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毎日読書メモ(73)『そして名探偵は生まれた』(歌野晶午)

最近あんまり歌野晶午を読んでいないのだが、『葉桜の季節に君を想うということ』(文春文庫)にぶっ飛ばされるような衝撃を受けて以来、結構熱心に読んだ。切り口も多様で、読むたびに驚きのある作家。『ジェシカが駆け抜けた七年間について』(角川文庫)とかもぶっ飛ばされ系だったな。

『そして名探偵は生まれた』(祥伝社、現在は祥伝社文庫)も、夢中で読んでいたことが当時の日記から伺われる。

往復の電車で読んでいた歌野晶午『そして名探偵は生まれた』(祥伝社)をひたすら読む。昨年(2005年)10月刊行の単行本だが、2000~2002年頃に発表された中編3本。どれも読みでがあって面白かった。表題作と「館という名の楽園で」は、初期の歌野作品を思わせる、館が主人公みたいなトリックもの。これらも面白かったが(後者はちょっと恩田陸の半密室ものを彷彿とさせた)、「生存者、一名」に圧倒される。ミステリーなのかどうなのか、最初はわからない、カルト宗教団体の犯罪と孤島への逃走。生存者とは誰のことなのか、反転反転また肩透かしと裏切り、みたいな、息もつけない展開。いやはや、歌野晶午にはまだまだ引き出しがあるねぇ。感心。(2006年7月)

#読書 #読書感想文 #そして名探偵は生まれた #祥伝社 #葉桜の季節に君を想うということ

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