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毎日読書メモ(100)『魂萌え!』(桐野夏生)

出来るだけ毎日、と思って本の感想を書いたり採録したりしてきた毎日読書メモ、100回になりました。読書メモが残っていない時代に読んだ本の感想を今から拾えないのが今となっては残念。

2006年4月に読んだ、桐野夏生『魂萌え!』(毎日新聞社、現在は新潮文庫で上下巻刊行)の感想。いつの間にか主人公にぐぐっと年齢が近づいていて、15年半前の自分の感想を読みながらドキドキする。

桐野夏生『魂萌え!』どういう展開になるのか、まだ読めず、ドキドキして読む。世間知らずなようで、いざというときに果断な判断をする主人公。しかしそんなに蓄えもなく(年金貰っているようだが、本人は59歳なんだよね。今の実情だと年金って出ないような気がするが、63歳の夫が亡くなった分の遺族年金が出るのか?)、夫以外に頼る人もなかったような状態で、これからの老後をどう生きるんだろう? 客観的にとても不安定な感じ。

桐野夏生『魂萌え!』(毎日新聞社)読了。あー、これはいいねぇ、すっきりとした明るい終わり方だ。そして、特にこの人はミステリ作家というのとは違うけれど、物語の最後で、隠されていた謎(謎と呼ぶかは疑問だが)が提示されて、結構感心した。そういう構造にしてあったかー。個人的には、登場人物がどの人もあまりに自分語りをしすぎるのに辟易させられる部分があったが(普通あんなに喋らないように思うが、そうでもないのか? それも老いのひとつの兆候なのか?)、語らないと、物語が進行しないのかな...。偶然の出会いで知った人たちとか、以前から付き合いのあった友人との付き合い方の変容とか、その辺の処理もすごく上手で、これは作者の代表作のひとつだねぇ、と思った。ただ、新聞小説として読むには、ちょっと辛い悲しい要素も大きかったかなぁ。


#読書 #読書感想文 #桐野夏生 #魂萌え#新潮文庫

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