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10年間同人誌をやってきた人がボードゲームを作ってみた
enchant chant gamingの松本です。〈香感覚〉の制作ではゲームデザインを担当しています。
今回は、なぜ自分たちがゲームを作り始めたのか、そしてなぜ「お香」を使った以心伝心ゲームを作ろうと思ったのかについて備忘録的に書いていきたいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1701340811612-9TePU5xYsH.jpg?width=800)
香感覚ってどんなゲーム?
まずは簡単に〈香感覚〉の紹介から。詳細はMakuakeページをご覧いただければと思います。ここではSNSなどで使っている紹介用の文言を引用します。
〈香感覚〉は、嗅いだお香の香りに近いと感じた言葉をお題から選び、親と子でピタリと当て合う協力系ボードゲームです。みんなの答えを一致させる以心伝心ゲームをベースに、本物の「お香」を使った共感覚の要素を加え、新しいプレイ体験を目指しました。
香感覚には5種類のお香が入った香り袋と、4つの言葉が書かれたお題カードが入っています。
![](https://assets.st-note.com/img/1701340637180-w1CEwtF405.jpg?width=800)
プレイヤーはまず親と子に分かれ、それぞれお香を嗅いでいきます。親はその印象に近い言葉をお題から選び、子たちは親がどの答えを選んだのかを、話し合いながら推理します。
そして親と子で答えを一致させられたら成功、一致しなかったら失敗。そんなシンプルな協力ゲームです。
全部で5種類のお香をすべて試し終えるまでに3回失敗してしまったらバッドエンド。失敗が2回以下ならハッピーエンドとなります。
ポイントは、なんともいえないお香の香りをいかに言語化できるか。
親は、なるべく子が推測しやすい理屈で答えを選ばなければなりません。子たちは「親はこの香りにどんな印象を抱いたのだろうか」と、推理しなければなりません。
たとえば、こんなお題。
[必殺技]
①かめはめ波
②アンパンチ
③スペシウム光線
④10まんボルト
「香りがちょっとスパイシーだから、ピリッとしたイメージの④かな……?」
「いやでも、まっすぐスーッと抜ける感じもあるから③もありそう」
みたいな感じで、香りの印象を言語化しながら答えを絞り込んでいきます。
とはいえ、お香の香りを嗅いだ印象は、本当に人それぞれ。香りは複雑な要素で成り立っているので、香りのどの部分を取り出すかによっても、答えの選び方は変わるでしょう。
子たちが必死で推理して確信をもって答えを予測したのに、親がまったく違う理由で答えを選んでいた、というパターンもあるあるです。お互いに対し「なんでそうなるの!?」となるのもこのゲームの醍醐味です。
なんでゲームを作ろうと思ったのか
〈香感覚〉は、自分たちが初めて作ったゲームです。以前自分たちがやっていたサークルでは、仲間内でエッセイなどをまとめた雑誌やZINEをつくり、文学フリマなどに出す活動をしていました。ただ、そのサークルは2020年ごろには実質的にほぼ休止していて、2022年に解散となりました。
活動が止まっていた時期から、今のecgの3人はそれぞれ麻雀、MtG、スマブラなどのゲームにはまっていました。ほかにも、マーダーミステリーやボードゲームなどをいろいろと遊ぶようになり、コミュニケーションツールとしてのゲームの面白さにも興味を持つようになりました。VTuberやYouTuberが配信などでゲームをプレイしている様子を日常的に見るようになったのも大きいかもしれません。誰が言い始めたのかは覚えていませんが、自然な流れで自分たちでもゲームを作ることにしました。
もちろん、それまでゲームは作ったことがありません。でも、おおむね印刷物の延長で作れるだろうと(なぜか)考えていました。
というのも、受け手にこういう情動(もどかしさ、おもしろさ、気持ちよさ、すがすがしさetc)を味わって欲しい、そのためにはこういう状況をつくる必要がある、ということはこういう仕掛けがなきゃだめで……と逆算していくのは、おそらくどんな表現ジャンルでも同じじゃないかと思っていたからです。プロダクトとしても、香り袋を除けば中身も外見もすべて紙なので、雑誌を作る要領でいけるだろうと(実際にはいろいろ大変でしたが、、、)。
でも、こういう「自分でも作れそう」という感覚は、何かを始めるときには大事なものだと思います。実際、自分が10代のころに初めてテキストを書いて発表したときも、同じような感覚?過信?がありました。今回ひさびさにそういう新鮮な気持ちが味わえてワクワクしました。
なんで「お香」を使ったゲームなのか
ところで、香感覚の概要を人に説明すると「お香」という部分に反応してもらうことが多いです。なんでお香なのかということですが、直接的な理由としては、メンバーの瀬下が仕事で香りの専門店・麻布香雅堂さんにお世話になっていたというのが大きいです。
そのご縁で、僕も数年前に香雅堂さんの体験香席に参加し、組香(お香の香りを記憶する伝統的な香道のゲーム)を体験しました。そこで「香りを記憶する」「香りを言葉にする」ことの難しさと面白さを味わったことが、「香りで遊ぶゲーム」という発想につながっています。
「お香」をどう工夫するとゲームになるのか。そのあたりの具体的なゲームデザインの話は、また次のnoteで書ければと思います。
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