マガジンのカバー画像

武蔵野シェアハウス発、辺境の山旅

12
1990年代末、若き日のアルピニスト野口健たちと共に暮らした東京・武蔵野の木造一軒家。 無名の冒険家たちが集まるその空間は、異様なほどのエネルギーであふれていた。 「ヒマラヤに行…
運営しているクリエイター

#わたしの旅行記

連載第12話 混沌の街カトマンズと宇宙的な山エベレスト

連載第12話 混沌の街カトマンズと宇宙的な山エベレスト

 飛行機で降り立った街、カトマンズは、混沌とした街だった。
 彫りの深いアーリア系、日焼けした日本人のようなモンゴル系、ティッカと呼ばれる真っ赤な色粉を額につけた老人、サリーの女性、ボロボロのTシャツの男、路上で売られているアンモナイトの化石、奇妙な形の神々の石像と古い僧院、その周りを走りまわるサル、道端に寝そべる牛。
 私にとっては、まさに「異世界」だった。
 人間と、神と、動物が、低緯度の強い

もっとみる
連載第8話 97年、野口健のエベレスト挑戦の映像

連載第8話 97年、野口健のエベレスト挑戦の映像

超人サイクリスト長尾のシェアハウス入りで情熱を取り戻した野口健は、1997年5月、田附や宮上ともにエベレストに挑むことになる。
 直前に行われたネパールでの高所トレーングには、エベレストには行かない長尾も参加することになった。
 このエベレスト遠征は、家電メーカーがスポンサーについていたこともあり、野口たちはそのメーカーのビデオカメラをよく回していた。

 私がシェアハウスに引っ越してきたのは

もっとみる