アファーマティブアクション推進派のお茶の水女子大学理学部教員による学生指導の実際

アファーマティブアクション推進派のお茶の水女子大学理学部教員(以下、A教員)の言動が話題になっています。例えば、ハラスメント、ジェンダーなどを専門とする社会疫学者である神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科教授の津野香奈美先生は次のように主張しています。

ハラスメント、ジェンダーなどを専門とする津野先生の主張とは逆に、部外者としてハラスメント行為の可能性を示す事実を指摘します。

  • 研究室の学生に対するA教員の指導放棄を示唆する事実

  • A教員がネットで公開している指導方針から懸念されるハラスメント行為

  • A教員がアファーマティブアクションを推進するのは、自らの指導力不足を責任転嫁するためという論評

これらは、公教育におけるハラスメント行為を引き起こす指導方針を、(津野先生が説明するところの)内部の担当者である大学が野放しにしている問題を指摘し、お茶の水女子大学への進学のリスクを公に示す公益性を有します。

A教員の指導放棄の可能性

A教員が所属するコースは、論文発表会のスケジュールとともに、修士論文、卒業研究の概要をPDFで公開しています。

ただし現在、そのスケジュールにおけるA教員の研究室に所属した学生の情報は削除され、修士論文や卒業研究を発表していないことになっているようです。この削除は教員や大学にとって都合が悪いからかもしれませんし、部外者が該当する学生に迷惑をかけるのを防止するためかもしれません。いずれにせよ、削除されたことは、次の時間帯の発表者(すべてA教員の研究室所属)が不自然に欠落していることからわかります。

  • 2023年修士論文発表会 2024年2月8日(木) 14:00-15:30(6名)

  • 2023年卒業研究発表会 2024年2月6日(火) 16:00-16:30(2名)

  • 2022年修士論文発表会 2023年2月9日(木) 10:20-11:00(2名)

  • 2022年卒業研究発表会 2023年2月6日(月) 14:00-14:45(3名)

  • 2021年修士論文発表会 2022年2月3日(木) 16:40-17:20(2名)

  • 2021年卒業研究発表会 2022年1月31日(月)13:45-15:15(6名)

  • 2020年卒業研究発表会 2021年2月1日(月) 15:05-16:45(5名)

教員のみが編集可能な、論文発表会スケジュールのウェブページの編集履歴によれば、2019年から2023年の発表会スケジュールが先週6月22日に編集されています。2019年のページは、「教員による研究室説明」 の項目からA教員の名前とリンクが削除されたようです。

閲覧できた2023年度の修士論文概要からA教員の指導放棄を示唆する3つの(A教員の研究室所属の学生の)事例を取り上げます。

事例1 概要の指導教員がコース内の別教員(専門はデータ可視化)
参考文献として、A教員が筆頭著者の論文が挙げられているので、A教員の専門である気象学がテーマ。指導が可能なはずだが、A教員は指導教員ではない。
謝辞で、研究方針や学会発表で指導を受けた外部の研究者(参考文献の論文の第2、第3著者)に感謝を示している。
A教員が指導した形跡が見られない。

事例2 概要に明記された指導教員がコース内の別教員(専門は量子計算)
流体力学がテーマ。
謝辞で、指導を受けた名誉教授に感謝を示している。
A教員が指導した形跡が見られない。

事例3 指導教員が概要に明記されていない(*)
研究内容:各地域の天気の不確実さをエントロピーで数値化して比較
エントロピーの定義を理解できれば、高校生でも可能な内容ではないか、修士論文としてクオリティが不十分ではという疑問が残る。
研究テーマについて、A教員は指導したのか疑わしい。

(*)ただし、指導教員が概要に明記されないのは、A教員以外のいくつかの研究室で見られたため、それだけをもって指導放棄とはみなしていません。

これらのように、A教員による研究室学生への指導の質には大きな疑問があります。指導放棄ならば、学生に対するハラスメント行為にあたります。このような事態に至る原因として、学生への責任転嫁を可能とする、A教員が掲げる指導方針の問題点を指摘します。

A教員の指導方針における問題点

A教員は次の指導方針をウェブ上に公開しています。ただし、A教員は一人称として自分の名字を使うため、一人称としての名字はA教員に置き換えました。強調は引用時に加えました。

雑談の時間を大切にします。
・時にはグデグデとお茶を飲んだりアイスを食べたりしながら「いやぁ何もわからないね~^^ でも面白いね~笑」みたいな感じで非常にゆっくりと理解が進んでいきます。
A教員は雑談を大切にしています。研究の世界において,「どうでもいい雑談」は実は全然「どうでもよくない」です。雑談の「パス」が普段から通っている状態にしておくと,科学の勉強やアイデアの発見のために良いだけではなく,きっと研究室の問題も発見しやすくなるんじゃないかなと思ってます。それは科学が生まれる「雰囲気づくり」の一つとしてとても大事だと考えています。
気象学の勉強・研究には定期的なおしゃべりが必要です(「ねぇ,なんか今日すごい低気圧いるよ!」とか)。それゆえ,たまに気分が乗らないときはダラダラとネットサーフィンしててもいいので,なるべく頻繁に研究室に現れて欲しいです(とはいえ,A教員は子育てのために18時くらいには帰ることが多いです。)。

