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特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」(東京藝術大学大学美術館)《前期》

上野の東京藝術大学大学美術館へ、特別展「日本美術をひも解くー皇室、美の玉手箱」を見に行ってきた。藝大の美術館はそんなに大きくないのだが、名品てんこ盛りでお腹いっぱい。

本展は、宮内庁三の丸尚蔵館が収蔵する皇室の珠玉の名品に、東京藝術大学のコレクションを加えた82件の多種多様な作品を通じて、「美の玉手箱」をひも解き、日本美術の豊かな世界をご覧いただくものです。代々日本の文化の中心に位置して美術を保護、奨励してきた皇室に伝わる多くの優品は、特筆すべき重要な存在です。
また、本展が開催される東京藝術大学は、前身である東京美術学校で岡倉天心が1890年に初めて体系的に日本美術史の講義を行った場所でもあり、以降、芸術の教育・研究機関として重要な役割を担います。本展は、このような歴史的背景をもつ両者共同ならではのアプローチで、貴重な美術品の数々の魅力をわかりやすくご紹介します。

https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/2022/08/bi-no-tamatebako.html

という展覧会の概要を伝えちゃったら終わっちゃうのだが、現在改築中の三の丸尚蔵館の名品と、藝大の収蔵品をこれでもか、と見せてくれる素晴らしい企画。目玉となる作品は、前期と後期でかなり展示内容入れ替わるので、9月に入ったらもう一度行ってもいいかも(何故か前期後期の切れ目が9月4日/6日の作品群と8月28日/30日の作品があるので、2度行くなら、9月6日以降に行くべきかな)。

トップ画像に使った狩野永徳「唐獅子図屏風」は前期のみ。永徳が描いたのは右隻だけで、左隻はひ孫の可能常信が描いているのだが、こっちも結構おちゃめな感じでわたしは好きだった。
永徳のかわりに後期にばーんと出てくるのが伊藤若冲の「動植綵絵」、但し、あの狂乱の伊藤若冲展の時みたいな全点展示ではなく、30幅のうち10幅のみ。三の丸尚蔵館が新装開館したら全点展示してくれるかな...。前期は若冲は出ていなかったが、酒井抱一の「花鳥十二ヶ月図」が十二幅全点出ていて、すごくよかった。一緒に行った友人は、皇室に生まれて、この十二幅全部吊るされた部屋で暮らしたい、とか、訳わかんないこと言っていた。

「蒙古襲来絵詞」は通期展示で、見せる巻が代わる。

高橋由一「鮭」は藝大ならではの展示。通期展示(油絵なので長期展示OK)。ミュージアムショップに、タイアップでKIRIMIちゃん(サンリオのキャラクターで鮭の切身の化身)グッズが売られていた。

絵画だけでない。藝大で収蔵している、法隆寺金堂や平等院鳳凰堂の巨大な木製模型(教育用? ふだんはどこに置いているのだろう...)とか(親子連れで平等院の模型見ていて、お母さんが子どもに10円玉を見せて、ほら、一緒でしょ、と言っていた)とか、小野動風や藤原佐理の素晴らしい書、法隆寺の夢殿本尊の拓本、絵巻物も沢山。硯箱、蒔絵螺鈿の棚、陶芸品、彫刻、七宝。皇室にはどれだけ工芸品や絵画が流れ込んでいるのか、と驚く。それは、これまでに散歩の途中とかで三の丸尚蔵館に寄っても、展示品のジャンルの幅の広さに驚かされ続けたので、わかってはいたつもりだが(何しろ今までの三の丸尚蔵館は一室しかなくて、さっと見れば5分位で見られてしまう感じだったので、ふむふむ、と思いながらも、その奥にどれだけ広いバックヤードがあるんだろう、ということは考えても、全く想像もつかなかった)、その莫大なコレクションはどうやって管理されているんだろう、目録とかは公開されているんだろうか、とか、もう本当に想像を絶する世界。

展示室が3階と地下1階で、エレベーターが2基しかなく、動線が今一つ。1階のチケット売り場等の脇に今回の展覧会のミュージアムグッズがあり、2階に藝大美術館の常設のミュージアムショップとカフェ。前に藝大美術館に行ったときは3階だけの展示だったのであまり気にならなかったが、展示室が最上階と最下階に分かれているのは、これ以上お客さんが多かったら混乱しそう。
予約制にはなっておらず、思い立ったら入れるのはいいけれど、「今後の状況により変更及び入場制限等を実施する可能性がございます」とのこと。

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