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白石一文『愛なんて嘘』(毎日読書メモ(320))

2017年5月の日記から、白石一文『愛なんて嘘』(新潮社、のち新潮文庫)の感想。

電車の中で読んでいた白石一文『愛なんて噓』(新潮社)を帰宅してから読了。白石一文の小説はいつも変だけど、この作品は殊更に変! 登場人物に連関のない、6つの短編からなる本だが、理解不能な男女ばかり。人を愛することが出来ない、と思っている主人公が理解不能な衝動に走り、でもそれは衝動ではないんだよ、と作者は言いたいらしい。うーんうーん。タイトルが一番雄弁なのか。エゴン・シーレの装丁は、何かを掻き立ててくれる感じではある。

Amazon見ると、単行本も文庫本も1円になってる=版元品切れになっているということだな(Kindleでは販売している)。
白石一文の作品はデビュー作『一瞬の光』以来、大体読んできたが、精神構造の不思議さが、わたしと相いれない登場人物たちばかりで、なんだろうなんだろう、と頭を抱えながら、でもついつい読んでしまう感じ。『愛なんて嘘』はその極北、という感じだったかな。版元品切れになっているということは、他の作品より、共感を得にくかったのかな(読書は共感のためのものではないかもしれないが)。
今でも購入できる白石一文で1冊お勧めするとしたらどれだろう、とちょっと考えてみた。難しいなー。ドラマになったので比較的知名度の高い『一億円のさようなら』(徳間文庫)をあげておこうかな。物語の設定は非現実的だけれど、のりまき屋さんのくだりがなんか好きです。


#読書 #読書感想文 #白石一文 #愛なんて嘘  新潮文庫 #一瞬の光 #一億円のさようなら #徳間文庫 #エゴン・シーレ

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