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子どもに授業を渡す挑戦 2 #133

 市の「授業力向上」のプロジェクト研究で『「個別最適な学び」と「協働的な学び」』の一体的な充実をテーマに、研究員をしています。


1.これまでの取り組み

 毎日ある算数をメインにまずは挑戦をしています。毎日取り組めるということは、最も子どもに恩恵があると思ったからです。もちろん、他の教科でも、子どもが選択する機会や、子どもたちが教わるのではなく、学ぶ場面を増やしています。
 一斉に同じことをすることや、一方的に教わることは、減らしています。

子どもに授業を渡す挑戦|エンチャント先生@小学校 (note.com)

自分学びの時間|エンチャント先生@小学校 (note.com)

 1学期には、上記の2つの記事にもあるように、「子ども授業」というものをやっていました。簡単に言うと、子どもに授業を進めてもらう取り組みです。指導書のコピーを渡して、子どもが先生になります。算数8時間単元で、2時間は先生授業、2時間は自分学びの時間、4時間を子ども授業にしました。
 成果は、子どもたちの頭が切り替わるきっかけになったこと。うまくいくかいかないかは別として、「先生が教えるだけじゃないんだ」「自分たちで学ぶことが大事なんだ」という思考が生まれたと思います。この変化は大きいと感じています。
 課題は、シンプルに「任せすぎて、うまくいかない」です。失敗させることを怖れずに挑戦しましたが、3年生にはかなりハードルが高いことが分かりました。

 そこで今回の取り組みです。


2.今回の取り組み

以下、子どもたちに配った、単元ガイドプリントです。

このプリントは、画用紙に印刷し、冊子のようにして配りました。
今回は前回の反省を踏まえて、「部分的に任す」ことにしました。
ネーミングは「ひまわり授業」です。学級目標から取りました。

3.最初は先生と

 授業の始めの5分で、問題を知り、「めあて」を子どもとともに立てます。そこから先に授業の「見通し」を確認します。どう「まとめ」に向かっていくかまで、確認をしておきます。
 
 そこで「今回、ひまわり先生に挑戦する人?」と聞きます。
あえて、その場で決めることにしています。今回のテーマならできそうだ!とか。今日は気分が乗っているから挑戦したい!など、その瞬間の気持ちを大切にするためです。10人以上の子が手を挙げます。1学期の「子ども授業」のときに担当した子を除いて、順番に担当してもらっています。

4.Yくんの挑戦とリベンジ

 手を挙げて前に出たのはいいものの、「先生やっぱりむりです。」と言った子、Y君がいました。子どもは実際にやる場面にならないとその難しさがわからないんですね。Y君をほめました。

①チャレンジしようと思ったこと
②正直に、「無理そう」が言えたこと

 Y君は、次の時間に、再び手を挙げました。すかさず、「リベンジしてもらいたいよね?」と皆に投げかけ、挑戦してもらいました。Y君はその時間立派に「ひまわり先生」を務めました。

 3時間目の「23×3の計算のしかたを考えよう」というめあてに対して、順番に黒板を使って3、4人の考えを出したあと、
「このみんなの考えで、きょうつうてんはありますか?」と言いました。
そこから、「足し算の子もかけ算の子も位取り表を使っている子も、どの考えも、十の位と一の位に分けている」ことを、まとめました。

5.子どもは鏡

 「ひまわり先生」に挑戦する子は、担任の真似をします。日頃、どのくらいパターン化して授業をしているか、算数を通して、「こういうときはどうする?」を考えさせているかが重要です。また、考えを前に出て発表する練度を上げておくことや、友だちの考えを聞いて反応する習慣をつけておくことも大事であると思いました。

6.これ、学級会じゃん

 考えを出しあった後、比べ合い、まとめるの流れで進めるので、子どもは「学級会といっしょじゃーん」とつぶやいていました。学級会でやってきたことも子どもたちだけで授業を進める役に立っています。

7.「算数を学ぶ」だけではなく、「算数で学ぶ」

 教科の学習をしているとき、私はいつも、学び方を教えることも大事にしています。
 友だちの意見への反応の仕方、友だちへの説明の仕方、うまくいかないときはどうすればいいかなど、算数を通して学び方を教えることを大事にしているので、子どもたちにもそれが浸透してきました。

8.課題

 課題は「ひまわり先生」や前に出てどんどん発表する子以外の子への働きかけです。教師は、「ひまわり先生」前にでがんばっている間、T2として学習が苦手のサポートができますが、子どもの説明は、もちろんわかりにくい場合もあるので、その1時間における理解度は課題です。しかし、子どもたちがたくさん考えを出すので、似たような考え方のたくさん説明を聞けるので、自分にぴったりはまる考えをじっくり探すこともできます。また、最後の5分で、教師が修正や確認ができるので、もし失敗をしても大丈夫なので、どんと任せることができます。
 そもそも、その1時間ですべてを理解しなくても、単元が終わるころに理解できれば問題ないと大きく構えておくことが大事だと思います。

9.ルーブリック評価

 授業の最後に以下の評価を、自分でします。
 「学習内容における質の高まり」と、「ひまわり授業への貢献度」を評価します。

10.おわりに

 まだ挑戦は始まったばかりです。子どもたちを信じて任す挑戦を毎日繰り返すことで、子どもたちの学びに向かう姿勢が大きく変わると信じて取り組んでいきます。

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