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柳美里『ファミリー・シークレット』(毎日読書メモ(323))

柳美里の構築力の強さに心惹かれ、何冊も読んでいた時代の記録。『ラミリー・シークレット』(講談社。のち講談社文庫)の感想。

やや下世話な興味で読む。自分の育ち、自分が子どもに行ってきた虐待的行為、虐待の結果子どもと引き離された母親との対話、畠山鈴香や酒井法子についての考察、そうした断片の間に、カウンセラーとの複数回のセッション、カウンセラー臨席での父との再会の記録が入っているが、読んで感じたのは、結局出版のためのカウンセリングで、回数も深度も不足していて、本が出来上がったら結局何も好転はしないまま、柳美里はまた深い闇に入っていくだけなのではないか、ということ。不幸の連鎖を断ち切る困難に暗澹とする。(2011年9月の読書メモより)

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