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Q 開示請求を検討しているのですが、投稿者や第三者に知られてしまうことが怖いです。法的手続を利用していることを秘密にすることはできますか?

A 完全に秘密にすることはできません。

解説いたします!

1 関係書類をネット上にアップされたりする可能性があること
最近では、発信者情報開示請求等を受けた者が、関係書類をネット上にアップして非難する等の対抗措置を取ることがありますので、そこで事件について知られる可能性があります。

2 プロバイダの意見照会の段階で知られる可能性があること
プロバイダに対する開示請求を行う段階では、プロバイダは投稿者に対して意見照会を実施しますが、そこで投稿者が事件番号を知る等して、事件記録を閲覧される可能性があります。

3 裁判の公開等により知られる可能性があること
⑴ 裁判の公開について
裁判は基本的に公開され、自由に傍聴できるため、そこで事件について知られる可能性があります。

⑵ 判決文等の掲載について
判決文については、裁判所の判例検索システム等に掲載されることがあります。通常、こうしたデータベースでは関係者の名前を匿名にしますが、法人名については匿名化されないケースが多いです。また、個人についても、誹謗中傷の文言の内容については引用されることがありますので、引用された中傷文言から、事件について知られる可能性があります。

⑶ 訴訟記録の閲覧について
訴訟記録については第三者が閲覧可能なため、そこで事件について知られる可能性があります。
閲覧されたくない場合は記録閲覧制限を申し立てる必要がありますが、記録閲覧制限が認められるためには、「訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、又は記録されており、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること」が必要とされているため、閲覧制限申し立てが認められるとは限りません。
さらに、上記の「重大な秘密」については、「単に私生活についての秘密に該当し、秘密 として保護され、差止請求権や損害賠償請求権の根拠とされるというのみでは足りず、当事者の人格にかかわるような重要性を有する秘密であり、秘密の公開によってその社会生活が破壊されるような重大な秘密でなければならない」とした裁判例がありますので、氏名住所の閲覧制限は認められる可能性が非常に低いと思われます。

4 まとめ
以上のとおり、手続の様々な段階で、事件について知られる可能性があり、完全に秘密にすることはできません。

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