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佐藤多佳子『第二音楽室』『聖夜 ― School and Music』(毎日読書メモ(271))

佐藤多佳子『第二音楽室』、『聖夜 ― School and Music』(いずれも文藝春秋→文春文庫)の読書メモ。

第二音楽室:色んな年の自分が、音楽室で見たかもしれない光景。リコーダーカルテットの話はすてき、羨ましい感じ。バンドの葛藤の話は、自分の立ち位置を意識しすぎる今の若い子の姿を彷彿とさせて胸が痛い。ひとりひとりの心の姿が、くっきりと描かれていて、いい本でした。

聖夜:『第二音楽室』から続けて読む。学校の音楽室やその周囲を舞台とした物語だが、この本は1冊で一つの物語なので、物語の規模も大きい。宗教について、オルガンについて、考え、迷う一哉。自分が母を捨てたのか、母が自分を捨てたのか、迷いつつ、かつて母が弾いていたメシアンを弾いてみる。美しく閉じた世界とその外。一哉はいつかまた、母と出逢うであろうことを予感させる、美しい終わりかた。音楽の力を信じさせてくれる、すてきな2冊の本でした。(2013年1月の読書記録より)

#読書 #読書感想文 #佐藤多佳子 #第二音楽室 #聖夜 #文春文庫 #リコーダー #メシアン

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