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2024年1~2月に観た映画の感想

あらすじ程度のネタバレがあります。特にオススメの映画にはタイトルのうしろに🌟つけてます。みた順で書いています。
以下のマガジンに他の月のぶんもあります。

クエンティン・タランティーノ『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』🌟

© 1991 Dog Eat Dog Productions, Inc. All Rights Reserved.

映画館で字幕版をみました。
強盗団の中に内通者がいたため作戦が失敗、疑心暗鬼になったメンバーがお互いの腹をさぐり合い内通者を吊るしあげようとする映画です。
以前『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を途中で投げてしまったので、これが初めてのタランティーノ作品になりました。
ワンハリはつまんなくて挫折したので警戒していたのですが、バチよかったです。ふつうに映画館でみることができたのも良かったのだと思います。
私はとにかくよく喋る人が出てくると嬉しくなるので、そういう意味では好みなんだと思います。もちろんミスター・ピンクがすき。
殿堂入りレベルの傑作である韓ドラ『怪物』も、(面白すぎてうやむやになってしまってるが)その完璧さゆえに、「こいつら必要なことしか言わないな、人間ってもっと意味不明だしマジで適当に喋ってるのに」というのが気になってしまっていたので、その意味ではこの映画はかなり理想に近かった気もする。まあ善し悪しなんですけど、作品における無駄のない会話ってぜんぜんリアルじゃない。自明なのかもしれないですが。
冒頭チップ文化に文句垂れるシーン、わたしは日本人なのでほんまそれな〜と思いながらみてたんですが、アメリカ人からするとやっぱ「何言ってんねん」ってなるんでしょうか。良喫煙シーンもありました。

オム・テファ『コンクリート・ユートピア』

(C)2023 LOTTE ENTERTAINMENT & CLIMAX STUDIO, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画館で字幕版をみました。
突如原因不明の大災害に見舞われた韓国、周囲がめちゃくちゃになる中主人公たちの住むマンションはなんとかその姿を残しています。マンションのなかで自治組織のようなものを作り、この大災害をサバイブしようと住民みんなで協力しますが、その際に立てた代表がどんどん独裁者のようになってゆき……というお話です。
韓国映画みなさすぎてイ・ビョンホンが出てる映画をはじめてみたんですが、こんな感じなんですか??もっとカッコイイおじさん(お兄さん)の役やってるイメージを勝手に持ってました。いい意味でイカれてた。
年明けの公開、日本では大地震があったタイミングだったので間が悪いなあと思いましたが、それはそれとして良作災害パニック映画でした。CGは大味でしたが。
「俺たちとそうでないもの」という境界線の欺瞞を描いたお話でしたが、この作中にあったような集合住宅だったり、土地だったりというのは物理的な基盤が存在しているので共同体の欺瞞を暴くのがすごく大変だなと改めて思いました。国もね。北の国から人々が逃げるように、我々はいつかユートピアにたどり着くことを信じて命懸けの放浪を続けるしかないらしいです。

山下敦弘『カラオケ行こ!』

©2024『カラオケ行こ!』製作委員会  ©和山やま/KADOKAWA

映画館でみました。
とにかくとにかく岡聡実役の齋藤潤のための映画でした。
全体的によかったはよかったのですが、ポスターなどでこの物語を「青春」という言葉を使ってマーケティングしているのだけが許せませんでした。以前詳しい感想をネチネチ書いたので、ぜひそちらをご参照ください。

アン・テジン『梟 フクロウ』

(C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.

映画館でみました。
目の見えない鍼医が王宮お付きの医師になるが、様々な陰謀に巻き込まれてゆき、彼は陰謀が行われる場面を「目撃」するが……というお話です。
設定勝ちみたいな作品でしたが、面白かったです。障がい者の扱いはこうで良いのかなという疑問はありつつ、明/暗の使い分けなど唸る部分もたくさんあって良作でした。
ただ、「見えるのに見えない」主人公と、「不都合な真実から目を逸らさざるを得ない庶民」をパラレルに語ることは可能なのかというのは結構疑問でした。歴史的事実をもとにした作品みたいなので、気になる人はぜひみてみてください。

エマ・タミ『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』

©2023 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.

映画館で字幕版をみました。
タイトルの通り、同名の有名ホラーゲームの映画化作品になります。
家族で楽しめるピザ屋の廃墟の警備員を任せられた主人公。彼は幼少期に自分の目の前で弟を誘拐され、トラウマを抱えています。主人公は徐々に誘拐犯の謎に迫っていくことになるが……というお話です。
原作ゲームのえげつない設定をきっちりG区分に落とし込んでいてびっくりしました。その反面やはりグロとかホラー展開はそんなにないので、そのへん気になる方はニコケイの某映画を観ていただいて……
わたしは原作ゲームの設定を知った上でみたのでとても面白かったのですが、これたぶん初見のひとにはつまんないんじゃないでしょうか。しかも「一夜一夜がんばって生き延びる」「マルチタスクを乗り越える」みたいなゲームの醍醐味的な部分がこの映画にはぜんぜんないので、フレディたちが実写で動いてるだけで嬉しいよって人以外は、基本的にバックグラウンドストーリーまで知っている原作ファンの子ども達向けって感じでした。子どもはあんなお話楽しんじゃだめですけど。
ゲーム原作の映画として良作だなと思ったし、「大人は子どもから絶対に目を離すな/子どもは知らんヤツについていくな」「児童誘拐をするようなやつは徹底的に化け物である」というメッセージもまっすぐ伝わってきてよかったです。

トーマス・ヤーン『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』🌟

(C)CINEPOOL/DREFA&TELLUX MUNCHEN

映画館で字幕版をみました。
余命いくばくない男ふたりが、死ぬまでにやりたいこと―「海を見ること」を達成するため、マフィアの車を盗み出して病院を抜け出し、つかの間の旅に出ます。
高校生のときに観た以来5年ぶり?とかにみたのですが、いやめっちゃ良い映画でしたね……
テンポ良くてダレないしカットも良いし、笑えるし悲しいし美しい映画で、そこも狙いすぎてないギリギリのところで切り替えていくので観ていて心穏やかになります。キャラクターもみんな魅力的です。ふたりがテキーラをあおって始まった映画がふたりがテキーラをあおるシーンで終わるの美しすぎる。最高です。
あんまりサブスクにないので結構観る手段が限られているのですが、もしお近くにレンタルビデオ店がある人や、サブスクでレンタルしてもいいよって方はぜひ一度はみてみてください。それ以上の価値があると思います。映画館でみれてよかった!!!

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