジメント」への移行の準備ができているかどうかのチェックになるからです。そして、もしそういう部分を感じたのなら、本当に「セルフマネジメント」を貫徹したいのか、それとも元のヒエラルキーの世界に止まったほうが良いのか、他の人たちともよく話し合ってほしいと思います。


■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。