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ネガティブな情報と、どう向き合うか。

予定日より1ヶ月早く破水したものの、1週間経っても陣痛の来ない入院中の妻。僕のみならず、臨時的に同居中の義父母もその状態を訝しがっていた。しかし、コロナ中なもので見舞いどころか、医師の先生に話を聞くこともできない。今でこそ軽口を叩けるが、当時は心中穏やかでなかった。

となると、頼れるのはネットの力のみである。前期破水について、アレコレ調べてみる(もちろん、それまでも何度も調べてはいるのだけども)。

すると目に飛び込んでくるのは、どれも不安を煽るような内容ばかりだ。前期破水の場合、母体の感染症、新生児の感染症、胎位異常、胎盤早期剥離、新生児の脳室内出血などなどのリスクが上がるというのだ。

そして前期破水の場合、24時間以内の陣痛開始・分娩となるケースが90%で、妊娠32~34週の場合は4日ほどで産まれるのが平均的だということがわかった。陣痛が起こらない場合でも、感染症等のリスクが高まる場合は陣痛促進剤を投与して分娩させることもあるという。

…あれ、もう1週間過ぎてない?陣痛促進剤打たないの?産まなくて平気?

そんな疑問と不安で頭がいっぱいになる。このあたりを妻に聞いたところで、逆に不安にさせてしまうかもしれない。どうしたものかを考えた結果、僕の出した答えは、ネットで検索するのをまずやめる、ということだった。

リスクがあることはわかったけれど、じゃあ母子の状態はどうなのか。当然だけど、それはネットではわからない。だから次にとった行動は、「先生と話をさせてもらう」ことだった。妻を経由して病院にお願いしてみたのだ。

ほどなくして、見知らぬ番号から着信が。出てみると、妻の担当医からだった。男性の先生で、声色的に僕より年下だろうか。けれど非常に落ち着きのある、しっかりとした声で、僕が抱えていた疑問に対して答えてくれた。

胎児がしっかりと成長できる37週までは、できれば胎内にいてほしいこと。子宮内の羊水は充分にあり、安静にしていることでそれはたもたれること。2日に1回の頻度で感染症の検査を行なっており、現状では問題がないこと。もし異常があれば、すぐに陣痛促進剤を投与し、分娩する必要があること。逆に37週になって陣痛がない場合も、促進剤を投与する可能性があること。

ざっくり記憶の限りで要約すると、先生の回答から以上のことがわかった。僕の「話がしたい」という要望にめんどくさがるわけでも、逆に安心させようと過度に語るでもなく、事実と今後の方針を教えてくれた。僕がほしかった情報は、まさしくこれだったのだ。

病院、というか先生にはお手数をかけることになってしまったけれど、話をさせてもらえて、本当に安心ができた。コロナ禍でなければこうした話をお見舞いの中でできたのかもしれないが、それも今は難しいのだと痛感した。

結局、ネットに安心できる答えはない。むしろそれで安心してはいけない。すごく当たり前だけど、ネガティブな情報を前にしたとき、自分が冷静でいられるためにも、きちんと状態を分かる人に話を聞くことが大事なんだな。

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