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毎日読書メモ(136)『昨夜のカレー、明日のパン』(木皿泉)

図書館で、木皿泉『昨夜ゆうべのカレー、明日あしたのパン』(河出文庫)を見かけてふらっと借りてみる。第27回山本周五郎賞候補作、第11回本屋大賞で2位。

息子を亡くしたギフと、夫を亡くしたテツコが同じ屋根の下で暮らしている物語(超要約)。心あたたまる話かと思ったら、誰も人格者はいなくて、みんな、それぞれの弱さを抱えて生きている。弱さの淵の前にたたずんで動けなくなっていると、目に見えないものが見えない手を差し伸べてくれる、その繰り返し。一つエピソードを読み終えるごとに小さくため息をつき、読んでいるわたしは少し元気になる。

テツコの夫の車を貰いうけて行った、従弟の虎尾のエピソードが好きだった。実は様々なエピソードがその廃車寸前の車に集約されていた。

文庫化にあたって、エピソードひとつ書き下ろして追加。前のエピソードの増補。

木皿泉は夫婦合作の脚本家。初の小説だった『昨夜のカレー、明日のパン』は、後日、自分たちの脚本でテレビドラマ化されているのだが、Wikipedia見たら、原作からかなり形を変えたふくらまし方をされていて、何しろ自分たちで脚本書いているので、納得ずくだとは思うけど、追加要素が多くて、ちょっと面白いなーと。もし原作リライトの機会があったら、その部分書き換えちゃうんだろうか。

#読書 #読書感想文 #木皿泉 #昨夜のカレー明日のパン #河出文庫



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