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ゼイディー・スミス『直筆商の哀しみ』(毎日読書メモ(395))

昔の日記をぱらぱら読んでいたら、ゼイディー・スミス『直筆商の哀しみ』という本の感想が出てきた。すごく心惹かれて読んだ様子が書いてあるのに、読んだことをまるっと忘れている衝撃。そもそも、この本購入しているのに、どこに行ってしまったんだろう? 我が家のカオスの中にあるのか、誰かにお勧めして貸したままになっているのか? 検索してみたら、残念ながら絶版になっているらしい。

職場に行く途中の電車でようやくゼイディー・スミス『直筆商の哀しみ』(小竹由美子訳・新潮クレストブックス)を読了。書店で平積みされた本を見たときから、この本に呼ばれている!、と思い、その割りに結構読むのに時間かかってしまったが、魅力的な本だった。ロンドン郊外で、Autograph Man(有名人のサインを売買することをなりわいとする人)として暮らすアレックス=リ・タンデムの、激動の9日間を描く、550ページ余の大作。アレックスと友人、恋人たちの共通認識であるユダヤ教について、わたしに全然知識がないので、カバラとか、色々挿入された宗教用語がわからず、ちょっともどかしかったりもしたが、破滅的に生きるアレックスの中の絶対的存在と奇跡のような出来事を語る本の後半は、一気に加速して読む。名前のついた章にわかれているのに、目次がなく、物語の全貌をとらえにくいのだが、それは、物語の全貌は読みつつ自分で把握していけ、という作者のメッセージなのかな? ゼイディー・スミスって初めて聞く作家だが、衝撃のデビュー作という『ホワイト・ティース』も探して読んでみよう、と思った。こうして、偶然出会って読んだ本が面白かったりするから、本屋通いはやめられないよね。
(2004/7/1の日記より)

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