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特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」(東京藝術大学大学美術館)《後期》

8月21日に、東京藝術大学大学美術館に特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」を見に行ったらとてもとても面白かったので(前期のリポートこちら)、これは後期も見なくては、と、前期一緒に行った友達と決意し、週末の予定が合わなかったので、平日に休みを取って見に行ってきた。そんなに露出が多い感じでもないが、それなりに話題になっているのか、まず、当日券売り場のところで行列、そしてコインロッカーが満杯。観終わった人が荷物を出しに来たところで、待っていた人が順番にそのコインロッカーを使う、という循環状態。今日のところは入場制限はしていなかったが、とうとう公式ウェブサイトに「30分以上の待ちが予測される場合は整理券を配布(Twitterで告知)、場合によっては入場いただけない場合がある」と記載されるようになった。
出展一覧を眺め(全体に照明が落としてあるのでR眼だと結構見にくかったが)、前期と後期で巻物の違う部分を展示している作品とか、完全に入れ替えられている作品を中心に眺める。工芸品と油絵は通期展示のものが多かったが、それでも、例えば高村光雲の彫刻は前期が矮鶏置物だったのが後期は鹿置物にかわっていたり、間違い探し的に入れ替えあり。小さい彫刻では前期のラブリーな「羽箒と子犬」が、同じ場所に後期は安藤緑山「柿置物」に入れかわっていたのだが、この柿置物が、象牙を彫って枝と葉と柿の実作って彩色されていて、素材はちがうが須田悦弘に通じる雰囲気があって、とてもよかった。他の作品も見てみたいなぁ。

前期の目玉だった狩野永徳「唐獅子図屏風」は引っ込められ、後期の目玉は伊藤若冲「動植綵絵」(但し30点中10点のみ)。いや、10点でも十分素晴らしい。2016年、あの狂乱の伊藤若冲展で見た時とは比較にならない極楽状態。今日も若冲の前には行列が出来ていて、係員が少しずつ動きながらご観覧下さい、と呼ばわっていたけど、いやいや、これだけじっくり見られるならやはり来た甲斐があったというものです。
(まぁ昔三の丸尚蔵館で見たときはもっとゆったりとしていたけれどね。また三の丸尚蔵館が新装開店したら見せてくれるかな?)
10点のうち鶏系が3幅。個人的には「蓮池遊魚図」「池辺群虫図」みたいな博物誌的な作品がもっと見たかったかな。
若冲は勿論とてもよかったが、前期に酒井抱一「花鳥十二ヶ月図」詞を見て、皇室に生まれて、この十二幅全部吊るされた部屋で暮らしたい、と言っていた友人は、若冲は自分の家に飾らなくてもいいかなー、と言っていた。家の中で眺めるにしては強烈すぎだ、若冲。
同じ部屋の「月に亀図」「桐に鳳凰之図」「牡丹孔雀図」なんかも、掛け軸にしては本当に巨大で、こんな掛け軸どこに飾って暮らすんだよ、という雰囲気(お城かね…)。
巻物系では、「酒伝童子絵巻」が強烈だった。前期の時にどこの部分を見たかは忘れてしまったが、後期は鬼がさらってきた姫君たちをはべらせて寝ているシーンと、続けて、退治されて首が飛んでいる光景が展示されていて、これは忘れられないインパクト。
「蒙古襲来絵詞」は、前期は蒙古人との闘いのシーンがあったのに、後期は日本人の群像部分で、蒙古襲来っぽさに欠けた印象。

普段あまり同じ展覧会に複数回は行かないのだが、行った甲斐あった。相当愉しかった。会期も残すところあと11日で今後は相応の混雑も予測されるが(そうなると、まず3階見てそれから地下1階、という藝大美術館の動線の悪さが気になるところだ)、それでも若冲だけでなく、多くの作品必見。お気に入りの作品を見つけてほしい、そんな展覧会だった。

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