この指導方針は、契約を得るために相手先企業に足しげく通い、ご機嫌をうかがう営業職の役割を学生に担わせていないかという心配があります。

営業職は契約を得るために、相手先企業担当者と雑談しなければならない。
ただし、雑談が契約につながるとは限らない。
相手先企業に頻繁に通わなければいけない。

この「雑談」とは、A教員が学生の知的好奇心を刺激するように主導するようなものではなく、A教員が学生にもてなされることを求めているように思えます。

そして、「気象学の勉強・研究には定期的なおしゃべりが必要です(「ねぇ,なんか今日すごい低気圧いるよ!」とか)。」の説得力の欠如に驚かされます。ほかの気象学の研究者にご意見を伺いたいところです。参考のため、東京大学 先端科学技術研究センター 気候変動科学分野 中村研究室による気象・気候を勉強したい人へには「雑談の必要性」は見当たりませんでした。また、同じ人と雑談しても話題の幅は限られるので、次のような異なる人々の講演を聞いたほうが見聞は広まるのではないでしょうか。

・なるべく大学にたくさん来て「住み着いて」くれる人,知識欲や読書欲がある人
耳学問がどうしても必要な分野なので,日常の雑談量がアイデアの質を決めます。いわゆる「座学」以外の方法でも知識を蓄えていける人が強いです。
そういった事情から,用事のない日には研究室に来る習慣をつけてくれると嬉しいです(A教員は,雑談ベースで研究のアイデアを渡します。意欲的に研究室に来てくれる方はガンガン伸ばせますし,逆に来てくれないとずっと進みません)。

A教員の指導方針は、研究の進捗が思わしくないとき、その責任を学生に押し付ける点に問題があります。無駄な時間になることを覚悟で研究室にいなければいけないし、「雑談」というA教員へのもてなしをしなければいけない。それをしなかったことで研究が進まなくてもそれは学生の責任だ、ということです。さらに、「(耳学問がどうしても必要な分野なので,)日常の雑談量がアイデアの質を決めます。」は明らかな嘘でしょう。書籍などの文献からアイデアのもとになる知識は得られますし、雑談で得られるのが今日の低気圧程度の知識でしかないなら、研究室にいかずウェザーニュースの解説を見るほうが多くを得られるでしょう。

・おしゃべりが好きな人
上記のことと関連しますが,「ちょっと居室でしゃべっていかない?」と声をかけることが多いので,雑談を時間の無駄だと思わない人の方が幸せだと思います。

雑談が時間の無駄だと思うかどうかは、その雑談の内容によります。「時にはグデグデとお茶を飲んだりアイスを食べたりしながら「いやぁ何もわからないね~^^ でも面白いね~笑」」のように得るものがないのに面白さを強要されるのなら、時間の無駄です。自分がしゃべりたいというA教員の欲求のために、研究を取引材料にして学生が我慢を強いられるのは、問題です。

これがハラスメント行為に該当するかどうか、ここまで読んだあなたに判断を任せます。少なくとも「雑談」(という名の学生による教員へのもてなし)と研究を完全に切り離し、研究の進捗状況や方向性を定期的な短時間の面談で指導できるように、大学側がA教員に改善を求めるべきです。それをしないのは、学生への過大で不要な負担を放置しているという点でお茶の水女子大学も学生へのハラスメント行為をし続けています。このような対応の大学に進学するのは、大きなリスクです。

A教員がアファーマティブアクションを推進する理由

(学生から学ぶ機会を奪う)指導放棄を示唆する事実と(女子学生に学習の機会を提供する)アファーマティブアクションの推進は正反対のように見えます。しかし、学生の指導放棄をするのは自分の責任ではなく、自分が男性だからで、男性であるというその罪をほかの男性は償っていないが、自分はアファーマティブアクションの推進で償っていると、A教員が考えているならば、これらはつながります。つまり、自らの指導力不足から目を背け、責任転嫁しているのです。

これは、指導放棄された学生からすれば迷惑な話です。実態の見えない誰かわからない女子学生の学習機会を心配する前に、今ここにいる学生の指導にA教員は取り組むべきでしょう。

まとめ

話題になっているアファーマティブアクション推進派のお茶の水女子大学理学部のA教員について、研究室の学生に対して指導放棄していると示唆される事例として、修士論文概要を3例取り上げました。そしてその指導放棄の正当化につながる、A教員の指導方針として、「雑談」という名目で、学生による教員のもてなしを学生に求めている可能性を示しました。教員側は、研究に必要な「雑談」をしない学生だから研究が滞ると考える一方、学生側は、「雑談」という教員へのもてなしをしない限り、研究指導を放棄されるという圧力の下、A教員のご機嫌をうかがうか、指導を受けることをあきらめるかの二択を迫られる、という可能性があります。

そして、A教員が指導放棄しても、指導方針を改めることなく自分の行いを正当化するのに、アファーマティブアクションに賛成することが役立っている可能性を説明しました。

修士論文概要というA教員の教育実績が示す事実から、A教員に指導方法の改善を求めるべきだと考えますが、お茶の水女子大学ジェンダー研究所などに多数在籍するジェンダー論の専門家や公的機関のアドバイザーを務める社会疫学者は学生の訴えに耳を傾けず、学生を見捨てているという事実も覚えておきたいと思います。彼らは自分という女性のためなら声を上げますが、知らない女性のためには利がないから何もする気がないのです。